
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
監修者
薬剤師:石上和子 先生
静岡薬科大学出身
現在管理薬剤師として関東の薬局で活躍中。
子供から高齢者まで皆様が安心して、効果的にお薬を使用していただけるよう、日々調剤を行う。
まずは薬を飲まずに済むように自分自身で対策を取ること。そのために役立つ情報を発信していく。
ジェネリック医薬品について、「聞いたことはあるけど何なのかはよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか。
普通の薬(新薬)と同効果・低価格といったメリットがあり、普及率は広がりつつあります。
この記事ではジェネリック医薬品と新薬の違い、そのメリットやデメリットについて解説します。
ジェネリック医薬品とは?
医師が処方する薬は、基本的に新薬かジェネリック医薬品のどちらかです。
ジェネリック医薬品とは一言でいうと「既存の薬(新薬)を他メーカーが製造したもの」です。
1.ジェネリック医薬品と新薬の違い
新薬(先発医薬品)
最初に開発されたオリジナルの薬です。
20年程の歳月と数百億円以上の費用をかけて開発されます。
特許出願から期間が切れるまでの20年間は、独占的に発売できます。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)
新薬を他メーカーが製造したものです。
新薬と同じ有効成分で作られているため、品質や効果はほとんど変わりません。
厚生労働大臣の承認を受けて製造・販売されるので信頼度も高いです。
他メーカーによる製造は、新薬の特許期間が終了してから許可されるので、新薬より遅れて登場します。
2.ジェネリック医薬品の普及率
日本での普及率は2017年3月時点で約67.1%(日本ジェネリック製薬協会より)です。
国内では、2018年から2020年にかけて普及率80%以上を目標としており、今後はジェネリック医薬品の処方がさらに一般的になりそうです。
海外での普及率は?
ジェネリック医薬品の海外での普及率は、以下の通りです。
- アメリカ:92%
- ドイツ:83%
- イギリス:73%
- フランス:64%
ジェネリック医薬品のメリット&デメリット
1.メリットは?
ジェネリック医薬品は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づき、規制や基準を守って開発・製造されています。
安全性・有効性は新薬と変わらない
厚生労働省の審査をクリアしたものだけが発売されるので、安全性や有効性は新薬に劣りません。下記は審査基準の一部です。
- 新薬として使用されていた実績がある
- 飲み方・用量・使用上の注意点などが明確である
有効性を保ったままアレンジできる
ジェネリック医薬品は、形状・色・味・添加物をアレンジすることができます。
これは決してマイナスな目的ではなく、より良い品質を求めるために行われるものです。
- より安全性を高めるため(添加物の追加や含有量の変更)
- 飲みやすくするため(形状や味などを変える)
もちろん発売前には検査を実施し、手を加えたことで効果や安全性に変化が起きないかを調べます。
低価格で手に入る
効果や安全性は新薬とほぼ変わりませんが開発費が少ない分、低価格で手に入ります。
厚生労働省によって処方薬の価格は2年に一度改定されますが、原則としてジェネリック医薬品は新薬の2~5割程度の価格で手に入ります。
医療費の削減につながる
新薬は開発に20年以上の年月と数百億円以上の費用がかかりますが、ジェネリック医薬品は3~5年ほどの期間と1億円程度の費用で製造できます。
そのため、医療費の削減が期待できるとされています。
2.デメリットは?
有効成分に多少の誤差が出る可能性がある
既述の通りジェネリック医薬品は、有効成分以外の部分をアレンジできます。
そのため有効性や適応症状については新薬と一部異なる場合があり、副作用やアレルギーが出る可能性も否定はできません。
毒性を確認する実験が行われない
基本的に厚生労働省の検査にクリアしないと発売できないため、有効性や安全性は高いです。
しかし毒性を確認する実験は行われていないので、100%安全とは言い切れません。
とはいえジェネリック医薬品は販売前に国の厳しい審査をクリアしているので、そもそも毒性を確認する実験は必要なく、そこまで大げさにとらえる必要はないでしょう。
ジェネリック医薬品と新薬どちらを選ぶべき?
ジェネリック医薬品を希望する場合、以前は医師にその旨を伝える必要がありましたが、現在は調剤薬局にて薬剤師に伝えることで処方してもらえます。
どちらを選べば良いか迷う方は、医師や薬剤師に相談してみましょう。参考程度に、それぞれどんな人におすすめかまとめてみました。
1.こんな人にはジェネリック医薬品がおすすめ!
下記に当てはまる方には、ジェネリック医薬品がおすすめです。
- 効果が変わらないなら安い方が良いと思う方
- 味や形状などの点で新薬よりも飲みやすいと感じる方
- 添加物が新薬よりも安全だと感じる方
定期的に同じ薬を処方してもらっている方は、一度ジェネリックを試してみて、効果に差を感じなければ新薬から切り替えるのもありです。
2.こんな人には新薬が適応
- 新薬に信頼・信用があり、多少費用がかかってもかまわないという方
- ジェネリック医薬品のリスクが少しでも気になる方
- 医師から新薬の指定がある方
医師から新薬の指定がある場合
医師から新薬が指定されている場合、ジェネリック医薬品に変更することはできません。
処方箋の変更不可欄にチェックマークや「×」の記載があれば、ジェネリック医薬品は選択できないということになります。
薬剤師から「ジェネリックにしますか?」と聞かれた場合は、新薬の指定がないということなので問題なく処方できます。
まとめ
ジェネリック医薬品は、レシピのある料理のようなものです。
長い年月と莫大な資金をかけて開発されたレシピ(先発品)のベース(効果)は崩さず、そこに手を加えてさらなる効率性を追究します。
新薬と同じ効果で価格が安いなどメリットが多いので、これを期にジェネリック医薬品に少しでも興味を持っていただけたらと思います。
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