子宮筋腫の「切らない」最新治療法とは?メリットやデメリットを解説

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石野博嗣先生

監修者

医療法人社団 石野医院

副院長:石野博嗣 先生

1999年 日本医科大学産婦人科教室入局
日本医科大学付属病院
産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院
(現 横須賀市立うわまち病院)
産婦人科
2002年 東京都保健医療公社
東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院
女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院
女性診療科・産科 助手
現在は石野医院の副院長

 

専門は漢方(東洋医学)、産婦人科

 

患者さん一人ひとりに合った薬を作るため、自由にさじ加減ができる煎じ薬を第一と考える。
診療では一人ひとり丁寧に症状の診断を行い、情報の発信を行う。

目次

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『子宮筋腫』は良性の腫瘍です。

症状がなければ、定期的に経過観察をおこないます。すぐに治療が必要というわけではありません。

ただ、『月経痛』や『過多月経』、『貧血』などの症状があったり、不妊の原因になったりしている場合は、積極的に治療していきます。

子宮筋腫について

1.子宮筋腫の症状チェック!

子宮筋腫 治療

次の項目に、ひとつでも当てはまる場合は、子宮筋腫のおそれがあります。

貧血やめまい、立ちくらみがある

動悸や息切れがある

月経の期間が10日以上つづく

強い月経痛や腰痛がある

月経血の量が多く、血液のかたまりが出る

月経以外のときにも不正出血がある

ナプキンを1時間ぐらいで交換する

おりものが増えた

茶褐色のおりものがある

下腹部が膨らんでいて、頻尿、腰痛がある

頻尿もしくは尿が出にくいことがある

月経の周期が短くなってきている

避妊していないのになかなか妊娠しない

性交時に痛みを感じたり、出血することがある

慢性的な下腹部痛や腰痛がある

便秘気味である

子宮筋腫は、できた場所によって、症状がほとんどないこともあります。これらに当てはまらなくても、気になる症状があれば、早めに検査を受けましょう。

2.子宮筋腫は30~40代の女性に多い

子宮筋腫にかりやすいのは、30~40代の女性です。

近年、初経の低年齢化や晩婚化、出産数が減少しており、それにともなって『子宮筋腫』や『子宮内膜症』の症状が進行しやすくなっています。

子宮筋腫の治療が必要なケースとは?

1.月経痛がひどい、月経量が増える場合

子宮筋腫 治療

『月経痛がひどい』、『月経量が増える』など、子宮筋腫にともなう症状が重く、生活に支障が出る場合は、治療を検討する必要があります。

筋腫がどこにできるかによって、症状は異なる

どこに子宮筋腫ができるかによって、あらわれる症状やその程度は異なります。

一般的に、筋腫が子宮内膜付近にできている場合は 、月経痛がひどい、月経量が増えるといった症状があらわれます。

子宮の外側に筋腫ができている場合は、月経にともなう症状はないか、軽くて気がつかないことが多いです。

子宮筋腫

症状の強さも、筋腫のできる位置が影響する

子宮筋腫によって起こる症状の強さも、筋腫がどこにできるかによって変わってきます。

子宮内膜に近い位置に筋腫ができると、1~2cmと小さくても、症状は強くなることがあります。

2.妊娠を希望する場合

子宮筋腫 治療

『妊娠を希望する』場合は、症状がなくても治療することをおすすめします。

子宮内膜の筋腫が、受精卵の着床を邪魔する

子宮はそう大きくない臓器で、鶏の卵と同じくらいです。そのため、子宮内膜に筋腫ができていると、受精卵が着床する際に邪魔になってしまいます

大きい筋腫が複数あると、胎児の成長や出産を妨げる

また、子宮の本体よりも大きい筋腫が複数あるケースでは、胎児の成長や出産をする際に妨げになります。そのため流産や早産のリスクもあります。

妊娠を希望する場合は、症状の有無にかかわらず、医師と治療について相談しましょう。

3.症状がなく、妊娠を希望しない場合は経過観察

子宮筋腫が見つかっても、筋腫が小さくて自覚症状がない、かつ妊娠を希望しない場合は『経過観察』をおこないます。

子宮筋腫は、自覚症状がなくても急に大きくなることがあります。筋腫の大きさが6cm以上になると、何らかのトラブルが起こるといわれています。定期的に検査を受けましょう。

従来の、子宮筋腫の「外科的手術」について

子宮筋腫 治療

1. 子宮全摘術・筋腫核出術

従来一般的な外科手術は、子宮全体を摘出するか、筋腫だけを摘出する手術です。手術は開腹、もしくは腹腔鏡でおこないます。

妊娠を希望するかによっても術式は異なる

子宮筋腫は、再発の多い病気でもあります。妊娠を希望しなければ『子宮全摘』をすすめられます。

一方、妊娠を希望する場合は『筋腫核出術』をおこなうことが多いです。しかし、あまりに筋腫が大きい場合は、選択肢が『子宮全摘出』しかなくなることもあります。

2.腹腔鏡手術

『腹腔鏡手術』は、開腹しない手術法です。お腹に穴を数カ所開けて施術します

手術をおこなうには、筋腫の大きさや数、場所などが一定の条件を満たす必要があります。開腹手術よりも体の負担は軽く、入院期間も短いです。 順調に経過すれば、1週間以内で退院できます。

3.子宮鏡手術

『子宮鏡手術』も、開腹せずにおこなう手術法です。

膣から器具を挿入して、子宮腔内の腫瘍(ポリープや筋腫など)子宮内膜に突出している筋腫のみを凝固切開装置で切除し、摘出する手術です。子宮鏡手術も、腹腔鏡手術と同様に、施術には条件を満たす必要があります。

また、子宮鏡手術では、筋腫の一部しか切除できないケースが多く、再発しやすいです。

手術以外の治療法

子宮を傷つけず、温存することができる「切らない治療法」があります。
いくつか種類がありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。気になる者があれば、かかりつけの医師に相談してみてもよいでしょう。

1.切らない治療法とは?

