
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
冬の寒い時期や、エアコンの効いた室内にいるとき、「手足が冷たい」「しびれる」などの症状を感じたことはありませんか?「冷え症だから…」と思っていると、思いもよらない病気にかかっているかもしれません。
こちらの記事では、冷え症に似た症状があらわれる病気、『レイノー症候群』の、治療法や原因について解説します。
レイノ―症候群とは
1.冷え症に似た「レイノー現象」を起こす病気
レイノー症候群とは、「冷え症」にも似た症状を引き起こす病気です。
何らかの原因によって『レイノー現象』を起こす病気を総称して、『レイノー症候群』といいます。
レイノー現象とは、冷たいものに触れたときや、寒さ、精神的ショックなどによって、手足の指先が、蒼白から紫色に変化し、冷たくなる症状のことです。症状は、左右非対称におこります。
年齢や性別などに関係なく、あらゆる人にかかる可能性のある病気です。
2.若い女性に多い!レイノー病
レイノー症候群の多くは、他の病気によって引き起こされます。一方で原因となる病気がなく、末梢血管の循環不全によるものは、『レイノー病』と呼ばれます。
レイノー病の場合は、左右対称に症状があらわれます。また、若い女性に多いのも特徴です。
レイノ―症候群の原因や症状
1.レイノー症候群の原因になる病気
先にも述べたように、レイノー症候群のほとんどは、他の病気がきっかけで起こります。例えば、次の病気があげられます。
・膠原病…全身性エリテマト―テス(SLE)や強皮症など
・閉塞性動脈疾患…閉塞性動脈硬化症やビュルガー病など
・神経を圧迫する病気…胸郭出口症候群など
・ピアニスト・タイピスト・林業従業者などにみられる、振動からくる病気
2.レイノー症候群の症状
冷水にふれたときや、寒さ、精神的ショックなどの刺激を受けると、手足末端の血液循環障害が起き、次のような症状が起こります。
軽症であれば痛みやしびれ、倦怠感など
軽症の場合、四肢に血がまわらなくなることによる『痛み』や『しびれ』、『冷感』、『倦怠感』などが起こります。数分経つと元の状態に戻ります。
重症化すると皮膚の硬化や壊死を起こすことも…
症状が重くなると、手足や足首から軽症のときと同じ症状が出ることもあります。また、次第に元の状態に戻りにくくなっていきます。
こうした症状を長期にわたって繰り返すと、皮膚が硬くなる『皮膚硬化』や、皮膚粘膜が炎症を起こして、傷が深くえぐれる『皮膚潰瘍(かいよう)』になるケースもあります。
さらに、動脈の閉塞が起き、長時間続くと、指先が壊死して黒く変色します。こうなると、指を切断せざるを得なくなることもあります。
レイノー症候群にかかったら…検査や治療法について
1.はじめは内科の受診がおすすめ
レイノー症候群が疑われる場合、まずはじめは内科の受診がおすすめです。
原因となる病気が、膠原病などの専門的な治療を必要とするものであれば、紹介状を書いてもらうことも可能です。
2.検査方法
レイノー症候群の検査では、まず原因となる病気が何なのかを調べます。複数の検査を実施しながら、原因を突き止めていきます。
寒冷刺激
冷却刺激を与え、蒼白発作を引き起こすことで、レイノー症候群かどうか調べます。
サーモグラフィ
体温の変化を調べます。
毛細管顕微鏡検査
毛細血管のゆがみ等を調べます。
血液検査
膠原病や閉塞性動脈疾患など、レイノー症候群を引き起こす他の病気の有無を調べます。
整形外科的なテスト
レイノー症候群を引き起こす病気、胸郭出口症候群にかかっているかを調べます。
3.治療方法
まずは、レイノー症候群を引き起こしている病気の治療を行います。
つぎに、レイノー症候群そのものの治療として『薬物療法』や、『交感神経ブロック療法』、『リラクゼーション法』などを実施します。
薬物療法
基本的には薬を使って治療します。
『血管拡張薬』や『鎮痛剤』、『抗生物質』などを用いて症状の緩和につとめます。
交感神経ブロック療法
痛みの原因となる、神経線維の『末しょう神経や』『交感神経節』に対して、局所麻酔薬を浸透させる治療法です。痛みの緩和が期待されます。
リラクゼーション法
日常生活における寒冷の回避や、禁煙、ストレス解消につとめる治療法です。カウンセリングも行います。普段の生活を見直すことで、心身の恒常性を取り戻し、リラクゼーションをはかります。
レイノー症候群の治療には、早期発見・早期治療が大切です。早めに病院へ行き、原因となる病気をつきとめることで、他の病気の治療も早くすすめることができます。
4.普段の生活で気をつけること
普段の生活でも、身体を冷やさない工夫が必要です。次のことを心がけましょう。
・日頃から防寒を心がける
・手足を冷やさないようにカイロを持つ
・外出時に手袋を付ける
・冷水を使わない
・疲労やストレスをためない
・禁煙する
タバコには血管収縮作用があり、血流障害を起こす可能性があります。そのため、禁煙をおすすめします。
まとめ
レイノー症候群は、早期発見・早期治療が大切な病気です。
「自分は冷え症だ」と思い込んでいる人の中にも、実はレイノー症候群にかかっている人がいるかもしれません。気になる症状があれば、早めに医療機関で診察を受けましょう。
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