
帝京大学医学部 卒業
同大学付属病院の皮膚科学教室 入局
東京警察病院皮膚科 勤務
渋谷スキンクリニック 開設
一般皮膚科・小児皮膚科および美容皮膚科のを専門に治療に努める。
陽性皮膚腫瘍の外科手術やスキンケアなどを得意とし、アフターケアを大切にすることを心がけている。
「こんなところに!」気づくとできている『シミ』。
そんなシミが、どのようにして出来ているか、知っていますか?
こちらの記事では、日焼けによってシミのできるメカニズムや、皮膚科で受けられる2種類のシミ治療、中高生から大人の女性まで、年代に合わせたシミ予防法を解説します。
なぜ?日焼けでシミが出来る理由
1.シミのできるメカニズム
シミの原因になるのは、肌に増えた『メラニン色素』です。
実は肌を守っている「メラニン色素」
紫外線を浴びると、肌に『活性酸素』と呼ばれる物質が増加します。
この活性酸素が肌に与えるダメージを、一挙に引き受けてくれるのが『メラニン色素』です。日焼けをすると、肌が黒くなりますよね。それは、紫外線から肌細胞を守るために、メラニン色素が作られることによって起こっています。
「シミの原因」のイメージが強いメラニン色素ですが、肌細胞が被害を受けないよう、肌を守る役割を果たしているのです。
新陳代謝の追いつかないメラニン色素が「シミ」に
メラニン色素は『メラノサイト』という細胞から作られています。
適度な日焼けであれば、メラノサイトによって作られたメラニン色素は、新陳代謝によってやがて元の肌色へと戻ります。
しかし、日焼けをしすぎて、新陳代謝の機能を超えたメラニン色素が作られると、元の色に戻れなかった色素が肌に残ってしまいます。これがシミの正体だと考えらえています。
2.年を取るとシミができやすいのはなぜ?
「若いころに比べてシミができやすい気がする…」そんな風に感じたことはないでしょうか。
それにも理由があります。年を取ると、老化により新陳代謝が弱まります。そのため同じ量の紫外線を浴びていても、肌に残る色素は増え、シミができやすくなってしまいます。
3.「ほくろ」や「そばかす」も日焼けによってできるの?
ほくろは日焼けが原因ではない!
「ほくろ」は皮膚の良性腫瘍のひとつです。日焼けによってできるものではありません。原因は、遺伝や外部からの刺激などさまざまです。
ただし、日焼けをすることで色が濃くなり、目立つようになることがあります。
「そばかす」はシミかあざの一種
そばかすの正式名称は、『雀卵斑(じゃくらんはん)』といいます。
これは日本人にはみられません。ブロンドか赤毛の白人に多くみられます。
日本人でそばかすに似た斑点がみられる場合は、『紫外線や加齢によるいわゆるシミ』か、『太田母斑』『遅発性真皮メラノサイトーシス』というあざの一種のどちらかです。
皮膚科で受けられるシミ治療
皮膚科で受けられるシミ治療は、大きくわけて2つあります。外用薬を使用する『外用療法』と、レーザー光線を使用する『レーザー療法』です。どちらも自費治療です。
1.外用療法
外用療法では、一般的に作用の異なる『レチノイン酸』と『ハイドロキノン』という2種類の薬剤を重ねて塗ります。
レチノイン酸には、肌のターンオーバーを促進する作用があります。ハイドロキノンは、しみの原因になるメラニン色素の生成を防ぐ作用があります。
多くの場合、塗り始めて1か月くらい経ってから、徐々に効果があらわれます。
また、刺激の強い薬なので、副作用として、肌に赤みや、かさつきが生じるケースもあります。
薬の費用は、5gにつき数千円かかります。
2. レーザー療法
黒~茶に反応するレーザー光線で治療
レーザー療法では、黒~茶色に反応するレーザー光線を使用します。
1週間ほどでシミの部分にかさぶたが形成され、それが取れると薄ピンク、もしくは肌色の皮膚へ変わります。その後、少し褐色になりますが(炎症後色素沈着)、また数ヵ月をかけて肌色へと変わります。レーザーを照射してから肌色になるまでは、個人差がありますが平均して3か月ほどです。その間、外用療法の際にも使用するハイドロキノンもあわせて使用します。
費用はひとつのシミあたり、3,000円くらいからで、大きさによって変わります。1㎝ほどの大きさになると10,000円くらい費用がかかります。基本的に、レーザーの照射はひとつのシミに対して1回です。
※渋谷スキンクリニックでの費用をご紹介しています。
知っておいてほしい!注意点
レ―ザー療法は、外用療法に比べて短期間で効果が期待できます。
とはいえ、日本人のほとんどに炎症後色素沈着が生じます。炎症後色素沈着は、そもそものシミの色よりは薄いため、かさぶたが取れた段階である程度の改善はみられます。
しかし、照射後すぐにきれいすっきりシミがなくなる、というわけではないことを覚えておきましょう。また、外用薬による治療は長期にわたって継続する必要があります。
3.エステの施術と病院のシミ治療は何が違う?
