
埼玉医科大学 卒業
医師国家試験予備校講師、麻酔科フリーランスなどを経て、
現在は総合診療をおこなっている。
予防接種は、病気にかかることを防ぐために大切です。
しかし、それらの予防接種を受けることによって、体が期待すべき反応とは違う、 『副反応』に不安がある方も多いのではないでしょうか。
予防接種を受けたあとには、さまざまな副作用が考えられます。接種後はお子さんをよく観察してあげましょう。
体調がすぐれないために、機嫌が悪く見えることもあります。
こちらの記事では、予防接種を受けることで生じる副反応や、その対処法についてくわしく解説いたします。
予防接種後の副反応には、どんなものがある?
1.接種した部分の腫れや赤み
予防接種を打った部分の『腫れ』や『赤み』は、どのワクチンでも比較的多く見られます。
これは、ウイルスに対する抗体をつくる『免疫反応』によるものですが、ひどい場合は薬を処方されることもあるでしょう。
2.熱が出ることもある!
予防接種後の副反応として、発熱がみられることもあります。
38度以上の熱が出る場合や、熱が続く場合は、病院を受診しましょう。
3.おたふくかぜの予防接種後は、無菌性髄膜炎に注意!
かなり低い確率ですが、おたふくかぜの予防接種後に、『無菌性髄膜炎』を発症するケースがあります。
この病気は、おたふくかぜにかかった場合にも、合併症としてかかることがあります。
正しく治療をおこなえば、入院せずに治療を終えられることが多いです。また、体が弱いなど特別な理由があっても、正しく治療をすれば、短い入院で問題なく治ります。
4.とくに注意が必要な副反応の症状。すぐ病院へ
重い副反応について
ごくまれに、『ひきつけ(けいれん)』や『脳症』を起こし、発熱、嘔吐、頭痛など重い症状が出ることがあります。
これらは年齢に関わらず危険な状態です。自宅でこれらの症状が出た場合は、すぐに病院を受診してください。
アナフィラキシーショックについて
予防接種を受けたあとに、『アナフィラキシーショック』が起こることもあります。
アナフィラキシーショックはアレルギー症状のひとつで、急激な血圧の低下や意識がもうろうとしたり混乱したりすることがあります。
意識障害が出ることもあるため、場合によっては救急車を呼ぶことも考えてください。
重症の副反応は、すばやい対応が鍵です。異変があればすぐに病院を受診しましょう。
予防接種後の副反応への対処法。病院を受診する目安は?
1.接種後30分は、病院で安静に
予防接種を受けた後30分は、病院で安静にして急な副反応がないかを確かめます。
何もなければ帰宅できますが、帰宅後に副反応が出ることもあるため、じゅうぶん注意しましょう。
2.麻疹(はしか)の予防接種後は要注意!
麻疹(はしか)の予防接種後は、2~3割程度のお子さんが発熱する傾向にあります。
重症化することはほとんどないため、脱水症状に注意し、風邪と同じように対処していれば問題ないでしょう。
3.副反応への対処法。病院を受診する目安は?
高熱が長引く場合
麻疹(はしか)以外の予防接種でも、高熱の場合や熱が長引く場合は、病院を受診して解熱剤などの処方を受けましょう。また、次回の予防接種の際に必ず医師に発熱の経験があることを伝えましょう。
接種部分の腫れや熱
接種した部分が、数日経ってもひじより腫れていたり、熱や硬さを持っていたりする場合は、一度病院を受診したほうがよいです。
予防接種を受けた当日であれば、そのうち引いていく可能性が高いので様子を見ましょう。
予防接種の副反応と風邪の見分け方
副反応の場合は接種した部分が腫れることが多く、赤みや硬さがあるのが特徴です。
風邪の場合は、発熱のほかに、頭痛や下痢、嘔吐などを併発していることが多いでしょう。
実際に見分けるのはむずかしいため、数日たっても発熱がおさまらなければ、迷わず医師に相談してください。
まとめ
発熱などの副反応が出た場合には、すぐに予防接種を受けた病院を受診しましょう。
しかし、数日たっても熱が引かない場合や、38度以上の高熱が出た場合はすぐに病院を受診する必要があります。予防接種をした部分の腕の腫れにもじゅうぶんに注意してください。
また風邪と思われるほかの症状を併発していないか確認し、不安なことがあれば迷わずに医師に相談しましょう。