心電図検査で「心筋虚血の疑い」と言われたら!知っておくべき基礎知識

心筋虚血
岡村長門先生

監修者

岡村クリニック

院長:岡村長門 先生

【職務経歴】
戸田中央総合病院
埼玉医科大学
公立昭和病院
岡村医院
岡村クリニック

健康診断の結果に「心筋虚血の疑い」と見慣れない表記があると、場所が心臓なだけに怖いと感じてしまうかもしれません。『心筋虚血』とは、どんな状態のことなのでしょうか。

こちらの記事では、心筋虚血の自覚症状や、病院を受診する必要性、日常生活で気をつけることについて解説します。

1.心筋虚血とは?

1.心筋虚血の定義

心筋虚血

心臓の筋肉に血液が行き届かなくなる

『心筋虚血』とは、心臓の『冠動脈』が詰まったり、狭くなったりして、心臓の筋肉(心筋)に血液が行き届かなくなることです。『冠動脈』は、心筋に血液を運ぶ血管のことです。この冠動脈を通して、心筋に酸素や栄養が供給されています。

血管が狭くなる「狭心症」、完全に詰まる「心筋梗塞」

心筋虚血によって起こる病気のことを『虚血性心疾患』といいます。中でも、血管が狭くなることで生じるのが『狭心症』、完全に詰まることで生じるのが『心筋梗塞』です。

2.心筋虚血の症状

おもな症状は「胸痛」

心筋虚血

心筋虚血のおもな症状は『胸痛』です

胸痛は狭心症でも心筋梗塞でも起こります。狭心症の場合は長くても15分程度で治まるのに対し、心筋梗塞では激しい痛みが持続します。

狭心症の場合は「息切れ」や「動悸」

また、狭心症は、痛みの他に『息切れ』や『動悸』をともないます。

心筋梗塞の場合は、左肩の違和感や胃の痛み

心筋梗塞は、『左肩の違和感』や、胸痛を『胃の痛み』と感じることもあります。

症状がない人も3割いる!

心筋虚血の人の3割程は症状がない「無症候性心筋虚血」です。高齢者や糖尿病患者は、この無症候性心筋虚血の可能性が高くなります。気が付いた時には症状が進行しているケースも多いので、注意する必要があります。

3.不整脈とは違うの?

心筋虚血

そもそも、不整脈って?

『不整脈』は簡単にいうと、普段は一定の速度で打ち続けている『脈』がおかしくなることです。

不整脈の原因は血管にあると思われがちですが、実は違います。心筋は、かすかに電気信号が流れることによって動いています。その電気系統がうまく働かなくなることによって、脈が乱れることで不整脈は起こります。

不整脈は、心筋に流れる電気系統の異常によって起こる

つまり、不整脈は心筋を動かす電気系統の異常によって生じます。これに対して心筋虚血は、先に解説したように、心筋に血液を届ける『冠動脈』の異常によって起こります。

4.心筋虚血の原因について

一番の原因は動脈硬化!

心筋虚血を引き起こす、1番の原因は『動脈硬化』です

動脈硬化とは、血管の弾力が失われて硬くなったり、血管内にさまざまな物質が沈着して狭くなったりすることです。

冠動脈に起こる「粥状効果」とは?

心筋虚血に大きく関わるのは、冠動脈に起こる動脈硬化です。これを『粥状硬化(じゅくじょうこうか)』といいます。

粥状硬化は、血管内に沈着した『コレステロール』が「粥腫」と呼ばれるやわらかいできものを形成し、それがだんだん大きくって血管内が狭くなった状態です。粥腫がやぶれると、『血栓』となり血管を完全に詰まらせてしまいます。

動脈硬化の原因

動脈硬化の原因は、脂質異常症や糖尿病、高血圧、肥満、喫煙、ストレス、運動不足などです。

心筋虚血が引き起こす3つの病気

心筋虚血

心筋虚血によって起こる3つの病気について解説します。

1.狭心症

1つ目は『狭心症』です。

冠動脈が狭まって、血液が届きにくくなる

冠動脈が狭まり、心筋に血液が届きにくくなることで起こります。

運動の後に『息切れ』や『胸痛』などの発作が起こることが多く、痛みは長くても15分程度で治まります。

狭心症から心筋梗塞に移行する?

