「肝炎」や「肝臓がん」など肝臓にかかわる病気の治療・予防について

肝臓
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【職務経歴】
平塚共済病院
小田原銀座クリニック
久野銀座クリニック

肝臓のはたらきと、肝臓病について

1.肝臓のはたらき

肝臓

肝臓は「代謝」「排泄」「解毒」をおこなう臓器

肝臓は、人間の体の中で最も大きな臓器です。

肝臓のはたらきは、腸から運ばれてきた『たんぱく質』や『糖質』、『脂質』をひとつにして、体が必要とする他の成分に変える『代謝』や、『貯蔵』をおこなうことです。加えて、代謝のさいに不要になったものを『胆汁酸』として排出したり、体に入った毒素や異物を『解毒』したりする役割も担っています。

沈黙の臓器と呼ばれるワケ

肝臓は、「沈黙の臓器」とも呼ばれます。

というのも、肝臓は障害が起きても自覚症状があらわれにくい臓器だからです。肝臓の機能の一部が低下しても、残りの正常な部分がカバーしてしまいます。そのため、肝臓病にかかって症状が出る、というケースでは、かなり病状が進行している場合が多いです。

再生能力が高いのも特徴!

一方で、再生能力が高いのも肝臓の特徴です。手術で肝臓の3分の1を切り取っても、再生が可能です。

2.おもな肝臓病の種類

肝臓

おもな肝臓病には、『肝炎』、『肝硬変』、『肝がん』などがあります。

A型肝炎

A型肝炎のほとんどは『急性』で、慢性化することはありません。

感染する原因は、A型肝炎ウイルスに汚染された、水や生の魚を口にすることです。東南アジアなどに滞在して、感染することが多いです。現地の人は、現地の人は幼児期に感染して免疫を持っていることがほとんどです。そのため、成人がA型肝炎にかかることはほぼありません。

しかし、日本人の場合は免疫を持っていないため、A型肝炎を発病することがあります。A型肝炎の発病が多い地域に行く前に、予防接種を受けて、A型肝炎を防ぎましょう。

B型肝炎

B型肝炎の場合は、慢性化することもあります。しかし、大人になって初めて感染した場合は、慢性化することはまれです。

B型肝炎はウイルス性の肝炎です。感染経路としては、医療従事者の針刺し事故や、覚せい剤などを打つ注射器の使い回しなどによる『血液感染』、『性行為』 、『母子感染』が主です。

ウイルスに感染してから発病するまでの期間は1~6ヵ月です。

C型肝炎

C型肝炎も、B型肝炎と同様にウイルス性の肝炎です。感染経路は、輸血や血液製剤の使用、医療従事者などの針刺し事故など、『血液感染』が多いです。といっても、献血で供給された血液の『HCV抗体(C型肝炎ウイルス抗体)』を検査できるようになってから、輸血による感染はほとんどありません。

肝硬変

『肝硬変』は、肝臓の細胞が破壊され続けることで『繊維』が増え、肝臓が萎縮して硬くなって、機能が低下する病気です。

肝硬変の原因で最も多いのは『C型肝炎』です。全体の70%弱を占めています。2番目に多いのは『B型肝炎』で20%弱、3番目が『アルコール』で10%程です。

以前は、肝硬変の原因の大半はアルコールだといわれていました。しかし、C型肝炎が発見されてから、原因の大半がC型肝炎によるものだと判明しています。そのほか、『自己免疫性肝炎』も肝硬変の原因です。

肝硬変にかかっても、初期のころはほとんど自覚症状がありません。

進行すると、『全身倦怠感』や『疲れやすさ』、『食欲不振』などの症状があらわれます。さらに悪化し、肝機能が低下してくると、『黄疸』や『腹水』、男性の乳房が大きくなる『女性化乳房』などが生じます。

肝臓がん

肝臓から発生する『原発性肝臓がん』には2つにわけられます。

ひとつは、肝細胞ががん化した『肝細胞がん』です。もうひとつは、肝臓の中にある『胆管』の細胞から発生する『胆管細胞がん』です。

・肝細胞がんについて

肝細胞がんは日本など東南アジアやアフリカに多く、欧米には少ないといわれています。男女比はおよそ7対3と男性の方が多いです。がんによる死因の男性第3位、女性第4位に位置しています。

