
1999年 日本医科大学産婦人科教室入局
日本医科大学付属病院
産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院
(現 横須賀市立うわまち病院)
産婦人科
2002年 東京都保健医療公社
東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院
女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院
女性診療科・産科 助手
現在は石野医院の副院長
専門は漢方(東洋医学)、産婦人科
患者さん一人ひとりに合った薬を作るため、自由にさじ加減ができる煎じ薬を第一と考える。
診療では一人ひとり丁寧に症状の診断を行い、情報の発信を行う。
低用量ピル(LEP、OC)は、避妊だけでなく、治療目的にも用いられる薬です。この記事では、低用量ピル(LEP、OC)を服用することで、乳がん・子宮頸がんの発がんリスクは上昇するのかについて解説します。
低用量ピルと、乳がんとのリスクについて
1.低用量ピルを飲んでも乳がんのリスクは上がらない?
低用量ピル (OC・LEP)の服用は、乳がんの発症リスクを上げる可能性が少々ありますが、ピルに含まれているエストロゲン量など、製剤の容量を確認して投与すれば、増加リスクは避けられると考えられています。
ただ、超低用量のピルに含まれているエストロゲン(エチニルエストラジオール20㎍)の量では、乳がんを増やさない、むしろ減らす可能性があります。
血のつながった母や、姉妹に乳がんにかかった人がいても、低用量ピルを短期間服用することで乳がんにかかるリスクが増加することはありません。これは、低用量ピルの種類を問いません。
2.乳がんにかかっている人、かかったことのある人は注意!
ただ、乳がんは女性ホルモンの『エストロゲン』をとりこんで分裂・増殖する『ホルモン感受性腫瘍』です。
そのため、すでに乳がんにかかっている人や、過去にかかったことがある人は、低用量ピルを長期間服用することで、悪化や再発の危険性があります。
3.乳がんにかかる日本人女性は増えている
低用量ピルの内服にかかわらず、日本人女性が乳がんにかかる確率は増加しています。
数年前までは、25人に1人といわれていましたが、今は20人に1人まで増加しています。なお、アメリカでは8人に1人ともいわれています。日本人も、今後さらに増えると推察されています。
4.1年に1回は乳がん検診を!
このように、乳がんは病気にかかる人の割合(『罹患率』)の高い病気です。
低用量ピルを内服する・しないにかかわらず、1年に1回は検診を受けることをおすすめします。
低用量ピルを服用する際は、子宮頸がんに注意!
低用量ピルを長期間服用している人は、子宮頸がんを発病するリスクが上昇するといわれています。
1.子宮頸がんを発病する原因
『子宮頸がん』を発がんする主因は、『ヒトパピローマウイルス(HPV)』の一部が子宮頸部に持続感染することです。
かつては、子宮頸がんの場合『年齢』が発がんにかかわると誤解されていました。
しかし今では、ヒトパピローマウイルスは、セックスにより感染することが分かっています。そのため、セックスをしたことのある女性は皆、発病のリスクがあります。
2.低用量ピルの内服による、リスク上昇について
低用量ピルを5年間内服すると、子宮頸がんを発病するリスクがわずかに増加します。さらに、10年間内服すると、リスクは2倍になるといわれています。
これが低用量ピルの薬理的な問題なのか、服用することでコンドームを使わない人が多くなることが原因なのかは、よく分かっていません。
3.子宮がん検診も、1年に1回受けましょう
長期にわたって低用量ピルを服用する場合は、1年に1回子宮がん検診を受けましょう。
もっとも、低用量ピルを服用したことがなくとも、セックスの経験があれば、1年に1回、検診を受けると良いですね。
最近では、検査でヒトパピローマウイルスの有無を調べることもできます。それも併用することで、さらに診断の精度が上がります。
まとめ
乳がんのリスクが上がるかはまだ不明
低用量ピル(OC、LEP)を短期服用することで、乳がんにかかるリスクが上がることはほぼありません。
しかし、乳がんにかかっていたり、過去かかったことがあったりすると、悪化する危険性があるため、内服することはできません。
子宮頸がんは注意が必要
また、低用量ピルは、子宮頸がんとのかかわりも指摘されています。
低用量ピルを服用する場合はもちろん、そうでなくても年に1回は検診を受けることをおすすめします。
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