くも膜下出血にかかると…どんな症状があらわれる?前兆や原因について

くも膜下出血
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岡村長門先生

監修者

岡村クリニック

院長:岡村長門 先生

【職務経歴】
戸田中央総合病院
埼玉医科大学
公立昭和病院
岡村医院
岡村クリニック

『くも膜下出血』は、日本人の死因の4位でもある、『脳卒中』に含まれる病気のひとつです。

くも膜下出血は、発症すると死亡率の高い病気として知られています。そこで、日頃から発症のリスクを下げることが大切です。

この記事では、くも膜下出血症状や前兆、予防について解説します。

くも膜下出血について

1.くも膜下出血とは

名前の通り、脳の『くも膜』の内側に出血がみられる状態を『くも膜下出血』といいます。

脳は、外側から『硬膜』、『くも膜』、『軟膜』の3枚の膜で覆われています。くも膜と軟膜の間に『脳脊髄液』という液体があり、くも膜下出血はこの部分から出血します。

くも膜下出血

2.くも膜下出血の原因とは

もっとも多い原因は「脳動脈瘤」の破裂

くも膜下出血の原因でもっとも多いのは、『脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)』の破裂です。

脳動脈瘤は、破裂するまで症状がないことがほとんどです。動脈の枝分かれする部分に多くみられます。

そのほか、脳動脈解離や外傷、脳血管の奇形など

そのほかの原因には、脳血管がさけて出血する『脳動脈解離』や外傷、脳血管の奇形である『脳動静脈奇形』からの出血があります。

飲酒や喫煙などが、くも膜下出血のリスクを高める

また、くも膜下出血が起こりやすくなる要因([『危険因子』)として、『飲酒』や『喫煙』、『高血圧』などが挙げられます。一方で、原因の分からないケースもあります。

3.くも膜下出血の症状について

主な症状は、激しい頭痛と吐き気

くも膜下出血

くも膜下出血の主な症状は、『激しい頭痛』と『吐き気』です。

多くの場合、今までに経験したことのないような強い頭痛におそわれます。くも膜下からの出血が、脳の痛みを感じる部分を刺激することで、激しい頭痛が引き起こされます。

加えて吐き気や嘔吐、意識を失うといった症状をともなう場合があります。

出血部位によって、けいれん発作を起こすことも

また、出血部位によっても症状は異なります。脳動脈瘤や、脳動静脈奇形から出血している場合は『けいれん発作』を起こすこともあります。

脳内出血や、脳梗塞との症状のちがい

脳内出血や脳梗塞の場合は、半身の運動麻痺をともなうことがほとんどです。頭痛もあまり感じません。しかし、くも膜下出血の場合は、手足の麻痺が生じないことも多々あります。

4.くも膜下出血に前兆はある?

くも膜下出血

軽い頭痛が生じることも

くも膜下出血の前兆として、『軽い頭痛』が起こることがあります

この状態では、すでに軽い出血が生じている可能性があります。症状が軽度でも、早めに病院を受診することが大切です。

目の後ろの動脈瘤によって、見えづらさやまぶたの下がりを感じる

また、目の後ろの動脈に動脈瘤ができている場合に、『ものが見えづらい』、『まぶたが下がってくる』などの症状があらわれることがあります。これは、眼球を動かす動眼神経を、動脈瘤が圧迫することで起こります。

くも膜下出血の治療について

1.くも膜下出血の検査法

くも膜下出血

まず、頭部の「CTスキャン検査」をおこなう

くも膜下出血が疑われる場合、まず頭部の『CTスキャン検査』をおこないます。くも膜下出血が起こっているときに画像を確認すると、出血している部分が白っぽくうつります。

CTで出血が確認できなければ、MRI検査

ただし、出血量が少ない場合や、発症から時間が経っている場合は、CTスキャンで出血が確認できないケースもあります。その場合はMRI検査をおこないます。

診断が難しい場合は、脳脊髄液を調べる

CTスキャン検査やMRI検査をおこなっても、くも膜下出血と診断できない場合は、『脳脊髄液』に血液が混ざっているかを調べます。脳脊髄液は、背中側の腰椎(ようつい)から針を刺して採取します。採取した脳脊髄液に、血液が混ざっていれば、くも膜下出血と診断されます。

2.くも膜下出血の内科的治療について

くも膜下出血

内科的治療には、『血圧のコントロール』や『止血薬』の投与があります。

しかし、内科的治療だけで、脳動脈瘤の再破裂を防ぐことは難しいです。そのため再破裂を防止するために手術が必要になります。

3.くも膜下出血の手術について

2度目の破裂を防ぐために、手術が必要!

