トキソプラズマとは?症状と治療法、妊娠中に感染した場合の危険性について

トキソプラズマ
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【職務経歴】
平塚共済病院
小田原銀座クリニック
久野銀座クリニック

人に寄生して感染を起こすトキソプラズマは、世界中でみられる病気です。

特に暖かい地方で感染しやすく、中央アメリカの気候はトキソプラズマが繁殖しやすい環境であるためで罹患(りかん)している人も多くいます。

しかし、感染したからといって、全員に症状がでるわけではありません。健康体であれば問題ありませんが、妊娠中の方、免疫機能が低下している方は要注意なトキソプラズマについて解説します。

トキソプラズマとは

トキソプラズマ 原因 猫

トキソプラズマの原因となる「トキソプラズマ原虫」は、猫を最終宿主とする三日月形をした寄生虫で、鳥や哺乳類などの恒温動物に寄生します。

トキソプラズマ症とは、これが人に寄生することによって発症する感染症です。

1.感染経路は、食べ物と経口感染!

鶏肉や豚肉、獣肉など、トキソプラズマ原虫が寄生しているものを食べたり、寄生している猫の糞便や、その糞便に汚染されたものが口に入ったりする経口感染がおもな感染経路です。

空気感染や経皮感染(皮膚から侵入して寄生すること)はしません。

ごくまれに、人から人へと感染することもあります。

2.トキソプラズマの症状

急性の場合

急性の場合は、無症状のことも多いですが、初期症状は軽度のインフルエンザ症状に似ています。発熱筋肉痛のように体中がチクチク痛む倦怠感などが表れます。

たまに、リンパ腺が腫れたり、喉が炎症を起こしたり、貧血や白血球が減少するなどの血液異常も起こりますが、自然治癒します。

免疫機能に障害がある方の場合、脳や肺に感染しやすく、脳炎や肺炎、さらには心筋炎など重篤な症状になることもあります。

先天性の場合

トキソプラズマ 母子感染

母子感染などによって、生まれつきトキソプラズマに感染していると、突発的に目に症状がでることもあり、視力障害目の痛み、時には失明をすることもあります。

免疫機能に障害がある方の場合、脳や肺に感染しやすく、脳炎や肺炎、さらには心筋炎など重篤な症状になることもあります。

3.トキゾプラズマの潜伏期間

症状が出るまでの潜伏期間は、経口摂取(口から侵入して寄生すること)してから、最短で5日ほどで現れます。ただ、感染したからといって、免疫力が健常であれば、必ずしも症状がでる訳ではありません。

妊娠中は要注意!胎児に与える影響

トキソプラズマ

妊娠前に感染していた場合

妊娠前に感染しているものであれば、胎児への影響はほとんどありません。

妊娠初期に感染した場合

母体が妊娠中時にトキソプラズマに初めて感染した場合、胎盤から羊水に入り胎児に感染して、生まれながらにして感染している『先天性トキソプラズマ感染』になります。

母体への感染が妊娠初期であれば胎児への影響は強く、重症となりますが、感染率は低めです。

妊娠後期に感染した場合

逆に妊娠後期の感染率は高いものの、症状は軽度ですみます。とくに、妊娠6ヶ月以降に母体が感染した場合、胎児への影響はほぼないといわれています。

しかし、生まれた時からから脳に髄液がたまる『水頭症』になることや、出生時は何の異常もなくても、発育不全や精神発達が遅かったり、脳症のように重篤な病気に罹患したりと、成長とともに症状が表れてくることもあります。

トキソプラズマの検査と治療

1.抗体検査について

トキソプラズマは、妊娠初期に必要に応じて採血での抗体検査を行ない、陰性か陽性かの判断をします。

陽性であれば感染しているということなので、さらに精密検査を行います。近年は抗体陽性保有率の方は7.1%と減少傾向にあります。

2.妊娠中の検査

検査では、感染の時期を推測することもできるので、2章で説明した胎児へのリスクを予測することができます。

また胎児に感染しているかを確認する場合は、羊水穿刺(長い注射針のようなもので羊水内にある胎児細胞を採取すること)をして検査を行うPCR検査によってトキソプラズマの遺伝子の存在を判断し診断を行います。

3.薬をつかったトキソプラズマの治療

トキソプラズマ 治療

健康な人の場合で重篤な症状が出ていない場合は、治療をしないことがほとんどです。

妊娠中や免疫機能が低い方は、抗菌薬のスピラマイシン、ピリメタミンとスルファジアジンの内服で治療します。

妊娠中の初感染の場合は、抗トキソプラズマ作用を示す、抗菌薬の『アセチルスピラマイシン』を内服することで、胎児への感染を6割に抑えることができます。もし胎児に感染してしまったとしても、生まれてからの重症化を防ぐことができます。

胎児の感染がわかった場合は、『ピリメタミンとスルファジアジン』を内服します。

トキソプラズマの予防

トキソプラズマの予防ワクチンはありません。そこで産科ガイドラインでは、トキソプラズマの予防法の1つとして下記を呼びかけています。

  • 野菜や果物はよく洗って食べる
  • 食肉は十分に加熱して食べる
  • ガーデニングや土や砂に触れるときは手袋をする
  • 猫との接触に注意する
  • 猫の糞尿処理はできるかぎり避ける

妊婦だけでなく、日頃からこれらのことを注意することで、感染予防ができます。

また、猫は生肉や加熱が不十分な肉を食べてトキソプラズマに感染することが多くあるので

猫を飼っている方は、餌に生肉や加熱がされていないものをあげないことや、猫を外に出さないことで予防ができます。

さいごに

トキソプラズマ 予防

フランスでは、生肉や加熱が十分でない肉を食べる機会が高く、85%という高い罹患率となっています。比べて、現在の日本では衛生環境も整っている場所が多いため、トキソプラズマ感染も低くなっており、先天性トキソプラズマ感染症も年に10人程度です。しかし、撲滅されているわけ訳ではないので、罹患する可能性はゼロではありません。

早期発見・早期治療で重症化を防ぐことができるので、心配な方や疑いがある方、症状が出ている方は早めに医療機関で相談しましょう。

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