子宮筋腫 治療

切らない治療には、『薬物療法』、『UAE治療:子宮動脈塞栓術』、『MEA:マイクロ波子宮内膜アブレーション』、『FUS治療:集束超音波療法』があります

2.日帰りで治療できる「FUS」

筋腫を超音波ビームで焼く治療

『FUS』は神経のない筋腫のみを、超音波ビームで焼く治療法です。

治療中、熱や痛みはほとんど感じません 。日帰りで治療でき、翌日から元の生活に戻れます。これは、子宮全摘術の代替療法として導入されました。MRIにより筋腫の位置を確認し、超音波で筋腫組織を壊死させます。

麻酔もメスも必要がなく、日帰りが可能なうえ放射線被爆もありません。また繰り返しの治療ができ、術後の投薬が不要であるというメリットもあります。治療後徐々に小さくなり、3~6か月間で筋腫の体積が約30%縮小したという報告があります。また過多月経などの症状も80~90% 程度に改善をしたという報告もあります。

ただし、デメリットとして治療が長時間にわたってしまうこと、また妊娠に対する安全性が確立されていないことが挙げられます。
また、以下のような場合はFUSで治療を受けることができません。

・超音波が通過する場所に創傷がある
・腹壁から14cm以上の仙骨付近に腫瘍がある
・筋腫と腹壁の間に腸管がある
・筋腫が大きい、複数個できている場合
・腸管や神経を避けられない場合

FUSが適用されるかは、MRIを用いて診断

FUS治療が適用されるか判断するためには、『MRI』を用います。撮影した画像から、筋腫のできている場所や大きさ、個数、タイプ(血流が多い・少ない)をみます。条件を満たさない場合は、治療を受けることができません。

治療費は50万円前後かかる

FUS治療は保険が適用されません。治療費は50万円前後です。

3.再発が少ない「UAE」

筋腫に流れる血を止め、壊死させる治療

『UAE』は、カテーテルを使って、筋腫に流れる血を止め、壊死させる治療法です。

治療の際は、足の付け根を5ミリほど切り、そこからカテーテルを挿入します。子宮筋腫へと血を送っている血管のみを一時的に遮断し、筋腫をすべて壊死させます。

壊死した筋腫は、時間とともに縮小や消失します。平均すると1年で3分の1程の大きさになります。

治療中・治療後の痛みについて

筋腫への血流を止めている間は、強い月経痛のような痛みや骨盤痛が生じますまた、鈍痛と発熱があることがありますが、長くても1週間ほどで軽快します。 痛みには『鎮痛薬』を使い、眠ることができるくらいの痛みに抑えていきます。

再発が少ないのが特徴

UAEは、筋腫の芽まで壊死させることができるため、再発が非常に少ない治療法です。1~3日泊程度の入院が必要で、元の生活に戻るには1週間ほどかかります。月経痛や月経量は、治療した次の月から改善することが多いです。

合併症

UAE後合併症として子宮阻血、または壊死による二次性感染症(子宮内膜炎)により子宮全摘術が必要になることがあるといわれています。その他の合併症として卵巣機能低下による無月経が4~7%認められるといわれています。

UAE を受けられない人

妊娠中または妊娠の可能性のある方、造影剤のアレルギーのある方、造影剤による重篤な副作用があった方、腎機能が悪い方、骨盤内感染症や子宮または卵巣に悪性腫瘍がある可能性が高い方

メリット

・局所麻酔なので体への負担が少ない
・傷がほとんど残らない(数ミリ程度)
・入院期間が短く、早期の社会復帰が可能
・筋腫の個数・大きさによらず適用できる

デメリット

・将来妊娠を希望する場合には適用できない
・効果が低い場合や再発の可能性がある
・再治療が必要なことがある

保険適用になるかどうかは、医師に相談を

UAE治療は保険が適用される場合と、されない場合があります。

保険適用外の場合にかかる費用は約45万円、保険適用の場合にかかる費用は約15万円です。

ただし、金額は医療機関によっても異なりますので、保険の適用とあわせて医師に確認しましょう。

4.MEA マイクロ波子宮内膜アブレーション

子宮筋腫が子宮内膜の直下で発育した場合や子宮腺筋症の場合の、過多月経に対する治療法です。マイクロ波で子宮内膜を焼灼し、月経量を減少させる治療法で、薬物療法をしたけれども効果がない、子宮摘出手術を希望しない、または閉経までの間、過多月経のない生活を送りたい方などにおこないます。

子宮そのものに病気がない方でも、血液をサラサラにする抗凝固薬によって過多月経であったり、はっきりした原因のない方も過多月経があれば治療の対象になります。

メリット

・治療時間が40〜50分程度

デメリット

・全身麻酔を必要とする治療
・妊娠を希望している方、異型子宮内膜増殖症、子宮内膜がんの方は適さない
・入院期間は2泊3日程度必要

まとめ

子宮筋腫が発見され、自覚症状がある場合や、妊娠を希望する場合は治療を検討する必要があります。

「切らない治療」としてFUSやUAEが注目されていますが、現状では体にメスを入れて摘出する方法が一般的です。また、治療を受けられる病院も限られています。

選択肢のひとつとして、こうした治療法もあるということを頭に入れておきましょう。

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