
1993年 私立駒場東邦高等学校卒業
1999年 慶応義塾大学医学部卒業
1999年 慶応義塾大学医学部皮膚科入局 静岡市立清水病院、慶應義塾大学病院助手 三井タワークリニック さくら皮膚科スキンケアクリニック(調布市仙川)院長
2010年 成城スキンケアクリニック開院
2015年 独立行政法人成育医療センターにて、乳幼児のレーザー治療(全身麻酔)を担当
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
質の高い医療を目指し、患者さん一人ひとりに合った治療法を提供。
夜間や日曜日の診療、日帰り手術を行うことで、患者さんに寄り添った診療を心がけている。
体に赤いほくろのようなものが現れることがあります。
気がつくと複数個できていることもあり、「癌や病気のサインなのでは…」と不安になる方も多いでしょう。
この記事では、赤いほくろの正体について説明します。
赤いほくろの「老人性血管腫」の特徴
赤いほくろに見えるものは、ほくろでなく『老人性血管腫』です。
老人性血管腫とは毛細血管が増殖して皮膚の上に露出したもので、欧米では『ルビースポット』や『cherry angioma(訳:サクランボのような血管腫)』などと呼ばれています。
1.老人性血管腫の特徴
簡単に言うと血管が浮き出ている状態で、特に顔・胸元・背中・腕などによくみられます。
大きさは1~4㎜程度であることが多く、やや盛り上がっています。
2.痛みやかゆみはある?
基本的に、痛みやかゆみといった症状はありません。
ただし気になって過剰に触ると出血することがあり、その場合は多少の痛みを伴う可能性もあります。
3.血豆との違いは?
視覚的には血豆と似ていますが別物です。
血豆は、ぶつけたり挟んだりした衝撃で内出血が起こっている状態です。大きさはあずき粒ほどで、ほとんどが盛り上がっています。
一方で老人性血管腫は血豆と比べて小さく、膨らみがみられないという特徴があります。
老人性血管腫ができる原因
原因は明確にはわかっていませんが、次のような要因が考えられます。
1.紫外線によるダメージ
顔や胸元、腕などは日光に当たりやすい部分です。
そのためこのあたりにできる老人性血管腫は、紫外線によるダメージが原因だと考えられています。
血管の壁をつくる細胞が紫外線によって傷つくことで生じるとされています。
2.加齢
老人性血管腫は加齢とともにできやすくなる傾向があり、30歳以上の人によくみられます。
そのため老化も原因のひとつと考えられています。
3.遺伝
若年層でも老人性血管腫ができる可能性があり、日が当たらない部分(腹部など)に発症するケースもあります。
この場合、紫外線や加齢は原因としてあてはまらないため、遺伝的要素も強いと言えるでしょう。
特に色白の方にみられる傾向があるようです。
4.その他の原因
次のような要因も、少なからず関係していると考えられています。
- 妊娠
- 化学薬品の摂取
- 持病
- 気候の変化
老人性血管腫の除去について
1.老人性血管腫は除去した方が良い?
特に害はないので、そのままにしていても問題ありません。
とはいえ自然に消えるものでもなく、視覚的に気になる方は皮膚科で除去する必要があります。
2.除去方法は?
除去方法はいくつかあり、一度除去すれば再発することはほとんどありません。
凍結療法
液体窒素を用いて患部を急速凍結することで、治療後1~2週間以内にかさぶたになって取れます。
簡単にできて痛みもほとんどありませんが、次のような反応が起こる可能性があります。
- 処置後より半年~2年間ほど色素沈着が生じる
- 『瘢痕(はんこん)』と呼ばれる傷跡が残る
レーザー治療
炭酸ガスレーザーを患部に直接照射します。水に吸収される性質を持つため、水分を含む皮膚に効果を発揮します。
色や性質に関係なく皮膚を蒸散させて削り取るため、いぼやほくろにも用いられる治療法です。
比較的痛みは少なく、跡もそれほど目立ちません。
切除
レーザーなどで取りきれない大きさのものは、メスで切除します。
切除後、縫合した部分には線状の跡が残ります。
3.除去は保険が適応される?
基本的に老人性血管腫の切除は保険が適応されません。
ただし、凍結療法なら保険診療となる場合もあります。
治療費の確認も兼ねて、事前によく相談しましょう。
赤いほくろは病気や癌のサイン?
悪性黒色腫(メラノーマ)や基底細胞癌といった病気の症状として、赤いほくろができることもあります。
赤いほくろが次のような状態なら、老人性血管腫ではなく他の可能性が高いのですぐに皮膚科を受診しましょう。
- 出血が止まらない
- 大きくなる
- 急速に盛り上がる
- 色調が変化する
癌の可能性は?
赤いほくろがあるだけでは癌と診断できません。
ボコボコしていたり左右非対称であったりと、いびつな形をしている場合は癌の疑いがあると言えるでしょう。
まとめ
赤いほくろのようなものは、実際にはほくろではなく老人性血管腫とよばれるものです。
放っておいても特に害はないですが、気になる方は皮膚科で除去しましょう。
老人性血管腫の除去は基本的に自由診療なので、保険診療を希望する方は事前に確認することをおすすめします。
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