
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
『胃下垂』は、症状が出ていなければ放っておいても問題はありません。
しかし、胃腸の調子が悪い、下痢や便秘を起こしやすい、疲れやすいなどの症状がある場合は治療や生活習慣の改善をオススメします。
この記事では、胃下垂の治療や、自分でできる治し方についてご紹介しています。
胃下垂についてカンタンに解説!
「胃下垂」とは、胃が垂れ下がった状態のこと
胃下垂とは、胃が正常な位置よりも下にあり、垂れさがっている状態のことです。
正常の胃の位置は、みぞおちの少し下になりますが、胃下垂の人はおへそや下腹部のあたりまで胃が垂れ下がっています。
胃下垂は病気ではなくてもリスクがある…?
胃下垂自体は病気ではありませんが、身体の不調を起こすこともあるでしょう。
体質や生活習慣も影響しているとされており、必ずしもやせている人だけとは限りません。
胃下垂かどうか気になる場合は、レントゲンによる検査で調べることができます。
胃下垂になってしまう原因って?
1.内臓筋が低下すると胃が下がる!?
一番に考えられるのは、胃の周辺の「筋力の低下」です。
胃は内臓筋によって支えられているため、内臓の筋力が下がると胃も下がりやすくなります。
とくに、「背が高くてやせている人」は内臓の筋力だけでなく、同じく胃を支えてくれる脂肪も少ないことが多いです。そのため“やせている人=胃下垂”のイメージが強いのではないでしょうか。
また、筋力が衰えやすい高齢者にも胃下垂の傾向が多く見られます。
2.ストレスによるホルモンバランスの乱れも原因に
おもにストレスが原因でホルモンバランスが乱れることによって、胃下垂を引き起こすこともあります。
精神的なストレスを感じていなくても、忙しすぎたり、ゆっくり睡眠や休息の時間が取れていなかったりすることも身体にとってはストレスです。
ホルモンバランスが乱れるというのは自律神経が乱れている状態でもあるので、胃の働きに支障が生じて胃下垂を引き起こす恐れがあります。
3.姿勢が悪いと内臓の位置が変わる!?
姿勢に気をつけていますか?
姿勢が悪い人も、内臓を正しい位置に保つことができずに胃下垂になってしまうことがあります。
一時的であれば問題ないですが、いつも姿勢が悪い人は気をつける必要があるでしょう。
猫背の人は要注意!
猫背の人は骨盤がゆがみやすく、胃下垂になりやすい とされています。
理由としては骨盤がゆがむことで開いた状態になり、胃や腸などの臓器が下の方に移動してくるためです。
そのため、猫背でなくても骨盤がゆがんでいる人は胃下垂になりやすいといえます。
女性に多い「側弯症(そくわんしょう)」
側弯症は、若い女性が発症することが多い病気です。背骨がねじれを伴って横に曲がってしまうため、胸部の骨が変形して内臓を圧迫し、胃下垂を引き起こすことがあります。
4.食事の際に噛む回数が少ない
食事の際に噛む回数が少ないことも、胃下垂になる原因になります。
あまり噛まないまま飲み込んでしまうと、消化に時間がかかるため胃に負担がかかります。
内臓や胃の筋力が強ければそこまで問題はありませんが、胃に負担をかけることは内臓筋を落とすことにもなります。
胃下垂の治し方について
胃下垂であること自体に、とくに問題はありません。しかし、症状が強く出ている場合は治療をしていくことをおすすめします。
1.こんな症状が出ていたら一度病院へ
要チェック!こんな症状はありませんか?
以下の症状が出ている場合は正しい診断と治療を受けましょう。
- 胃や腹部のあたりの痛みが強い
- 胸焼けや胃もたれがある
- 食事をしっかりとっているのに体重が減少してしまう
- 下痢が続いている、または便秘になりやすい
- 髪の毛が抜けてしまう
- 疲れが抜けにくく、毎日がだるい
- 精神的に疲れを感じやすい
精神的な不調は胃下垂を治すことで改善される!?
胃下垂によって、精神的に疲れやすくなったり、疲れが抜けにくくなったりすることもあります。
そのほか、『自律神経失調症』の方も、胃下垂を治すことで改善が見られるとされています。
2.病院は何科?何を伝えるの?
まずはお近くの『内科』でOK!
胃下垂が疑われる場合や、胃下垂の症状が出ている場合には内科を受診しましょう。
総合病院であれば、胃腸科や消化器内科などで専門性の高い医師に見てもらうことも可能ですが、まずは近くの内科にいって相談するとよいでしょう。
胃腸以外の症状もくわしく伝えましょう
胃下垂の症状以外でも、ほかに続いている症状 があればそれも伝えましょう。
生活習慣の見直し で軽減されることがあります。
3.病院でおこなう治療について
胃下垂は病気ではないため、胃下垂を直接治すような治療や薬は処方されません。
ただし胃下垂によって支障がある場合は、それを抑えるような薬を処方してもらえます。
自分で出来る「胃下垂対策」!
ストレスを溜めずに規則正しい生活を送ることがなにより重要です。また、毎日よく噛んで食事をすることで胃の負担を軽くしましょう。
精神的な疲労は内臓や胃の筋力の低下にもつながるため、休息できるときはたっぷり休息をとって、疲れを溜めないようにすることも大切です。
また、姿勢を正したり首腹筋・腹筋などの筋トレをしたりすることも有効です。
ちなみに胃下垂対策としてよく挙げられる「逆立ち」には、効果を裏付けるようなデータはありません。
まとめ
胃下垂自体は病気ではないので、症状があらわれていなければ問題はありません。
しかし、体調不良が続いているなどの不調があれば、医師に相談するようにしましょう。
生活習慣を見直すことで自然に改善されていくこともあります。
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