乳腺症と乳がんのしこりの違いは?生理周期による変化がポイント!

乳腺症 乳がん 違い
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岡村長門先生

監修者

岡村クリニック

院長:岡村長門 先生

【職務経歴】
戸田中央総合病院
埼玉医科大学
公立昭和病院
岡村医院
岡村クリニック

乳腺症とは、どんな病気かご存知でしょうか?

乳腺症と診断を受けた人の中には、「悪化したら、乳がんになってしまうの?」「乳がんになりやすいんじゃないの?」と、不安に思う方もいるかもしれません。

この記事では、そんな乳腺症が、どんな症状でどんな検査や治療を行うか、また乳がんとの違いや関連性を含め、詳しく解説します。

乳腺症と乳がんの違い

1.乳腺症とは

乳腺症

乳腺の良性の変化

乳腺症とは、乳房の中にある乳腺の良性の変化であり、女性ホルモンがバランスを崩す(女性ホルモンのエストロゲンが過剰な状態になる)ことによって起こります。

しこりを伴うこともある

乳腺症は、乳腺組織が増殖、委縮、化生(他の細胞に変化すること)した状態が混在するため、しこりを伴うこともあります。

乳腺症は、胸にしこりがあることで病院を受診する患者さんの中で、もっとも多い病気といえます。

乳腺の病気の中でもっとも多い良性の病気です。

発症年齢

さまざまな年代の女性が発症しますが、多くは30代後半から40代の閉経前の女性に見られます。

特徴

基本的に両方の胸にしこりが見られ、生理などホルモンの変化によりしこりが張ったりすることがあります。

乳房全体に痛みを感じることもあれば、しこりあたりが強く痛むこともあります。

分泌物が見られることもあります。生理が終われば症状が軽度になることが多いのが特徴です。

治療

閉経すると自然とよくなっていくことが多いので、治療を行わずに症状を和らげたり、経過観察をしたりすることが多いといえます。

自己判断は危険

しかし、しこりは乳がんなど他の病気である可能性もあるため、自己判断は禁物です。

しこりが大きい、硬いなど重度であったり、乳がんとの判別が難しかったりすれば、組織を抽出するなど別の検査が必要になります。

2.乳がんとは

乳がん

乳房にできる悪性腫瘍

乳がんは、乳房にできる悪性腫瘍です。母乳を乳頭まで運ぶ乳管から発生することが多いです。早期に発見すれば、治る可能性が高いがんです。

乳がんは大きく二つにわけられる

乳がんは、乳汁を分泌する「乳腺小葉上皮」が悪性化した「小葉がん」と、乳管までの通り道である「乳管の上皮」が悪性化した「乳管がん」に大きく分けられます。

発症年齢

乳がんを発症する年代でもっとも多いのが、30代後半から40代と言われています。

しかし、20代前半~30代前半の女性でも乳がんを発症することはあります。

日本女性の中でもっとも罹患率の高い悪性腫瘍ですので、すべての女性に注意が必要です。

3.乳腺症と乳がんはどう違う?

乳腺症と乳がん

治療が必要かどうかという点が大きく異なる

乳腺症と診断されれば、経過観察となり、多くの場合治療は必要ありません。

ただし、痛みが強い場合は、痛みを抑えるために薬物による治療が行われます。

女性ホルモンであるエストロゲンが過剰になっていることから、抗エストロゲン剤や男性ホルモン剤などが使われます。

対して、乳がんは見つかれば、早期に治療する必要があります。

乳腺症は、生理周期によってしこりの感じ方や痛みがちがう

乳房にしこりができたり、乳頭から分泌物があったりするのは、乳腺症にも乳がんにも見られる症状です。

違いとしては、乳腺症には「症状の周期性」があるということです。乳腺症は、生理の周期に合わせて、しこりを感じたり痛みが強くなったりします。

対して、乳がんには症状の周期性はありません。

乳腺症のしこりには痛みがありますが、乳がんのしこりにはほとんど痛みがないという違いもあります。

4.乳腺症が原因で乳がんになる?

乳腺症が原因で乳がんが発症するという考えは、ほぼ否定されています。

大多数の乳がんは、乳腺症とは関係なく発症しています。

乳腺症と乳がんのしこりの見分け方

1.乳腺症と乳がん、しこりの違いは何?

