産後のカラダ変化と心のケア~婦人科スポーツドクター高尾美穂が答える!【連載】第2回

高尾美穂先生連載コラムVol.2
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高尾美穂先生

取材協力

高尾美穂 先生

医療法人社団プラタナス
女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 婦人科
【医院公式サイト】https://www.ihc.or.jp/

東京慈恵会医科大学大学院修了
東京慈恵医大病院 勤務
イーク表参道 副院長

日本産科婦人科学会専門医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本抗加齢医学会専門医

【高尾先生公式サイト】http://www.mihotakao.jp/

産婦人科医でありながら、スポーツドクターならびにマタニティヨガの指導者としても活躍中の高尾美穂先生によるコラムをお届けします。

第2回目は『産後のカラダ変化と心のケア』をテーマに、前半に産後のカラダの変化と対策、後半に心のケアについてお送りします。

また、産後のママがキレイに歳を重ねるためのポイントについても語ってくれました。

目次

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産後の体型を以前に戻すカギは「骨盤」に

赤ちゃんを産んだあとでも、以前の体型をキープしたいという女性は多いと思います。

そんな女性たちのために、高尾先生にアドバイスをお願いしました。

ポイントは、骨盤を以前の形に戻すことだそうです。

「出産の前後だけ、骨盤の靱帯を緩めるホルモンが出ます。その時期は骨盤を変形させやすいので、自分でカラダを作れる絶好のチャンスだといえます」

世の中で『骨盤の歪み』といっているのは、カラダ全体のバランスが悪くなっていることを指しています。

それは、赤ちゃんの抱っこの向きやおっぱいをあげるのが左右どちらかに決まっているといった、左右不均等の日常生活によるものです

カラダを“左右均等”にするためには?

高尾先生は「骨盤を上手に元に戻すためには、左右均等な時間を作ることが大切」と話します。

では、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか?

ここで高尾先生がおすすめする、カラダを左右均等にするための「ヨガ」のポーズ、骨盤ベルトの正しい使用法についてお聞きしました。

産後の姿勢を改善!「キャット&カウ」のポーズ

マタニティヨガの指導者でもある高尾先生に、家事や育児の合間でも簡単にできる、おすすめのヨガのポーズを教えていただきました。

「背中を丸める、反らせるという動きを繰り返す『キャット&カウ』というポーズがあります。

妊娠中は骨盤が強い前傾になるので骨盤に繋がる腰椎(ようつい)の反りも強いもの。その上の胸椎の弯曲も強く猫背になりやすいし、これらの変化は妊娠中に少しずつ積み重なっています。

しかし、赤ちゃんを産むのは一瞬。そのため、産んだあとでもこの姿勢だけ残ってしまいます。妊娠中から、腰椎の弯曲が強くなっている状態を戻す機会を持っていただけたらと思います。

産後のお母さんにも、ぜひこの動きをおすすめします」

骨盤ベルトの必要性と正しい巻き方

産後に骨盤ベルトをした方が良い理由についてはこのように語ってくれました。

「赤ちゃんは回転しながら産道を通り、骨盤の下の方を広げて出てきます。

そのため骨盤は上の方よりも下の方が広がるので、産後には骨盤ベルトを巻いて元に戻すのも一つの方法です」

しかし、骨盤ベルトを巻く位置を間違えてしまうと逆効果だと高尾先生は話します。

「上の方を締めてしまうと、骨盤は余計にスカート型になってしまい、逆効果です。

骨盤ベルトを巻く正しい位置は、骨盤の下の方。つまり『大転子(だいてんし)』と呼ばれる太ももの骨の出っ張ったところで、横向きに寝たときに当たる位置です」

骨盤ベルトの巻き方イラスト

イラスト:小林まぐろ

産後の心の変化とケア

赤ちゃんを産んだあとは、体型の変化だけでなく心にも変化が生じます。

上手に育児をしていくためには、心の変化に合わせたケアが大切です。

「産後うつ」という問題

経産婦さんは出産や育児経験があることから、メンタル面でも初産婦さんより余裕なのではないかと考える方が多いでしょう。

ところが、そこに「産後うつ」という問題が絡んでくると、そうではないようです。

「2人目以降の妊娠が余裕なのは、『産後うつではなければ』という前提があっての話です。産後うつは社会で2割ほどしか状況が把握されていません。

しかし、その先にあるもっと大きな問題は、子どもの虐待につながることが多いということです」

産後うつになってしまう原因についてはこのように述べています。

「産後うつは、退院して完全に家に帰って自分と赤ちゃんだけの状況になってから発症します。

自分とは違う人間=赤ちゃんがいて、その人に合わせていかなければいけないということが大きく影響します」

大事なのは「夫」のサポート

産後うつを避けるために重要になってくるのが、「夫」によるサポートです。

具体的なサポートの仕方については、言葉よりも行動で示してもらうことが大事だと話します。

「育児は睡眠がとれないことが、うつになる原因の1つです。

夜2回の授乳のうち、旦那さんが土日の2回のうち1回だけでも代わってくれると、睡眠時間がまとめて5時間くらい取れます」

では、夫にサポートをお願いするにはどのようなことがポイントになるのでしょうか?

「具体的な指示を出すことが大切です。『帰りにおむつを買ってきてね』とか『洗濯機を回したら干してね』とか。

痒いところに手が届かないと文句をいうよりも、痒いところに手を持って行かせる努力が大切なのだと思います

夫のモチベーションにつなげるためには、具体的な指示出しが必要だと話します。

キレイに年齢を重ねるために

最後に、産後の女性がキレイに年齢を重ねていくためのポイントをうかがいました。

「おっぱいをあげている女性は、生理がないというのが一般的。それは、エストロゲン(女性ホルモン)がない期間が長く続くということで、プラスにはなりません。

授乳期間中、小さな子どもがいると認識したカラダは、次の子を妊娠しないように排卵を抑え、生理は戻りません。

そうなると、肌や髪の毛、骨にとっては閉経後と同じ状態が続くのだということをお母さんは知っておいていただきたい」

この状況を抜け出すためには生理を再開させることが大切であり、そのためのアドバイスを話してくれました。

「生理がなかなか戻らない場合には、授乳の頻度を減らしてみてください。そうすると、生理が戻ることがあります。

エストロゲンは骨を強くする働きもあるので、おっぱいをあげる期間はほどほどにとどめておく方が良いかと思います」

母乳育児は大事ですが、お母さん自身の将来の健康と美容のためには何年も続けることは避けた方が良さそうです。

特に経産婦さんの産後は上の子のお世話に加え、新生児の育児も重なり、カラダも心もいっぱいいっぱいになりがちです。

ママとしてだけでなく、一人の女性として健康で生き生きと生活していくことも大切なことなのです。

 

取材協力:イーク表参道 高尾美穂先生

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