イタタ…空腹時の腹痛。考えられる病気と原因は?痛みを和らげる方法とは

空腹 腹痛
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【職務経歴】
平塚共済病院
小田原銀座クリニック
久野銀座クリニック

空腹になると胃のあたりを中心にお腹が痛くなる…こんな症状があったら要注意です。

空腹時の腹痛は、『胃酸過多』といって胃酸が多くなることで起こる症状です。

悪化すると、『胃潰瘍』や『十二指腸潰瘍』を引き起こす可能性もあります。

この記事では、『空腹時の腹痛』について病気の可能性もふくめて解説しています。

なぜ?空腹時に腹痛が起こるワケ

1.胃液(胃酸)の増加

分解

空腹時には、胃から「胃液」(胃酸)が大量に出ています。胃酸には消化酵素が含まれており、食べ物を吸収しやすく分解する役割を果たします。

胃酸が出るのは正常なことですが、分泌量が多すぎたり胃液(胃酸)をうまく防御できていなかったりすると腹痛が起こります。この状態を『胃酸過多』といいます。

特に空腹時は胃液が増加する傾向があるため、腹痛に繋がります。

2.「胃粘膜の損傷」が原因

吐き気

胃酸過多がさらに進行して胃の粘膜が損傷すると、『胃潰瘍』『十二指腸潰瘍』などの病気が考えられます。

空腹時の腹痛で最も多い原因、胃酸過多って?

1.胃酸過多ってどんな状態?

胃酸過多とは、胃液が必要以上に分泌される状態のことです。

胃液はほとんどが塩酸からできており、ほかに少量の消化酵素や消化管ホルモンなどが含まれています。

通常胃の中は一定量の酸で保たれていますが、胃酸過多になると胃の中の酸度が異常に高くなります。

多量に分泌された胃酸は、次のような不調を起こします。

  • 腹痛が起こる
  • 食道の出口が炎症し胸やけが起こる
  • 胃が圧迫されて吐き気が起こる

2.胃液の成分のほとんどを占める「塩酸」とは?

ストップ

塩酸は胃の中を酸性の状態に保ってくれる働きがあります。

とても強力な酸で、食物と一緒に体内にとり込まれた菌の殺菌をおこないます。

3.通常、胃酸過多になっても胃の粘膜で守られる!

保護

胃の内側には粘膜があり、酸に対する防御機能が発達しています。

そのため、健康な状態であれば胃酸過多の状態になることはないでしょう。

4.胃酸過多になると…胃痛以外の症状は?

吐き気

胃痛とともに、吐き気・げっぷ・胸やけ・食欲不振などの症状が出てきます。

5.胃酸過多のおもな原因

注意

次のような生活習慣や感染症などは胃酸分泌を促す作用があり、胃酸過多につながります。

  • ストレス
  • 寝不足・疲労
  • 喫煙
  • アルコールやカフェイン、香辛料などの刺激物
  • 鎮痛剤などの薬
  • 感染症(ピロリ菌)

そのほか、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合も

そのほか、空腹時に腹痛を起こす原因としては、『胃潰瘍』『十二指腸潰瘍』の可能性があります。

1.胃潰瘍や十二指腸潰瘍はどうして起こる?

腹痛

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃の粘膜が傷つくことによって胃液に対する防御機能が落ちることで起こります。

防御機能が落ちてしまうと、胃や十二指腸は胃液の攻撃を受けやすくなり、粘膜や組織の一部が欠損してしまいます。

2. 胃潰瘍は、食中や食後にさらに痛みが強くなる!

食事

空腹時に腹痛を感じ、食中や食後も痛い場合は胃潰瘍が考えられます。

これは、胃に入った食べ物が潰瘍を刺激して痛みを起こしているためです。

3. 十二指腸潰瘍は、食事をとると痛みが治まる?

食事

十二指腸潰瘍は、空腹時に腹痛がありますが、食事をとると痛みが治まります。

これは胃酸が潰瘍(損傷部分)を刺激することによって痛みが起こっているからです。食事を摂取すると胃酸による刺激が少なくなるためです。

4. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因

薬

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因として、以下の3つがあげられます。

  • ピロリ菌感染
  • 非ステロイド性の鎮痛・解熱・抗炎症作用のある製剤「NSAID(エヌセッズ、エヌセイズ)」
  • ストレスによる負担

十二指腸潰瘍の原因について

・おもな原因は『ピロリ菌』感染

ウイルス

ピロリ菌は口から感染するケースが多く、胃の粘膜に住み着いて潰瘍を起こしやすくします。

・NSAIDは胃の粘膜の防御機能を弱めてしまう?

薬

NSAIDは非ステロイド性抗炎症薬のことで、胃粘膜の防御機能にかかわる『酵素』の働きを抑制してしまいます。

それによって、胃酸が増加することで十二指腸潰瘍が起こるとされています。

・ストレスは胃に大きな負担となります

ストレス

ストレスによる十二指腸潰瘍は、体が常に緊張状態となることで胃に十分な栄養素を送れなくなったり、胃の粘膜が弱くなってしまったりすることで発症します。

ストレスが溜まると次のような不調が起こり、胃に大きな負担をかけます。

  • 胃の粘膜の防御機能が弱まる
  • 胃の粘膜への血流が低下し、粘膜が傷つきやすくなる
  • 自律神経が乱れて胃酸過多を起こす

胃潰瘍の原因について

・十二指腸潰瘍とちがうのは、ピロリ菌の作用!

