思春期の子どもと向き合うコツ!言葉で伝える大切さとは?

思春期
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監修者

鎌田桃子 さん

臨床心理士

慶應義塾大学で社会学を専攻
大学卒業後、カナダで児童英語講師養成課程を修了
一般企業勤務、公立中学校教員を経て明治大学大学院臨床心理学専修修了

心理士としては適応指導教室、児童相談所、教育相談室に勤務し、主に子どもとその保護者の臨床をフィールドとしている。
男女二児の母として、臨床に携わりながら自身の育児にも奮闘中。

思春期は大人になるまでに誰もが通過してきた時期だと思います。人生をライフサイクルでみるとどの時期にも危機があると往年の心理学者たちは唱えています。

こと思春期については自分の経験とも重ね合わせ、難しい時期だと考えるパパママも少なくないのではないでしょうか?

ここではそういった心配が少しでも軽くなるように、思春期のお子さんと向き合うヒントを少しご紹介できればと思います。

思春期はいつからいつまでなの?

思春期とは、子どもから大人へと心身ともに変化していく時期です。心の面では大人に甘えたい、頼りたいという子ども時代から、”自分”であるいは“仲間やパートナー”と乗り越え、大人へと脱皮していく繋ぎの時期です。これは、「さなぎの時期」ともいえます。

身体面ではいわゆる第二次性徴といわれるさまざまな変化が訪れます。思春期の始まりは、この第二次性徴を基準にすることが多く、学年でいうと小学校高学年くらいから中学生くらいまでといわれています。

ただ、個人差も大きくその終わりがなかなか見えずに高校生、大学生と最近では長い思春期を送るケースも珍しくはありません。

それは、この時期が心身ともに大きな変化があり、乗り越えていく課題が大きいため、それにどう向き合い、乗り越えていけるかという点で差が生まれてくるように思います。

思春期の子どもは多くのストレスを抱える

この時期の子どもたちは自立に向けて微妙な立場にいます。周囲の認識もそうですが、「もう大人だ」と思う一方で、「まだ子どもだから」と甘えたい気持ちもある、そんな両価的な立場です。

こうした気持ちの揺れに、先に述べたさまざまな変化や環境が加わり、思春期は多くのストレスにさらされて心身ともに不安定な時期になります。

ストレスのもとになる変化は、「身体的な変化」と「心理面の変化」の2つに分けられます。

身体的な変化

身体的な変化は自分の意思とは関係なく突然やってくるものです。知識としてある程度知ってはいても、それまで慣れ親しんだ自分の身体が変わっていくことは、大人になっていくことへの喜びにも恐怖にもなり、子どもたちの心を不安定にさせます。

実際にホルモンバランスの変化で心身に不調をきたすケースもあり、そういった面へのケアも必要です。

心理面の変化

心理面の変化では自己意識と他者意識が同時に高まっていきます。この時期は「自分は人からこう見られているのではないか」と、他者の目に対する意識が強くなります。

ただこの他者の目は必ずしも現実とは一致せず、この自分が生み出した観念に振り回され、自己像は揺れやすく、時に過剰に自信を持つこともあれば大変傷つきやすくもなります。

そしてこの不安的な自己を支える大きな存在になるのが友だち(仲間)で、良いことも悪いことも共有して乗り越えていく親密なグループが生まれやすくなります。

しかし支えになる一方で、こうしたグループは排他的であることが多く、グループに入れなかったことで孤立してしまったり、グループ内でもちょっとしたことがきっかけで排除され、いじめにまで発展したりといったケースは珍しくありません。

また、近年はスマートフォンの普及に伴い、LINEを始めとするSNSなど、子どもを取り巻く人間関係がより複雑になってきています。リアルな世界での人間関係を補完するものとして支えになる場合もありますが、逆に苦しめる場、ひいては非行や犯罪への窓口になる場合もあるので注意が必要です。