乳腺症と乳がん
乳腺症のしこりは乳腺が硬くなったものや、乳腺細胞からの分泌物や水がたまった『のう胞』などであり、良性です。

対して、乳がんのしこりは悪性腫瘍です。

2.しこりができる部位

乳腺症

乳腺症のしこりは、乳腺がある場所にできます。

乳房全体の乳腺が広範囲に膨張し、乳房全体が張るというのが特徴です。

柔らかい乳房の部分から鎖骨の高さまで、乳房の前面に近い範囲に発生します。

乳がん

乳がんができる位置は人それぞれなので特に決まってはいませんが、比較的乳がんができやすい位置としては乳房の外側上部、次に内側上部が挙げられます。

3.触れた感覚

乳腺症のしこり

乳腺症のしこりは触ると、全体がでこぼこしています

境界が分かりづらかったり、規則性がない粒状(粉末よりも大きい粒)であったり、結節状(直径1センチ以上の固形成分の隆起)であったり、皿状であったり、さまざまです。

のう胞の場合は、境界がはっきりしている球形や卵形のしこりもあります。どちらも大きさや形はさまざまです。

乳がんのしこり

乳がんのしこりは触ると硬いのが特徴です

つるっとしているものから、でこぼこしているものまであります。

他には、乳房の皮膚の表面が陥没して見えたり、ひきつれて見えたりすることがあります。

乳頭やその周辺のただれや、変形がみられることもあります。

乳腺症と乳がん 症状と特徴の比較

乳腺症乳がん
腫瘍良性悪性
治療の必要性経過観察早期の治療が必要
発症年齢30代後半~40代の閉経前30代後半~40代が最も多い
原因ホルモンバランスの乱れ細胞の変異
しこり痛みがある痛みがない
感触大きさや形はさまざま硬いしこり・表面の陥没・ひきつれ
周期性生理の周期に合わせて痛みが出る症状に変化は見られない

乳腺症と乳がんを見分ける検査

検査

乳腺症の診断は、問診・視診・触診を行います。

1.問診で訊かれること

生理の状況、結婚の有無、妊娠や分娩の回数、乳腺の病気にかかったことがあるか、血縁者の中にがんの人がいないかなどを聞きます。

2.視診

椅子に座り、腕を上げたり下ろしたりして、乳房のひきつれやへこみなどを見ます。

3.触診

触診

あおむけに寝て力を抜き、乳房の状態を見て、手のひらや指先で触れて詳しく調べます。

次に座った状態で、わきの下や、頸部リンパ節が腫れていないかを確認します。

4.乳がんの疑いがある場合

少しでも乳がんの可能性があるかもしれない、ということがあれば、マンモグラフィー検査(乳房を透明な圧迫版で挟んで撮影、その画像を見て診断する検査)や超音波検査(乳房の表面から超音波をあてて、跳ね返ってくる音波を画像化して診断する検査)を行います。

ここで、乳がんの可能性を否定できれば、乳腺症と診断されます。

5.検査でもわからない場合

マンモグラフィー検査や超音波検査でもはっきりと乳がんを確定できないものの、可能性は否定できなければ、細胞診・組織診を行います。

マンモグラフィーや超音波で病変がわかれば、それを元に正確に行うことができます。病変がはっきりと捉えられない場合であっても、安全に行うことができます。

検査

細胞診

細胞をとって染色し、顕微鏡で観察する検査です。

細い針を使うので麻酔はせず、跡もほとんど残りません

組織診

こちらも同じく細胞をとって染色して顕微鏡で観察する検査で、3種類あります。細胞診より多くのしこりを摘出することが可能です。

  • 針生検
  • マンモトーム生検
  • 外科的生検

視触診や、画像診断で病気の正しい判別ができなかったり、良性か悪性かの区別がつかない際に、乳房に針を刺して細胞を採取したり、局所麻酔をして太い針を刺して組織を採取します。

まとめ

乳腺症はホルモンの作用が原因。積極的な治療は必要ない

乳腺症は、生理の周期により変化するホルモンの作用が原因でおこります。生理のある女性なら誰でもなることがあります。

乳腺症は、疼痛が強くなければ積極的な治療は必要なく、乳がんになりやすいということもありません。

胸にしこりがあれば、自己判断せず医師へ相談を

しかし、乳房のしこりや乳頭からの分泌物など、乳がんに似ている症状もありますので、何か気になる症状に気づいた時には、自己判断はせずに、すぐに乳腺専門の医師がいる病院を受診することをおすすめします。

胸のしこりを見つけると、すぐに乳がんを疑ってしまいますが、他の病気である可能性も十分にあります。

最低月に1回、自分で触って確認する自己検診を行うことが大切です。

しこりなどの症状が見られたとしても、焦らずに乳腺外科や乳房科外来、また外科の診療科のある病院で検査を受けましょう。

しこりが見られない場合も、30歳以上の方は年に1回は乳がん検診を受けるようにしましょう。

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