
埼玉医科大学 卒業
医師国家試験予備校講師、麻酔科フリーランスなどを経て、
現在は総合診療をおこなっている。
正しい情報を的確に発信していく。
『尖圭(せんけい)コンジローマ』は、性行為の経験があれば、誰でもかかる可能性があります。
性感染症の中でも患者数の多い病気で、10代後半~30代の若い世代への感染が多いです。
この記事では、尖圭コンジローマの症状や、手術などの治療法について解説します。
尖圭(せんけい)コンジローマとは
1.尖圭コンジローマって?どんな病気?
『尖圭コンジローマ』は、『HPV』というウイルスに感染し、イボのできる病気です。HPVは、『ヒト乳頭腫ウイルス』とも呼ばれます。放っておくとイボが大きくなり、数が増えることも多いです。
また、再発しやすい病気でもあり、しっかりと治療に取り組む必要があります。
2.尖圭コンジローマの原因
尖圭コンジローマは、性行為によって感染します。
接触するとHPVが皮膚や粘膜の傷から入り込む
HPVに感染している人と接触することで、HPVが皮膚や粘膜の小さな傷から侵入し、感染します。
感染しても、症状が出ないことも
とはいえ、ウイルスに感染した人全員が発症するわけではありません。ウイルスが潜伏していて、症状が出ない人も一定数います。
症状が出ない人の90%は、免疫の働きによりウイルスを除去しています。
3.尖圭コンジローマの潜伏期間は?
尖圭コンジローマの潜伏期間は、3週間から数ヶ月です。
男女ともに、潜伏期間は症状があらわれません。そのため、潜伏期間が過ぎ、症状が出てから感染に気づくことがほとんどです。また、いつ感染したかわからないことも多いです。
4. 尖圭コンジローマにかかったときの症状
感染した皮膚や粘膜にイボができる
潜伏期間を過ぎると、感染した皮膚や粘膜にイボのような突起や隆起ができます。
男性は、陰茎や肛門周囲などに発症します。女性は、陰部や肛門周囲、また膣内や子宮頸管にも症状がみられます。
自覚症状が少なく、特に女性は気づきにくい
軽い痛みやかゆみなどの違和感を覚えることもありますが、自覚症状が少なく、特に女性は気づきにくいです。
のどに発症すると、口腔がんを発症することも
また、尖圭コンジローマをのどに発症すると、『口腔がん』を発症する可能性もあります。
尖圭コンジローマの治療法とは?
1.何科を受診すべき?
男性は泌尿器科や皮膚科、女性は産婦人科へ
男性の場合は、『泌尿器科』や『皮膚科』の受診をおすすめします。女性は膣や子宮頚部にも発症している可能性があるので、『産婦人科』を受診するとよいでしょう。
まずは内科で相談してもOK!
また、気になる症状があり、医師に相談したいという場合は、近くの内科を受診しても構いません。
相手が分かっていれば、男女ともに受診することをおすすめ
潜伏期間を経て発症したら、検査によって、病名を診断することができます。感染した相手が分かっている場合は、男女ともに受診することをおすすめします。
2.手術による治療
男女ともに、基本的には手術が必要です。
手術にはさまざまな方法があり、イボのできている部位や数などに合わせて治療法を選択します。おもな手術は、次のものがあげられます。
凍結療法
マイナス196度の液体窒素で、イボを凍らせて取り除く手術です。
電気焼灼(しょうしゃく)
電気メスで、イボを焼き切る手術です。
レーザー治療
炭酸ガスレーザーによって、イボを取り除く手術です。
外科的切除
イボを周囲の皮膚ごと、直接切除する手術法です。
3.薬による治療
手術による治療が基本ですが、発症している部位によっては、塗り薬を処方されることもあります。
また、再発の可能性を低くするために、ウイルスに対する免疫力を高める治療法もあります。こちらも、塗り薬が処方されます。
4.尖圭コンジローマは再発する可能性が高い!
尖圭コンジローマは、再発する可能性が高い病気です。
イボを取り除いても、2割~5割ほど再発する可能性があります。そのためイボの大きさによっては、周りの皮膚も切除することがあります。
しかしそれでも、再発を完全に防ぐことはできません。
尖圭コンジローマの予防や、かかったときの注意点
1.尖圭コンジローマを予防するには?
性器を清潔に保つ
男女共に、性器を清潔に保つことが大切です。衛生面に問題があると、尖圭コンジローマを発症しやすく、ほかの病気にかかる可能性も高まります。
コンドームの使用も予防に
また、コンドームを使用することも予防になります。しかし、感染を100%防げるわけではありません。
2.尖圭コンジローマにかかったら…注意すること
イボができていることに気づいたら、早めに病院へ行きましょう。
また、尖圭コンジローマにかかったら、極力性行為は控えることをおすすめします。
まとめ
尖圭コンジローマは、男女ともに発症する可能性があります。
違和感があれば早めに医療機関へ!
性器や肛門周囲にイボがあらわれますが、自覚症状が少なく、感染に気づきにくいのが問題の病気です。疑わしい症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
尖圭コンジロ―マは感染も再発もしやすい
また、尖圭コンジロ―マは、感染しやすく、再発しやすい病気でもあります。パートナーにも感染している可能性があるので、病院の受診をすすめましょう。
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