エステでもシミとりの施術を行っているところはありますよね。それと病院のシミ治療とは何が違うのでしょうか。
病院のシミ治療は「医療行為」
病院で行われるシミ治療は『医療行為』です。そのため、病院で医師の元で受けるものなので、医療レーザーをエステ等で受けることはできません。
また、外用療法で処方されるレチノイン酸も、病院で処方を受けた場合のみ使用が許される薬です。
病気が原因のシミのことも…病院での治療がおすすめ
また、まれに病気が原因でシミが出来ることもあります。何が原因のシミなのかを見誤らないためにも、病院でのシミ治療がおすすめです。
4.自分で改善するのは難しい
できてしまったシミを自分で改善するのは難しいことです。民間療法でシミを消す方法はありません。
ただし、レーザー照射後の炎症後色素沈着であれば、自然治癒も望めます。
シミをつくらないための対策法
治療法があるとはいえ、できればシミができる前に防ぎたいですよね。今日からできる、シミを予防するための対策法を解説します。
1.将来シミを作りたくない!中学生や高校生がするべき対策法
シミの予防は、早くから始めるに越したことはありません。毎日日焼け止めはしっかりと塗っていますか?
屋外にいるときだけでなく、屋内にいるときも日焼け止めを塗ることが大切です。外に出るときは可能な限り、帽子などで紫外線を防ぎましょう。
2.シミを増やさないために。大人の女性の対策法
紫外線を極力浴びない
徹底した紫外線対策が肝心です。
日中、外に出る時間をなるべく減らせるとよいですね。屋外で行うスポーツなどは極力避けるのが賢明です。
抗酸化作用のある成分を取り入れる
また、メラニンの生成を防ぐため、『抗酸化作用』のある成分を積極的に体内へ取り入れましょう。
例えば、『アスタキサンチン』、『ビタミンE』、『ビタミンC』、『ケイ素』、『フラーレン』などです。これらの成分を複数組み合わせてサプリメントで摂取しましょう。また、美容液もあわせて使い、内外からシミを予防するのもおすすめです。
3.シミ対策におすすめの日焼け止めは?
シミを作らないようにするには、1年を通して、SPF50、PA++++、の日焼け止めの使用を推奨します。
4.紫外線をたくさん浴びてしまった!そんなときの応急処置
日焼けは『軽いやけど』をしている状態です。紫外線をたくさん浴びてしまったら、『冷却』と『保湿』を心がけましょう。
また、肌には活性酸素が大量に発生しています。先に解説した『抗酸化作用』の高い成分を、身体の内外から摂ることも大切です。
おわりに
シミ対策は毎日の積み重ねが大切!
シミは、紫外線を浴びてから何年もあとになって出てきます。
今から数年後、数十年後の肌は、毎日の努力の積み重ねによって違ってきます。紫外線対策をしっかり行い、抗酸化作用のあるサプリメントや美容液を普段のケアに取り入れましょう。
また、若いころのUVケアが、30代以降の肌に影響を及ぼします。早くから紫外線予防を始めましょう。外に出るときは勿論のこと、屋内でも日焼け止めをしっかり塗ることも忘れないでください。
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