
管理栄養士(栄養学)
1999年 東京家政学院短期大学 生活科学科 食物栄養学科 卒業 準学士
1999年 調剤薬局にて栄養カウンセリング
2001年 管理栄養士 取得
2005年 健康食品・化粧品の会社にて学術担当
2012年 株式会社 Luce 代表取締役
山野美容芸術短期大学や服部栄養専門学校にて栄養学の講師を勤める。また、小田原銀座クリニックの栄養顧問など、栄養学・美容学の分野で活動。
その他、テレビや雑誌などを通して日常生活に密着した健康知識・栄養情報を発信中。
低血圧は、放っておくとめまいや立ちくらみだけでなく、不眠や頭痛などを起こします。
またそれだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になることもあるといわれています。
この記事では、とくに若い女性に多い『低血圧』について解説しながら、『低血圧によい食事や栄養素』について解説します。
低血圧って、どんな状態?
高血圧と違い、低血圧には国際的な基準はありません。
基本的に成人の場合は、「収縮期(最高)血圧が100mmHg以下」の場合を低血圧といい、若い女性に多くみられます。
低血圧とは、血液を全身に送り出したり戻したりする「心臓のポンプ作用が弱く、血液循環がスムーズではない状態」のことです。
そのため、血液がじゅうぶんに体内に回らず、『冷え性』や『肩こり』を起こしやすくなります。
低血圧の人に不足しがちな栄養素とおすすめの食事
1.低血圧に必要な栄養素
栄養の偏りなく、必要な量とエネルギーをじゅうぶんに摂ることが大切です。
さらに、体温を上げ血液循環をサポートする栄養素も必要でしょう。
たんぱく質
たんぱく質は体温を上昇させる栄養素です。体重1kgあたり1gのたんぱく質を摂るようにしましょう。
朝起きたときは、体温が一番低い状態です。そのため、脳を含む臓器がじゅうぶんに活動しません。
「なかなか起きられない」、「だるい」という人も多いでしょう。
これらの、“朝のつらさ”は、朝にしっかりとたんぱく質を摂ることで改善されてきます。
塩分
高血圧には塩分制限がありますが、塩分には血管を広げ体温を上げるはたらきもあります。低血圧の改善には1日10gを目安に摂るようにしましょう。
水分
水分は血流量を増やし、血液の流れをスムーズにするために必要なものです。
一般的には、は1日1.5リットルの水を飲むことが理想だといわれています。
そのほか
「DHA」・「EPA」や「ビタミンE」など血行促進に働きかける栄養素やミネラルの補給も意識するとよいでしょう。
これらは血行を良くするため、症状の解消につながります。
2.低血圧に必要な栄養素を多くふくむ食べ物
肉類
良質なたんぱく源として、『豚肉』・『牛肉』・『鶏肉』などは意識して摂りましょう。とくに、豚肉はビタミンB1が多く疲労回復を助けます。
肉類が苦手であれば、豆腐や納豆などの大豆製品がおすすめです。
魚介類
良質なたんぱく質にくわえ、マグロや青魚には血行を促進するDHAやEPAが多く含まれています。
とくに、マグロは筋肉の元となるBCAAというアミノ酸(たんぱく質)も多いので、体温を上げるのに一役買ってくれます。
野菜や果物
緑黄色野菜はビタミンが豊富で、淡色野菜は水分(ミネラル)が豊富です。合わせて食べるようにしましょう。
さっぱりした柑橘(かんきつ)類は、低血圧の症状でもある「だるさ」や「疲れ」、「めまい」などの症状をやわらげてくれます。また、柑橘類特有のフレッシュな香りも効果的です。
主食(穀物)
白米よりも、玄米や発芽米の方がビタミンを多く摂れます。パンや麺もライ麦や全粒粉などにすることでミネラル補給になります。
乳製品
牛乳やヨーグルトはよいミネラル補給になります。とくに、牛乳にはマグロ同様、BCAAが多く含まれています。
3.気をつけたい食品
加工品
すべて手作りするのがむずかしい場合は、加工品やインスタント食品も上手に活用するのもよいでしょう。
しかし、塩分は摂れても、たんぱく質・ビタミン・ミネラルが少ないものが多いです。
サラダやヨーグルトをつけるなどして、栄養のバランスをとりましょう。
嗜好(しこう)品
アルコールやコーヒーのように、カフェインの多いものは利尿を促(うなが)してしまうので、カフェインが無いものか少ないものをこまめに摂取するとよいでしょう。
低血圧を改善する食事のポイント
1.効果的な食事
朝食を和食に!
魚や海藻は必要栄養素にくわえ、食材自体に塩分が含まれているので、低血圧の方にはオススメの食材です。
さらに、朝食を和食にすると、塩分が長い間体内に残りやすくなります。
ヨーグルトにひと工夫
ヨーグルトに果物を入れることで、たんぱく質・ビタミン・ミネラルを効率よく摂ることができます。
2.ダイエットは低血圧を悪化させる!
若年女性の多くに、過度のダイエットによる栄養不足が指摘されています。そのなかでも、低血圧の人がダイエットをすると、さらなる低血圧を引きおこします。
まずは低血圧を改善してから、体重コントロールを考えましょう。
3.食事とセットで気をつけたいこと
適度な運動を
体温を上昇させるには、日ごろから適度な運動で筋肉をつけることがおすすめです。
ただ、低血圧の状態で運動すると、めまいや立ちくらみを起こすこともあるので注意しましょう。
運動は夕方が効果的!
人間の体温や血圧は15時〜17時くらいが一番高まります。
そのため、この時間に30分くらいのウォーキングや水泳、ヨガなど、自分に合った運動をするのが効果的です。
早寝早起きの習慣をつける
低血圧だと朝は起きづらいことが多いでしょう。だからといって、起きてすぐ無理に活動をするとその状態がさらにつらくなります。
余裕をもって起きてゆっくり行動すると状態が落ち着くこともあります。早寝早起きの習慣をつけるとよいでしょう。
まとめ
低血圧は、急に立ち上がったり長時間座った後に立ち上がったりすると、めまいや立ちくらみが起きやすくなるので、気をつけましょう。
また、低血圧は根本から治す治療法がないからこそ、日常生活での改善がとても重要です。
大きな病気を引き起こす前に、定期的に循環器科や内科などの医療機関へ通い、医師や栄養士と相談しながら向き合っていくと安心ですね。
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