細菌性赤痢の感染拡大…重症化しやすい子どもの安全を守るには?

細菌性赤痢
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目黒区の保育園で赤痢の集団感染が確認されました。園児20名と職員1名が細菌性赤痢と診断され、目黒区保健所に発生届けが提出されました。※

赤痢は感染力が強いため、家族や周りの人へ感染拡大の危険性が問題視されています。

ただ、「赤痢」という病名は聞いたことがあるけれど、どのような病気なのかよく知らないという方も多いのではないでしょうか?

そこで、「医療法人博信会 医学博士 岡村信良先生」に細菌性赤痢について症状や感染経路、子どもが感染したときの対処法や予防法などについて解説していただきました。

※2018年10月23日の報道より

細菌性赤痢の症状や感染経路について

今回園児らが診断された「細菌性赤痢」とはどんな病気なのか、岡村先生にお聞きしました。

「赤痢には今回の『細菌性赤痢』と『アメーバ赤痢』があります。前者は赤痢菌によって発生し、患者や保菌者の便や汚染された手指などを通して人から人へ感染します。後者は寄生虫の一種『赤痢アメーバ原虫』が原因となる感染症です。発展途上国から帰国した時によく見られる感染症で、細菌性赤痢とは別の病気です」

また、どのようなことが原因で感染するのかについては、「細菌性赤痢は、経口感染します。患者や保菌者の便や便器、便に触れた手指、食品、食器便にたかるハエからも感染します。日本国内の発症では、国外の感染者からの二次感染、輸入食品の汚染が主な原因だと考えられます。また、牡蠣や輸入された猿が感染源になったこともあります」

細菌性赤痢は経口感染するということで、日常生活で注意が必要です。

子どもが重症化しやすい理由

今回、大人の感染者が1名に対し、20名もの子どもの感染が確認されています。大人と子どもでは、やはり子どものほうが感染しやすいのでしょうか?

岡村先生によると「子どもは通常の手指消毒や洗浄が足りていないことが多いうえ、大人よりも免疫力が低いため、感染しやすく重篤化しやすいと考えられます。また、人口が密集している学校、保育園での生活やそれらの施設の衛生管理が低い場合、容易に集団感染します。

これらは、おむつの処理場所や方法、共有のトイレの使用などが原因として考えられます。加えて手や指、ものを舐める癖がある子どもも多いので注意が必要ですね」

感染するとどんな症状が出るのかについては、「通常1~3日程度の潜伏期間があり発症します。寒気や全身の倦怠感、発熱、水下痢、腹痛、脳粘血便、便意はあるのに、少ししか出ない『しぶり腹』と言う症状などがあります。

最近では重症例が少なくなってきていますが、軽度の発熱と数回程度の下痢で治療する場合や無症状なことも多くあります。ただし、子どもや高齢者、免疫が低下した状態の人は、重症化しやすいため注意が必要です」

しかし、重症化するとどうなるのか、どのレベルで入院になるのかについてもお聞きしました。

「重症化するとひどい下痢症状、血便が治まらない、高熱が下がらなくなるということがあります。また、下痢を伴うため、水分が自分自身で摂れなくなり、点滴が必要な場合や、高熱で経過を追うことが必要な状態などは入院となることも考えられます」

下痢や発熱を伴う体調不良が見られる場合には、重症化する前に医療機関を受診すると安心です。感染症の場合には、早期に受診することで感染拡大を防ぐことにもつながります。

医療機関で行う治療法について

細菌性赤痢の患者を確認した場合、医療機関ではどのような対処をするのかについて岡村先生はこう説明してくれました。

「細菌性赤痢は3類感染症のため、診断した医師は患者が出るたびに直ちに最寄りの保健所に届けます。届け出が必要な感染症は1類感染症(エボラ出血熱、ペストベストなど)から4類感染症(E型肝炎、A型肝炎など)まであります」

治療法については「主に抗菌薬を処方します。乳酸菌やビフィズス菌などの生菌整腸薬を使うこともあります。自宅では、スポーツドリンクや経口補水液で水分を補給しましょう。健康な方であれば、治療を行わなくても4~7日程度で改善していきますが、念のため医療機関へ行くのが安心です」

感染すると保育園や学校はどうなる?

細菌性赤痢と診断されたら、保育園や幼稚園、学校は出席停止※になるのか、また、その期間はどれくらいなのでしょうか。

※出席停止・・・学校保健安全法に基づき、定められた感染症の感染予防を目的とした出席停止期間のこと

「細菌性赤痢は3類感染症に定められています。病状により学校医や、そのほかの医師が感染の恐れがないと認めるまで出席停止になります。個人差はありますが、4・5日~1週間弱と考えてください」

治癒後、登校の際には治癒証明※が必要かどうかについては「登校の際には診断書、もしくは学校の認めている同列の治癒証明が必要となります。ほかにもコレラ、腸チフス、腸管出血性大腸菌感染症、流行性結膜炎、急性出血性結膜炎など治癒証明が必要となる病気が多数あります」

※治癒証明…病気が治癒し、感染の恐れがないことを医師が証明する書類。これがあると、出席停止期間でも欠席扱いにならない

家庭内や学校で注意すべきこと

自分や家族が細菌性赤痢に感染した場合、ほかの家族にうつさないためにも家庭内でどのようなことに注意すると良いのか聞いてみました。

「細菌性赤痢には予防ワクチンがありません。感染者が出たら、感染しないように徹底的に消毒をしてください。排便後のトイレ、ドアノブ、水道の蛇口などをアルコールや消毒液で消毒をしてください。

子どもが感染し、使用済のおむつに触れる際は、使い捨て手袋を着用して処理をしましょう。便で汚れた衣類は煮沸や消毒をして、家族と別に洗濯をしてください。これらの処理をした後は、必ず手洗いをしましょう」

最後に、保育園や学校で細菌性赤痢の感染報告があった場合、子どもを感染から守るために、どのようなことに気をつければ良いかについて岡村先生はこう説明しています。

「衣類や持って行ったものは消毒を行いましょう。赤痢菌は熱に弱いので、食事は十分な加熱調理を行い、手指消毒、石鹸による念入りな手の洗浄をおこなってください。

また、おもちゃや本、トイレ、階段の手すりなど家族が触る共有部分の消毒も同時に行いましょう。細菌性赤痢が出た施設の検査、消毒が終了するまではできれば学校や保育園は休ませてください」

 

小さな子どもが下痢や腹痛で苦しむ姿を見るのは、親として心が痛みます。自分や家族が細菌性赤痢に感染したときはもちろんのこと、身近で感染が確認されたとき、どのように対処すべきか知っておくことは感染拡大を防ぐことにもつながります。

 

取材協力:医療法人 小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長・岡村信良先生

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