
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
冬の寒い時期は暖かいこたつでついつい寝てしまったり、休みなく食べたり、飲んだりしてしまう環境ができています。
また、こたつで寝てしまうことで、風邪をひいてしまう以外にも病気のリスクがあるようです。
この記事では、こたつで寝ることの危険性について久野銀座クリニックの岡村信良先生にお聞きしました。
さらに、こたつの中でのんびり過ごして「正月太り」になってしまった方へ、解消法も紹介しています。
ついついやってしまう「こたつ寝」に潜む病気
寒い時期はこたつの中に入ってゆっくり過ごしたくなります。しかし、ついうっかりこたつの中で寝てしまうと、重大な病気にかかってしまう可能性があるのです。
岡村先生に詳しく解説してもらいました。
こたつに入っている部分と出ている部分の温度差がリスクに
こたつで寝てしまうリスクについて、岡村先生は「脱水症状や心筋梗塞・脳梗塞、便秘などのリスクが中心になりますが、こたつに入っている部分とこたつから出ている部分の温度差が生じることで、風邪も引きやすくなります」と話します。
こたつのある部屋で暖房をつけずに寝てしまうと、こたつに入っている部分とこたつから出ている部分で温度差が生じてしまいます。
こたつの設定温度を「弱」にしたとしても、こたつに入っている部分の温度は40度程度になります。反対にこたつから出ている部分の温度は、暖房をつけていなければ10度程度になるため、この温度差によって身体にさまざまな不調が出るわけです。
脱水症状から重大な病気につながることも
こたつで寝ればその間水分をとることができなくなるため、脱水症状を引き起こし、さらに脱水症状から腸内の水分不足による便秘や、血中の水分が少なくなることで、心筋梗塞・脳梗塞などの病気をもたらすリスクさえあります。
こたつで寝ても疲れはとれない
また、岡村先生はこたつ寝について「自律神経のバランスを崩しやすくする」とも説明します。
「通常の睡眠では副交感神経が優位になることで、体温が下がるのですが、こたつによって身体が温められてしまい、睡眠による本来の体温変化ができなくなります。
この『睡眠時の体温の変化』ができなくなることで、自律神経のバランスが崩れやすくなることも考えられます」
こたつで寝て起きた後に感じる気だるさ、疲れが取れていないように感じるのは、自律神経のバランスが崩れることによる、睡眠の質の低下といえます。
「こたつで脱水症状や心筋梗塞・脳梗塞、便秘といった病気を引き起こさないようにするためには、『こたつで寝ない』ことが一番の対処法であり、予防法になります」
正月太りは「こたつ」と「食生活」にアリ
冬になると屋外や部屋の外の寒さから外出を控えたり、こたつに長時間入ってしまったりすることで、身体を動かす機会が減ってしまいます。
また、お正月にのんびり家で過ごして「正月太り」が気になった方も多いと思います。
岡村先生は正月太りについて、このように話しています。
「お正月は外出が少なくなることで活動量が低くなることに加え、ご馳走で摂取カロリーが増えるため、太りやすい環境ができています」
お正月は高カロリーの食べ物を食べたり、お酒を飲んだりする時間が長くなるため、この生活を続けると結果的に太ってしまうので注意が必要です。
もしかしたら太ったように見えるだけかも?