菌

胃潰瘍の原因は、十二指腸潰瘍とほとんど同様だと考えられています。

しかしピロリ菌が胃潰瘍を起こすしくみは、十二指腸潰瘍を起こすしくみと異なると考えられています。

・ピロリ菌による胃潰瘍は何がちがうの?

菌

胃潰瘍は、ピロリ菌が胃の中の尿素から胃酸を中和するアンモニアを作ることによって、胃の粘膜を傷つけることで発症するといわれています。

・ピロリ菌に感染すると体内で有害な物質が作られる?

ピロリ菌に感染した場合、体内で有害な活性酸素や毒素が作られます。胃の粘膜はそれらによっても傷つけられ、胃潰瘍の原因となります。

空腹時の腹痛の対処法!

空腹時に腹痛がする場合に、自分でできる対処法や病院でうける治療、検査について解説します。

1.自分でできる対処法は?

ゆっくりと水を飲んで安静にしましょう

水

空腹時に腹痛になる場合、胃液が出てお腹を刺激していることが多いです。

応急処置としては、胃酸による攻撃を和らげるように水をゆっくりと飲むことや、自律神経を整えるために安静にすることをおすすめします。

どんな食べ物がいいの?食事のとり方は?

うどん

空腹状態が続くことで腹痛が起こっている場合、比較的胃を刺激しにくいものを食べましょう。おかゆや素うどんなどがおすすめです。

ちなみに脂っこいものや香辛料などは胃を刺激するため、腹痛時にはおすすめしません。

改善されない場合は病院へ

病院

先に述べたように、十二指腸潰瘍・胃潰瘍などの病気の可能性もあります。

数日たっても改善されない場合や気になる場合は、必ず『消化器内科』か『胃腸内科』を受診してください。これらが近くにない場合は、内科を受診しましょう。

2.病院ではどんな検査を受けるの?

病院で受ける検査について

検査

病院では、問診・触診・バリウム造影検査・胃内視鏡検査などをおこないます。

バリウム造影検査は、バリウムを飲んでおこなうレントゲン検査です。

胃内視鏡検査は、一般的に「胃カメラ」とよばれる、細い管の先に小型のカメラがついているもので、胃や十二指腸の状態をみる検査です。

ピロリ菌に感染している可能性がある場合は?

医師

ピロリ菌の存在を確認する方法は2種類あります。

一つは、血液・尿・便・息などを採取することによる検査で、もう一つは胃内視鏡検査の際に胃粘膜を少し削りとって確認する検査があります。

3.どんな治療を受けるの?

治療

原因や症状に合わせて治療法が決まります

胃潰瘍・十二指腸潰瘍だった場合、原因や症状に合わせて治療法が決定されます。

大きく分けて以下の二つになるでしょう。

胃や十二指腸から出血がある場合

胃や十二指腸から出血がある場合はまずは止血を優先します。

胃や十二指腸から出血がない場合

出血がない場合は、薬による治療と同時に食事などの日常生活の改善をおこないます。

鎮痛剤を飲んでいる場合

鎮痛剤(NSAID)の服用は原則中止し、ピロリ菌が見つかった場合は除菌治療をおこないます。

抗菌治療では胃酸の分泌を抑制するお薬と、2種類の抗生物質を1週間服用します。

4.空腹時の腹痛を予防するために

注意

ストレス・寝不足・疲労は胃の大敵!

日常生活のなかでは、ストレス・寝不足・疲労が溜まることで空腹時の腹痛につながります。

まずは、ストレスとうまくつき合いながらじゅうぶんに休養を取るようにしましょう。

喫煙も空腹時の腹痛を引き起こす?

喫煙も空腹時の腹痛を引き起こす原因となります。

タバコに含まれるニコチンには、胃酸の分泌量を高めたり胃粘膜の抵抗力を弱めたりする作用があるためです。

刺激物はひかえて!胃にやさしい食事を

食事では、アルコール・カフェイン・香辛料などの刺激物の摂取をひかえることが重要です。

長芋、キャベツ、豆腐などを使った料理がおすすめです。

鎮痛剤はなるべく飲まないように

鎮痛剤(NSAID)によって腹痛が起こっていることも考えられます。

一緒に胃薬をとるか、飲まない工夫をするとよいでしょう。ただし市販の胃薬は胃を刺激し、胃潰瘍の原因となる場合もあるため注意が必要です。

まとめ

空腹時の腹痛は「胃液の増加」と「胃粘膜の損傷」が原因

空腹時の腹痛は、軽い場合は胃酸過多の状態ですが、それが続くと十二指腸潰瘍や胃潰瘍にもつながります。

空腹時にいつもお腹が痛くなる場合は、それらの可能性も考えられるので一度病院を受診しましょう。

そのほかにも、鎮痛剤などの薬剤やピロリ菌が原因となっていることもあります

日ごろから心身の負担をかけすぎないこと

日ごろから胃液を過剰に分泌させないためにも、日常生活のなかでストレスの軽減・禁煙・食事の工夫などを意識しましょう。

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