
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
『胃カメラ』は、食道や胃などを観察する際に用いられます。
ひと昔前は口から入れるタイプがほとんどでしたが、最近は鼻から入れるタイプも増えてきています。
今回は鼻から入れる『経鼻(けいび)胃カメラ』の特徴や、口からの胃カメラとの違い、検査の流れについて解説します。
胃カメラとは?経鼻と経口との違い
1.胃カメラで検査できること
胃カメラは、口の中・食道・胃・十二指腸を観察する検査のことで、「上部内視鏡検査」ともいいます。
内視鏡検査をおこなう目的は、胃の中の状態を画像で確認し、『潰瘍(かいよう)』や『がん』などの病気を発見することです。
胃カメラで発見できるがんは、『食道がん』や『胃がん』です。まれに、口の中や喉のがんが発見されることもあります。
2.経鼻と経口の胃カメラの違い
上部内視鏡(胃カメラ)は、鼻からでも口からでも入れることができます。
鼻からでも口からでも同じ場所につながるので、検査にそれほど違いはありません。
人によって感覚はさまざまですが、経鼻(鼻から入れる)のほうが楽だと感じる人が多いようです。
経鼻胃カメラの検査の流れ
1.胃カメラをうける前日の食事について
胃カメラをうける前日は、消化の悪い食事は避け、20時か21時ごろまでには食事を済ませましょう。
水分補給は水のみで、当日は検査が終了するまで絶食となります。
検査を受ける病院によって条件が異なるため、具体的なことについては受診した病院でよく聞いてください。
分からないことがあれば、その場で確認するようにしましょう。
2. 胃カメラの検査前に、鼻へ麻酔をする
経鼻胃カメラは、鼻にたいして血管収縮薬と局所麻酔を使います。
血管収縮薬で、鼻の粘膜の血管を収縮させてむくみをとったあと、局所麻酔をおこないます。
直接血管に注射するものではなく、注入器で流し込むタイプと、スプレーで吹きかけるタイプのどちらかになります。
鼻のみの麻酔であるため、麻酔による眠気や痛みはほとんどありません。
3.経鼻・経口ともに「消泡剤」は飲む必要がある
経鼻・経口どちらであっても、胃カメラの検査前には『消泡剤』を飲む必要があります。
消泡剤は、胃の中をきれいにする薬で、飲むとやや苦味を感じます。
4.検査中、吐き気を感じにくい
経鼻の胃カメラは、舌の根元に触れることがないため、吐き気をもよおさずに検査ができる場合が多いです。
経口の胃カメラだと、舌の根元に胃カメラの管があたり、吐き気を引き起こします。
また、口が空いている状態なので、検査中でも会話が可能です。そのため、質問や不調を伝えることもできます。
5.検査後、飲食は30分~1時間でできる
経鼻の胃カメラの場合は体への負担も少なく、検査後30分から1時間で飲食が可能になるのも特徴です。
経鼻の胃カメラについてのギモン。痛い?
1. 経鼻の胃カメラを通すとき、痛い?
感じ方は人によってそれぞれですが、多くの人は口からよりも鼻からの胃カメラ検査の方が楽だと感じているようです。
鼻から胃カメラを通す時に痛みを心配する方も多いですが、麻酔をすればほとんど気にならないようです(個人差あり)。
2. 胃カメラを鼻から入れられないケースも
鼻炎がある場合や血液をサラサラにする薬などを服用している方は、「経鼻内視鏡」(鼻から入れる胃カメラ)ができないことがあります。
また、鼻炎であったり、鼻の奥がせまかったりする場合、無理に経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ)を挿入すると出血をすることがあります。
そのため直前になって経口に変更になる場合もあります。最終的には、医師の判断にゆだねましょう。
まとめ
口から入れる胃カメラは、オエっとした吐き気や胃カメラを飲んだ時の苦しさなどから受けたくないと感じる人も多いですよね。
ですが最近では、痛みや吐き気をほとんど感じずに検査を受けられる鼻からの検査(経鼻内視鏡)も進化しています。
口から入れる胃カメラと同じように食事制限はありますが、検査後30~1時間程度で食事や水分補給ができるため、心身の負担も軽くなります。
胃の痛み・喉・胸やけなどの症状があったときは、早めに内視鏡の検査が必要となりますが、経鼻内視鏡という選択があることを覚えておくとよいでしょう。考えているよりも気軽に検査を受けられます。
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