心筋梗塞には、基本的に移行しません。しかし、いつもよりも軽い動作で症状が出るようになると、心筋梗塞へ移行する恐れのある『不安定狭心症』の可能性があります。

2.心筋梗塞

2つ目は『心筋梗塞』です。

冠動脈が完全に詰まり、血液が届かなくなる

冠動脈が完全に詰まり、心筋に血液が届かなくなることによって起こります。

突然、『激しい胸痛』があらわれます。

また、長時間血液が届かないことで『梗塞壊死(こうそくえし)』が生じます。梗塞壊死とは、血流が閉塞することで酸素や栄養が十分に行き届かず、細胞組織が死んでしまうことです。一度心筋が壊死してしまうと、回復することはありません。

命の危険も!胸痛が15分以上続いたら病院へ

心筋梗塞は、壊死する部分が大きくなると命にかかわります。

発症から6時間が、治療の『ゴールデンアワー』ともいわれています。冠動脈の血流を再開させる治療を早めに行なうことで、一部の心筋の梗塞壊死は防ぐことができます。早めの治療が回復のカギとなるので、胸痛が15分以上続く場合は、速やかに病院を受診しましょう。

3.虚血性心不全

3つ目は『虚血性心不全』です。

心筋の収縮力が弱まる

虚血性心不全は、心筋の収縮力が弱まることで起こります。

心筋梗塞とどう違う?

心筋が動かなくなるという点では心筋梗塞と同じですが、心筋梗塞が発作的に起こるのに対して、虚血性心不全は徐々に進行します。

病院の受診について

1.すぐに病院へいくべき症状

心筋虚血

少しの運動で息切れ、胸痛を感じる

階段をのぼる、重い荷物を運ぶなど、ちょっとした運動の後に『息切れ』や『胸痛』がある場合、狭心症の恐れがあります。すぐに痛みが治まったとしても、放置せずに一度病院を受診することをおすすめします。

15分以上胸痛が続く

胸痛が15分以上続く場合は、心筋梗塞の恐れがあります。速やかな処置が必要です。すぐに病院を受診してください。

咳や寝転んだときの息苦しさ

風邪でもないのに咳が出る、寝ると息苦しいなどの症状がある場合、心不全の恐れがあります。この場合も、速やかに病院へ行きましょう。

2.循環器内科で相談を!

心筋虚血が疑われる場合は、『循環器内科』で相談しましょう

健康診断で精密検査をすすめられた場合は、病院を紹介してもらえることもあります。

3.心筋虚血の検査方法

心筋虚血

『心電図』や『超音波』、『血液検査』によって、動脈硬化の有無を調べます。

心電図は、安静時以外にも負荷を加えた状態で心臓の動きをみたり、24時間連続で測定したりなど、詳細な検査を行ないます。

心筋虚血が疑われたら…日常生活で気をつけること

1.運動を取り入れる!

心筋虚血

ウォーキングや、軽いジョギングなどをして体を動かしましょう。できれば毎日が望ましいですが、無理のない範囲で運動を取り入れるといいですね。

運動は肥満解消のほか、動脈硬化の原因になる糖尿病やストレス、脂質異常症などの解消にも役立ちます。

2.食事で動脈硬化を防ぐ

心筋虚血

動脈硬化の原因になる「LDLコレステロール」や「中性脂肪」

動脈硬化の原因になるのは、主に肉類に含まれる、『LDLコレステロール』の摂りすぎです。また、『中性脂肪』も動脈硬化と関連することがわかっています。

動脈硬化を防ぐ!青魚に含まれる「HDLコレステロール」

反対に、動脈硬化を防ぐ働きがあるのは、イワシやサバなどの青背の魚に含まれる、『HDLコレステロール』です。

肉類は赤身を、甘いものやアルコールにも注意

肉類を食べるときは、脂身の少ない赤身肉を選びましょう。そしてイワシやサバ、アジなどの青魚を積極的に食べることをおすすめします。

また、甘いものやアルコール飲料は、中性脂肪を増やすので、摂りすぎに注意してください。

3.生活習慣を改善して、心筋梗塞を防ぐ

心筋梗塞の3大危険因子と呼ばれるのが、『高血圧』、『脂質異常症』、『喫煙』です。

どれか1つ当てはまるだけで、心筋梗塞を発症するリスクは2倍以上になります。さらに、2つ以上当てはまれば5倍、すべて当てはまると10倍にもなるともいわれています。

心筋梗塞を発症するリスクを下げるため、禁煙や標準体重を目標とする減量を行ないましょう。

まとめ

心筋虚血

心筋虚血と診断されたら、一度検査を!

心筋虚血によってかかる、虚血性心疾患のごく初期は、症状がないことがほとんどです。

しかし初期の段階で発見できれば、処置も軽く済み、重症化を避けられる可能性も高くなります。心筋虚血の疑いがあれば、症状がなくとも一度検査を受けることをおすすめします。

血縁者に虚血性心疾患の人がいる場合は特に注意

親や兄弟に虚血性心疾患にかかった人がいる場合、自分のかかるリスクも高くなります。早くから予防を心がけましょう。

気になる症状があれば速やかに病院へ

虚血性心疾患は放っておくと命にもかかわります。

速やかな処置が回復のカギになるので、気になる症状があれば、すぐに受診しましょう。

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