さらに、こうした複雑な人間関係に対応していく高度なスキルが求められ、大きなストレスが生じるというもの事実です。

日常の人間関係から少し離れた人との関わりが大事

思春期にはさまざまなストレスを乗り越えていく必要があり、子どもたちにとっては非常に大変な時期なのですが、これを支える存在として「ナナメの関係」というものがあります。

教師や親といったタテの関係には反発し、本来は支えてくれる友だちとのヨコの関係ではさらけ出しにくいことを、少し前に同じようなことを経験したちょっと年上のナナメの関係の相手がうまく受け止めてくれることは少なくありません。

部活の先輩や、学童の指導員さん、習い事や趣味のイベントで出会った人、長期休み中の短期留学や野外活動などで出会った人など、日常の人間関係から少し距離がある人との関わりが、この時期をうまく乗り越える助けになる場合もあります。

思春期の子どもへの対応の仕方

「第1次反抗期」と対応は同じで良い

皆さんはわが子のいわゆる「第一次反抗期」を覚えていますか? 最近では「イヤイヤ期」とも言われる時期です。

子どもは歩いたり、言葉を覚えたりする中で、できることが少しずつ増えていくと、何でも自分自身で解決したいと思うようになります。

親が手を貸そうとすると「イヤイヤ」して、でも、まだ思うようにできないために「イヤイヤ」する…この揺れに、パパとママは根気強く付き合って成長を見守ってきたことと思います。

思春期の頃の反抗期を「第二次反抗期」と呼んでいますが、実は基本的な姿勢は「第一次反抗期」と同じといえます。

子どもに共感し、言葉で返す

子どもの「嬉しい」「悲しい」「悔しい」「辛い」といった気持ちにまずは共感し、その気持ちを言葉で返すことが大切です。

言葉にされることで、子どもは自分の気持ちが受け止められたと安心し、気持ちを整理することにつながります。

もちろん、親からすると子どもの言い分に共感しかねる時もあると思います。でも、子ども自身がそう思ったのであれば、まずは子ども自身の気持ちや考えを否定せず受け止めてあげることが大切です。

尊重し、“I”メッセージで伝える

その上で、「あなたはそう思ったんだね。話を聞いて私はこう思ったよ」と、親から発するメッセージはできるだけIメッセージで伝えるとよいと思います。Iメッセージとは、相手のことについて話していても「あなたが」ではなく、「わたしが」感じた主観として伝え、相手の考えや行動を断定しないことです。

そうすることで子どもの思いは否定せず、1人の人間として尊重していることを示しながら、別の視点を与えることができます。パパやママからすれば、子どもがつまずいている、あるいは困っている場面で最良と思われる策を経験から知っているかもしれません。

でも、「第一次反抗期」と同じで、「口を出したい」「手を貸したい」という気持ちを抑えて見守ることで、子どもは自分で課題を乗り越えて成長していく力を持っています。

子どもの力と親子関係を信じる

子どもが向き合う課題や、関わる世界が幼少期よりも複雑で見えにくくなり、自立心の芽生えから反発し、声をかけても「うるさい」と無視されることもあるかもしれません。

パパやママ自身も不安になりやすく寂しさもあるかとは思いますが、子どもの力とこれまで培ってきた親子関係を信じ、親も踏ん張る時期かもしれません。過度に干渉し過ぎず、少し距離をとって見守り、でも何か異変を感じたときには、気持ちを受け止めた上でIメッセージで心配していることを伝え、やりとりをする――。

もちろん、自分たちで解決しがたい時には専門家(身近なところではスクールカウンセラーや自治体の教育相談室、子ども家庭支援センター、児童相談所など)を頼ることができるので、敷居を高く考えず活用してもらえたらと思います。

まとめ

思春期は、子ども自身が大人になっていく過程の時期です。親としては少し寂しさも感じるかもしれませんが、それでも根底で子どもを支えるのは親御さんです。

パパやママが子どもの港になり、「大丈夫、いつでも見守っている。そしてもしもあなたが傷ついたとき、私たちはいつでもあなたの味方で、あなたが帰る場所はここにある」ことを伝え続けることが大切です。

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