肝細胞がんの原因の約70%は『C型肝炎』で、約20%がB型肝炎です。肝硬変など慢性の肝障害からがんに進行するため、手術療法や放射線療法、化学療法などがんの進行度や合併症、全身状態に合わせた治療が行われます。

・胆管細胞がんについて

胆管細胞がんの原因は、明らかになっていません。ただ、『原発性硬化性胆道炎』や『肝内結石症』、『ウイルス性肝炎』、『肝吸虫』、『胆石』、『糖尿病』などにかかっていると、発生確率が高くなるといわれています。

治療法は、手術療法が唯一、治癒を期待できる方法です。しかし、術後の合併症や手術による死亡について、他のがん手術よりも高リスクです。

肝臓病を予防するには?

1.感染に注意しよう

肝臓

肝臓病を予防するために大切なのは、肝炎ウイルスや、汚染された食べ物から感染しないようにすることです。

A型肝炎の感染予防

A型肝炎の発病しやすい地域に行く場合は、『予防接種』を必ず受けましょう。現地では、生ものの飲食は避けてください。

B型肝炎・C型肝炎の感染予防

B型肝炎やC型肝炎の予防としては、『血液感染』や『性行為感染』に注意する必要があります。

薬物依存者の注射器の回し打ちや、無防備なセックスは感染のリスクを高めます。入れ墨や鍼(はり)の施術、ピアスの穴開けも、道具が十分に消毒されていないと、感染の広がる恐れがあります。

また、1989年以前は、輸血に使う血液のC型肝炎ウイルス検査がおこなわれていませんでした。1989年以前に輸血した人は、一度検査を受けることをおすすめします。

2.肝臓病を防ぐためのセルフケア

肝臓

肝臓病の治療や予防のため、「肝臓をいたわる食事」をとりましょう。

肝臓の負担を減らして健康を維持するには、1日3食、栄養バランスのよい食事をとることが大切です。

タンパク質を十分にとる

肝臓は、たんぱく質や糖質などの代謝をおこなっています。その肝臓機能が低下すると、『肝細胞』や代謝に関係する『酵素』が壊れてしまいます。

肝細胞や酵素の主成分は、たんぱく質です。再生には、十分な量のたんぱく質を必要とします。肝臓が弱っているときは、良質なタンパク質を1日に『100g前後』は食べるようにしましょう。

糖質や野菜をバランスよく食べる

肝臓の中に脂肪がたまる『脂肪肝』の場合は、糖質を取り過ぎないようにする必要があります。

しかし、ダイエットなどで極端に糖質を制限していると、エネルギー源になる糖質の代わりに、たんぱく質が使われてしまいます。糖質は1日に『300~400g』はとるようにしましょう。また、野菜や果物もしっかり食べ、ビタミンを補給することも大切です。

アルコールは適量にとどめる

肝臓がアルコールを処理できる能力は、体重1kgにつき、1時間「100~200mg」です。

アルコールの摂取量にともなって、肝臓への負担も増します。二日酔いは、前の晩に飲んだアルコールを、肝臓が処理し切れないことで起こります。

肝臓への負担を減らすため、1日の飲酒量は日本酒の場合1合、ビールの場合は中びん1本、ウイスキーの場合はダブル1杯程度にとどめましょう。また、夜遅くまで飲むことも避けてください。

便秘解消につとめる

一見、肝臓とは関係のなさそうな「便秘」が肝臓の負担になることがあります。

先に解説したように、肝臓には毒素を分解する『解毒』のはたらきがあります。便秘によって発生した、腸内の有毒物質が肝臓へとはこばれ、負担をかけてしまいます。

食事は『野菜』や『海藻』など、食物線維の多い食品を積極的にとりましょう。また、水分をしっかりとる、適度な運動をするなどして、便秘予防・解消につとめることも大切です。

心身の休息を

『過労』や『ストレス』も肝臓病をまねく要因になるといわれています。

規則正しい生活と十分な睡眠、ストレスの解消を心がけましょう。

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