受動喫煙が招く健康被害…加熱式タバコも例外ではない

受動喫煙
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タバコの煙は、私たちの健康を脅かします――。

「健康増進法改正案」が衆院を通過し、参院で審議入りしました。受動喫煙による健康被害を防止するための対策を盛り込んだ改正案の中身と、受動喫煙が身体に与える悪影響について、医師の見解とともに紹介していきます。

健康増進法改正案を20年東京五輪までに全面施行

政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催前までに「健康増進法改正案」を全面施行する方針です。

直近のオリンピック開催国は、罰則付きで法による規制を実施してきました。1964年以来56年ぶりの母国開催に向けて、日本も本腰を入れて対策に乗り出したわけです。

受動喫煙対策の背景には、特に20歳未満の子どもや患者さんへの健康被害が大きいことが挙げられます。

健康増進法の改正案には、「施設の類型・場所ごとに対策を実施」するという項目も盛り込まれています。タバコを吸わない人が「望まない受動喫煙」によって被害を受けないために、公共の飲食店で屋内を禁煙にしたり、「喫煙スペース」を設置させたりする対策です。

しかし、経営規模の小さな事業者が運営する飲食店に対しては、すぐに禁煙スペースなどを設けるのは困難なため、一定の猶予措置を与えることを条件としています。

受動喫煙によって受ける健康被害の実体

タバコには有害物質や発がん物質が含まれています。そのタバコの煙を直接的に吸い込むことを「主流煙」といいますが、火の付いたタバコの先から立ち上がる煙は「副流煙」と呼ばれています。

この副流煙には、私たちの健康を害する物質が主流煙よりも多く含まれているのです。以下がその有害物質になります。

・ニコチン
・タール
・一酸化炭素

これらによる具体的な健康被害について、医療法人 小田原博信会の理事長であり、久野銀座クリニックの院長・岡村信良先生に伺いました。

ニコチンは「薬物のコカインよりも依存性が高く、血管を収縮させる作用により、タバコを吸うたびに血圧や脈拍を上昇させます。(結果的に)動脈硬化の促進や、心臓に負担がかかってしまいます」

いわゆる「ヤニ」と呼ばれるタールについては「多くの発がん性物質を含み、肺がんの原因になります」

さらにもう一つ、タバコの煙の中に1~3%程度含まれているとされる有害物質が一酸化炭素です。これについては「血液の酸素運搬を阻害し、心臓や体に負担をかけてしまいます」

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は根治できぬ病気

「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」は通称「タバコ病」と呼ばれていて、喫煙者がかかりやすい病気です。

上述の岡村先生によれば、「(慢性閉塞性肺疾患は)主にタバコの煙を含む有害物質を長期吸入し発症する肺疾患です。気管から肺に炎症が起き、肺が破壊されます。そのことによって酸素不足で息切れを起こし、咳や痰が増え、体重の減少、心不全なども招きます」

この病気を発症すると根治できる治療法はなく、「気道、肺胞の組織は壊され、気道の閉塞で風邪でも肺炎を起こします。肺は元には戻せず、治療は進行を抑えることが主になります。重症だと常に携帯酸素ボンベを持ち歩く生活になります」

40歳以上の中高年に発症しやすく、習慣的に喫煙している方は注意が必要です。

加熱式タバコの煙も有害なのか?

今回の改正では、葉たばこを燃やすタイプ以外に「加熱式タバコ」も規制対象となりました。

岡村先生は「加熱式タバコは葉よりもタールの量は少ないのですが、見えない煙には葉タバコと同様に多くの有害物質とニコチンも含まれます。この煙は、エアロゾルと呼ばれる粉塵で健康への悪影響が未知数です」と語っています。

さらに、「タールが少なく、健康被害も減ると間違った認識で急速に広がりましたが、悪影響が数値化されていないだけです。子供や肺疾患を持つ人がこの煙を知らぬ間に吸い込んでいるという、新たな受動喫煙の恐怖と言えると思います」

これまで加熱式タバコに関しては、受動喫煙による健康被害は明らかになっていませんでしたが、この煙にはたしかに有害物質が含まれているのです。

 

私たちの健康を害するリスクが高いタバコですが、受動喫煙について真剣に向き合い、喫煙者と非喫煙者が共存できる社会の発展が今後望まれます。

 

取材協力:医療法人 小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長・岡村信良先生

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