1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入局 外科研修
(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年 岡村医院、医師として勤務し現在に至る
2012年 岡村クリニック開院
※計15年心臓血管外科医として勤務
大学病院および関連病院において、心臓血管外科医として勤務。
外科領域のみならず内科医としての経験を生かし、循環器領域疾患を始め、患者さんがお悩みに感じることなど気軽に何でも相談できるような地域のかかりつけ医院を目指す。
てんかんは、脳の病気のひとつで、脳神経が異常に興奮することで発作を起こします。発作の種類もさまざまあり、原因不明であることも少なくありません。
しかし、患者さん個々により傾向があるので、それぞれに合った対処をすることが大切です。
この記事では、てんかん発作の前兆や症状、対処法について解説します。
てんかん発作の症状と原因
1.てんかんとは?
てんかんは、脳の病気のひとつです。年齢や性別などに関係なく発病するもので、脳の慢性的な疾患だとされています。
WHO(世界保健機関)では、「脳の神経細胞に突然発生する激しい電気的な興奮により繰り返す発作」を特徴とし、「それにさまざまな臨床症状や検査の異常が伴う」と定義されています。
2.てんかん発作って、どんな症状?
発作は「てんかん発作」といわれ、大脳の興奮が発生する場所によって、発作の起こる場所が変わります。
自分の意思とは関係なく、手足がリズムを刻むように曲がったり伸びたりを繰り返したり、体が突っ張って硬くなったりします。突然失神したり、全身がピクピク痙攣したりする発作もあります。身体に出る発作だけでなく、感覚や感情が大きく変化するような精神面における発作もあるとされています。
様々な発作がありますが、患者さんごとに起こる発作はほとんど同じであることが特徴です。
てんかんの脳波について
てんかんの検査の中でも、最も重要なのが脳波の検査です。発作時には脳波がとがった波になり、異常な波形を示します。
3.てんかんの原因は?
てんかんの原因は様々で人によって違います。
原因不明のもの
検査をしても特別な異常が見つからず、原因不明です。遺伝はしないと考えられているため、原因の詳細はわかっていません。
脳が何らかの原因によって傷ついた
一方で脳に何らかの障害が起きたり、脳が何らかの出来事によって傷ついたりするとてんかんが起こるとされています。
脳が傷つくのは、出生時の異常(胎児仮死や分娩外傷)や低酸素、先天奇形、頭部外傷、腫瘍、脳炎、髄膜炎、脳血管障害など様々な場面で考えられます。
てんかんの発作の前兆について
人によって前兆が現れる人と、そうでない人がいます。
1.頭痛や吐き気
前兆の種類は様々で、脳の異常な興奮によって「てんかん」が起こることから、前兆の多くに頭痛や吐き気を訴える人がいます。
しかしこの頭痛には頭痛薬は効果がなく、抗てんかん薬でなければなりません。
2.視覚や聴覚に異常を感じる
他にも、視覚に異常を訴えることもあります。これは普段は見えない、本来ないはずの色やものが見えたりするもので、日常で得られる視覚からの情報に問題が生じます。
また、聴覚に異常が現れることがあります。幻聴によって、本来聞こえないはずの音が聞こえるようになりますが、多くは片方の耳のみで聞こえることが多い傾向があります。
3.その他、体が動かしにくいなどの前兆も
他にも、体が動かしにくくなったり、痛みや反射が鈍くなったりする前兆を感じる人もいます。
てんかん発作の種類
1.てんかん発作は大きく二つに分けられる
てんかんは、脳の一部が興奮して起こる部分発作と、脳の大半や全体が興奮して起こる全般発作の二つに分けられます。
2.部分発作
部分発作の中にも、意識があるかないかによって、二つに分けられます。
単純部分発作