くも膜下出血

脳動脈瘤は、一度破裂すると、数日で再度破裂することが多いです。2度目に脳出血が起こると死亡したり、重い後遺症が残ったりする可能性が高くなります。

そのため、2度目の出血を予防する手術を、早急におこなう必要があります

脳動脈瘤クリッピング術

脳動脈瘤クリッピング術は、頭蓋骨を開けておこなう手術で、患者への負担は大きいです。

開頭して出血を取り除きながら、脳のすきまをはがして動脈瘤を取り出します。取り出した部分は金属製のグリップで閉鎖します。グリップは特に理由がない限り、その場に留置したままです。

脳血管内治療による、脳動脈瘤塞栓術

脳血管内治療は、グリッピング術の実施が困難な場所に出血がある場合や、患者への負担を少なくする場合に用いられます。

『カテーテル』と呼ばれる細い管を、動脈瘤の中まで通して、やわらかいプラチナ製のコイルを送り込みます。そのコイルを、動脈瘤の内部につめて閉塞します。

手術できないケースはある?

患者がすでに昏睡状態にある、もしくは出血量が多すぎて命を落とす危険性がある、という場合、手術が難しくなることがあります。

また、出血部位が特定できない場合も、同様に手術が難しくなります。

3.治療後に、「水頭症」を発症することも

脳脊髄液が過剰にたまった状態

くも膜下出血の治療後、『水頭症』という症状があらわれることがあります。

水頭症は、脳脊髄液が頭の内側に過剰にたまった状態です。脳脊髄液が流れる『くも膜下腔』にある血腫が、約1ヶ月かけて周りの組織と癒着し、脳脊髄液に循環障害を引き起こします。これがゆっくり脳の中にたまることで、水頭症が起こります。

水頭症の症状や治療について

水頭症にかかると、症状として『認知症』や『歩行障害』、『尿失禁』などが生じます。

水頭症の治療としては、脳脊髄液を腹腔か心房へ導く管を入れる手術をおこないます。

くも膜下出血の予後や予防について

1. くも膜下出血は再発する?

くも膜下出血

10年以内に再発する確率は60~80%

くも膜下出血の再発率は非常に高いです。10年以内に再発する確率は60~80%ほどです。

くも膜下出血が再発するワケ

再発する理由は2つ考えられます。

1つは、脳血管の損傷です。手術時にわからなかった血管の損傷があった、1度目の出血のさいに損傷し、かさぶたのようになっていたなどのケースがあります。

2つめは、『未破裂動脈瘤』からの出血です。1度目で出血しなかった動脈瘤が、時間とともに大きくなって破裂してしまいます。

手術後も、再発を防ぐための取り組みを!

このようにくも膜下出血は手術を終えてからも、再発する可能性があります。再発を防ぐために、血圧をコントロールしたり、定期検査を受けて経過を観察したりすることが大切です。

2.くも膜下出血の後遺症について

後遺症を残さず社会復帰できる人は約30%

くも膜下出血

くも膜下出血を発症して、後遺症を残さず社会復帰できる人は全体の約30%です。

50%の人が初回の出血で命を落とします。初回の出血で命を落とさなくても、残りの20%の人には後遺症が残ります。

後遺症は、麻痺や言語障害、感覚障害などさまざま

後遺症は、出血した部位や量、発症から治療までの時間によってさまざまです。

『麻痺』や『言語障害』、『感覚障害』、『記憶障害』、視野がせまくなる『視野障害』などの後遺症が残ることがあります。

3.くも膜下出血の予防法

定期的に、健康診断や脳の検査をうける

くも膜下出血

くも膜下出血は、症状が出て始めて病気に気がつくことが多いです。そのため、定期的に健康診断や脳の検査を受けることが大切です。

高血圧の人はくも膜下出血で死亡するリスクが3倍?

先に解説したように、『高血圧』はくも膜下出血の危険因子です。

高血圧の人は、そうでない人に比べて、くも膜下出血で死亡する可能性が3倍になるともいわれています。

高血圧は、脳の血管に高い圧力がかかるため、くも膜下出血になる可能性が高まります。高血圧の人は、改善につとめましょう。

喫煙も脳血管に影響を与える

また、喫煙も脳血管へ影響を与え、くも膜下出血を引き起こすリスクになります。禁煙も、くも膜下出血の予防につながります。

ストレスが血管を傷つけることも…女性は特に注意!

さらに、過度なストレスは血管を傷つけ、くも膜下出血のリスクを高めます。特に女性は、ストレスの影響を受けやすい傾向があります。普段から、ストレスや疲れをためすぎないように心がけましょう。

まとめ

くも膜下出血は、発症してから気がつくことも多い病気です。

一方で、定期的に病院を受診したり、前兆を見逃さないようにしたりすることで、予防できるケースもあります。

また、生活習慣の改善も重要です。禁煙や高血圧の改善につとめ、くも膜下出血にかかるリスクを少しでも減らしましょう。

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