ただ、太ったように見えても、正月太りで本当に太ったのか、むくみで太っているように見えているだけなのかは、わかりません。
太ったのか、むくんでいるのかは、下記のように体重計に乗るとわかるそうです。
・体重は増えていない、足が太くなった気がする
→この原因は脱水症状によるむくみ
・体重が増えた
→これは正月太り。原因は食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足のいずれか、もしくは全部
むくみ対策はこまめな水分補給と活動
ここでは、むくみ対策について岡村先生に説明してもらいました。
「寒い冬になると、夏のように水分を摂取しない方が増えますが、200mlほどの水分を1日7回程度の頻度でこまめに摂取するようにしましょう。
また、寒い冬は動くのも億劫になりますが、動かないことがむくみを助長させます。できるだけ身体を動かしましょう」
寒い冬でも、むくみ対策として水分をしっかり摂取すること、できるだけ活動することが大切です。
できる限り制限をつけたくない!正月太りの解消法
正月太りから元の体重に戻すためには、日常生活でのダイエットとは着目するポイントが変わります。
お正月太りになってしまった原因
お正月太りの原因として挙げられるのが下記の3つです。
● 食べ過ぎ
● 飲み過ぎ
● 運動不足
お正月の生活では、「おもちを食べ過ぎた」「朝からお酒を飲んでいた」「間食や夜食をしていた」「ずっとこたつに入っていた」など、日常生活とは異なる点が多くなるため、この生活を見直すだけで変化が起こります。
気にするのは「体重」よりも「生活習慣」
お正月太りを元に戻すために大切なのは、お正月などの「非日常」の習慣を「日常」にしないことです。
食べ物を制限したくない、運動する時間もとれないといった人に対し、岡村先生は次のように話しています。
「早寝早起きの日常の生活リズムに戻すことがまず大切です。
お正月太りでは、胃腸も疲れていることがあります。肉体、精神、いずれも疲れていると代謝を下げてしまうので、睡眠をしっかりとり、いつものリズムに慣らせていきましょう。
運動の時間をとるのではなく、通勤や家事の際に階段を使ったり、5分長く遠回りしたりと、こまめに動くことを意識しましょう。
お正月のうちについた脂肪は早めにとることで、脂肪として身体に蓄積されにくくなります。外に出て活動量を増やすことも大切です」
生野菜や水分の摂取で過剰な塩分を外へ
昔はお正月に火や水を使うことが「縁起が良くない」とされていたため、炊事をしなくても食事ができるようにしたのが、おせち料理の由来といわれています。
お正月の三が日まで食べられるように作り置きが前提となっているため、ほかの料理よりも塩や砂糖を多めに、濃い味付けになっています。
お正月明けの食習慣について岡村先生はこう話します。
「お正月のおせち料理は塩分が高いものが多いので、お正月明けは体内の余計な塩分を排泄するサポートができるように、生野菜や水分をとるようにしましょう」
増えた体重の分は増えた期間の日数で戻す
医師の指導以外でダイエットするのに押さえておくポイントは、「量」と「期間」です。
リバウンドのリスクを含めてダイエットのポイントを岡村先生に伺いました。
「太った日数と同じ期間で減量することで、リバウンドのリスクを抑えられます。
たとえば『9日間で3kg太った』場合、ダイエットするときは『9日間かけて3kgを減量する』といったイメージです」
特にお正月のような「短期間で3kg増えた」のであれば、「お正月に太った心当たり」からピンポイントで見直すことができます。
体重を減らすなら基礎代謝が上がりやすい冬がおすすめ
人間は体温を一定に保つために、活動しなくても基礎代謝としてエネルギーを消費します。
冬になると気温が低くなることから通常よりもエネルギーを使って体温を上げようとするため、基礎代謝が上がりやすくなります。
基礎代謝を上げつつ、内臓を冷やさない服装のポイントについては「『足首・首周り』の部分とともに、お腹周りを温めた服装がおすすめ」とのことです。
服装もポイントを抑えつつ、内臓を冷やさない程度に適度な薄着、もしくは必要以上に防寒をしないことで自分の身体の体温を上げて代謝アップを狙いましょう。
まとめ
こたつで寝ることで脱水症状になり、そこから重大な病気になることもあるので、こたつで寝るのは避けるようにしましょう。
また、長時間こたつに入っていることで運動不足になり、太る要因にもなります。さらに、お正月の料理は味付けが濃くなるため、太りやすい環境ができているので注意が必要です。
お正月太りから元に戻したいのであれば、できるだけ早く元の日常生活に戻すことを心がけましょう。
取材協力:久野銀座クリニック 岡村信良 先生
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