- 意識がはっきりしている。
- 手足や顔がつっぱって動かしにくい。
- 首や腰など体の一部が痙攣したり、回転する(捻じれる)
- 幻聴を自覚することも
- てんかんの前兆の症状が続くことも
複雑部分発作
- 意識障害がある
- 意識があやふやになるが倒れることは少ない
- 発作中の記憶もないことが多い
- 同じことを繰り返す連続動作や、顔がボーっとなる(意識減損発作)などの症状が見られる。
二次性全般化発作
他にも、部分発作に始まり、その後全般発作となる二次性全般化発作がある。
3.全般発作
大脳の広い範囲が異常に興奮することで起こる発作。
ミオクロニー発作以外は前兆がなく、意識消失をきたす。
欠伸(あくび)発作(小発作)
- 痙攣を伴わず、意識が短時間(5ー10秒程度)消失する。
- 小児(特に5-15歳)に好発。
- 過呼吸で発作が誘発される。
ミオクロニー発作
- 突然の瞬間的な筋収縮
- 新生児から思春期に好発。時に意識消失することもある。
- 光刺激のある認知作業(計算機、ゲームなど)により誘発されることが多い。
脱力発作(矢立発作)
- 比較的稀な発作。
- 突然脱力して膝が折れるので、顔面や頭部などに傷を作りやすく危険な発作の一つ。
強直発作
- 意識が消失し、筋肉が硬直する。
- 身体を捻じ曲げたり、叫んだり、失禁を伴うことがある。
- 眼球上転、瞳孔散大、呼吸が停止することもある。
間代発作
筋肉の収縮や弛緩を繰り返すことで、全身がガクンガクンと震える。
強直間代発作(大発作)
- 強直発作に引き続き、間代発作が見られる。
- 多くは1分程度で終わる。
- けいれん発作後、筋は弛緩し、睡眠(自然睡眠、30分~1時間程度)または意識がもうろうとした状態になる。
- 目を覚ますとそのまま日常生活に戻ることができるが、普通の睡眠と違い、目覚めた後もしばらく歩いた時にふらついたり、ものにぶつかったりする。
点頭発作
- 乳児に好発する。
- 頭部の前屈、体幹の屈曲、上下肢の進展、屈曲などの症状が見られる。
4.てんかんの発作はどの位続く?
てんかん発作の多くは、通常数分以内に自然に終わります。
しかし発作が反復、もしくは持続すると「てんかん重責状態」になります。
発作が続く、反復する「てんかん重責発作」とは
発作がある程度の長さ以上に続く、または短い発作でも反復し、その間に意識状態の回復が見られない状態を、「てんかん重責状態」といいます。
強直間代発作が5分以上続けば、てんかん重責状態とみなし、治療を開始します。
てんかんの発作が起こったときの対処法
1.まずは安全な場所へ誘導して
周りにてんかんの患者がいて、突然倒れたりしても、できるだけ落ち着いて行動することが大切です。
もし危険な場所(道路や階段など)で倒れた場合は、安全を確保します。大勢は横にして、可能であれば周辺の危険物を避けます。
呼吸が止まることもあるので、呼吸しやすいように服のボタンを外したり、ベルトを緩めるなどの処置をします。
2.落ち着いてそのまま様子を見る
時計があれば発作が起こった時刻を記録します。てんかんの発作は、意識障害の有無に関わらず、体の一部にとどまることが多いので、そのまま全身に広がらない場合には様子を見るようにします。全身に痙攣が起きた場合にも、数分で発作がおさまることがほとんどです。
3.すぐに治療が必要な発作とは?
数十分の間は様子を見て大丈夫です。しかし、痙攣がまったく治らない時や、意識が戻っていないのに再び痙攣が起きたりする場合には、すぐに治療が必要になります。
まとめ
てんかんは、脳の一部が異常に興奮しておこる発作です。
その症状は様々で、前兆を感じる人もいれば、そうでない人もいます。一番大切なことは焦らず行動することです。様子を見ながら適切に対処しましょう。
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