パワハラをする心理と、受けた側がするべき解決策

パワハラ
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監修者

杉山崇 教授

神奈川大学人間科学部 教授
心理相談センター 所長
臨床心理士(公益法人認定)
1級キャリアコンサルティング技能士(国家認定)

学習院大学大学院修了
精神科、教育、福祉、産業など各領域の心理職を経て日本学術振興会特別研究員に。
神経(脳)活動・心理過程・社会的関係の相互作用を考慮したうつ病研究を行う。
「心理学で幸せを増やす」をテーマに教育研究および心理・キャリア相談に従事する一方でテレビや雑誌などメディアを通じた啓発活動の実績も多数。

女子体操のパワハラ問題が話題になりましたが、その上で、構造的にパワハラが起こりやすい組織や集団の力学も議論されています。

世の中には人知れずパワハラに苦しんでいる人はたくさんいます。パワハラを苦にした自殺も跡を絶ちません。平成28年度の厚生労働省の資料ではパワハラの相談件数が増加傾向にあることも示唆されています。

9月10日~16日は自殺予防週間です。パワハラの最悪の結末としての自殺を防ぐためにも、なぜパワハラが発生するのか、その仕組みを理解して加害者にも被害者にもならないように考えてみましょう。

パワハラは良識のある人でも起こし得るもの

パワハラとは社会的なパワー(権限)の差を背景にした嫌がらせ行為のことです。職場では上司や教育役の先輩、立場が上の取引先などが加害者になりがちです。

組織が権限を与えた人が、その権限を自分のスキルか才能のように思ってしまうと発生しやすくなります。そしてパワハラをする側の心理としては、パワハラの自覚がないことが多いようです。むしろ「正しい行い」「良い行い」をしていると感じていることもあります。

これは加害者の人間性に問題がない場合でも起こりえます。自覚がなくなる理由は、組織が与えた権限が役割における目的を遂行するためのものだからです。人は目的遂行に気持ちが集中してしまうと、人の気持ちを考えられなくなるのです。

脳の構造的な問題で起こってしまうパワハラ

前述のようなパワハラは人の脳の宿命のようなものです。脳の構造的に目的遂行のネットワークと人の気持ちを察するネットワークはお互いに抑制し合う関係にあるのです。

その結果として、下の者を目的達成に誘導しようと強引になってしまうのです。相手の気持ちを察することができないので「嫌がらせ」と感じられることになります。ときに行き過ぎて人権を否定するような発言にもなるのです。

良識がない場合は悪質な自己愛的憤怒型も

権限を持つ人が自分本位で尊大な自己愛が強い性格だと、さらに厄介で悪質なパワハラになります。専門的には自己愛的憤怒と呼ばれるパワハラです。自己愛が強い人は自分より立場が弱い人間を自分の持ち物のように感じます。自分の思い通りに動くのが当然と思ってしまうのです。

さらに、自分の思い通りに行かないと屈辱を与えられたような気持ちになってしまいます。人の脳は自分に不快感を与える相手は敵とみなします。そのため、立場が弱い人が思い通りの言動をしないときには、全力で潰しにかかるのです。

罵詈雑言だけでなく、物を投げつけたり、嫌がらせで孤立するように仕向けたり、過大な要求や懲罰的に評価が低い仕事しか与えないといった嫌がらせもあります。また、個人の信条や思想、人格を否定するような発言になる場合もあります。

親密だと誤解することもパワハラ

立場の弱い人は権限のある人に対する社交辞令や処世術として親密で尊重する態度をとります。それを上司が勘違いして馴れ馴れしくなってプライベートに首を突っ込むようなこともあります。

立場の弱いほうが本当に尊敬していて親密になりたいと思っていれば問題ないのですが、処世術としての親密さの場合は上の人間に馴れ馴れしくされると不愉快になります。このような場合だと、「日曜日は何するの?」と休日の過ごし方を聞くだけでもパワハラになりえます。

仕事上の人間関係をより良くしようという配慮であっても、相手が不快になることがハラスメントの定義なので、パワハラになりえてしまうのです。

まずは相談することが解決への第一歩

職場で不快に感じることがあったら、信頼できる人にまずは話を聞いてもらうことが重要です。特に真面目な人は上の立場の人を不快にさせてはいけないと思い込んでしまっている場合もあります。そうすると、自分が不快に思っていることがパワハラの被害だと思わず、「自分がいけないのだ」とますます一人で抱えてしまうことになります。

パワハラなど職場のトラブルを誰かに相談するのは勇気のいることです。「あなたも悪いじゃない」と逆に批判されてしまうかもしれないからです。パワハラで傷ついた心は、このような言葉は深くダメージを受けてしまいます。

さらに、パワハラは圧倒的な社会的なパワーのアンバランスの中で生まれているので、当事者間で解決できることはほぼありません。怒鳴りつける上司に「それ、パワハラですよ」と言える労働者は少ないものです。第3者に逃げ道を教えてもらうことも重要なのです。

今は「法テラス」や「こころの耳」、各地の労働局の相談窓口など社会的な弱者が相談できるところはたくさんあります。勤務先に窓口をも設けている会社さんもあります。パワハラを受けてるかも…と感じたら、勇気を出して相談してみることが重要です。

一人で悩まず、まずは信頼できる誰かに相談することを心がけましょう。

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