アトピー性皮膚炎の新薬・デュピルマブの効果は?費用についても解説

デュピルマブ_効果
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ルサンククリニック銀座院 長谷川 佳子 院長のプロフィール画像

取材協力

ルサンククリニック銀座院

長谷川佳子 先生

2002年 福井県立藤島高等学校卒業
2002年 北里大学医学部医学科入学
2012年 北里大学医学部医学科卒業
2012年 横浜市立大学附属病院 初期臨床研修医
2013年 横浜市立大学 市民総合医療センター 初期臨床研修医
2014年 横浜市立大学附属病院 形成外科 入職
2015年 藤沢湘南台病院 入職
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任

形成外科、美容皮膚科、皮膚科、外科など様々な分野を担当。
患者さんが気楽に相談でき、しっかりと満足いく診療メニューを提案する。学会、大学病院、研究施設などへの積極的なアプローチ発表など常に最善の手を尽くすべく研究を行うことが最大の特長。
女性目線で、きめ細やかなケアと笑顔で診療することを心がける。
執筆を通し、様々な経験に基づいた根拠ある情報の提供を行う。

目次

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「生活の質」という意味で使われる「QOL(Quality Of Life)」を著しく下げる病のひとつが、アトピー性皮膚炎です。アトピー性皮膚炎の場合、「痒みで眠れない」「集中できない」「治療費が負担になっている」などが、生活の質を下げることにつながります。

このアトピー性皮膚炎の新薬として10年ぶりに登場したのが「デュピルマブ」です。 今年4月に、一般の人にもデュピルマブが処方されるようになり、8カ月ほど経過しましたが、これまでの実際の効果はどれくらいなのでしょうか?

「小田原銀座クリニック 長谷川佳子先生」が、デュピルマブの効果や使用する際にかかる費用、ステロイド外用薬との違いについても話してくれました。

デュピルマブとはどんな薬なのか

まずは、「デュピルマブ」がどのような薬なのか、長谷川先生に聞いてみました。

「アトピー性皮膚炎の発症に関わる免疫細胞が作り出すIL-4、IL-13という物質があります。これは皮膚のバリア機能を低下させ、炎症を引き起こします。

デュピルマブは注射による抗体医薬品で、ピンポイントでIL-4、IL-13の働きをブロックすることができます」

デュピルマブでアトピー性皮膚炎は完治する?

デュピルマブを使うことで、アトピー性皮膚炎の完治は可能なのでしょうか。

「完治させる薬ではありません。炎症を抑制するものなので、投与中も保湿剤の塗布、症状によっては外用ステロイドも続けます」(長谷川先生)

ステロイド外用薬との相違点

これまでアトピー性皮膚炎の治療に関しては、ステロイド外用薬での治療が一般的でした。

デュピルマブとステロイドを比較した場合、違いはどこにあるのでしょうか。

「外用ステロイドは、肌表面の痒みや炎症を抑えるために使用されています。一方、アトピー性皮膚炎症発症に関わる根本的な物質の働きを抑制するのがデュピルマブです。

炎症を起こす前の段階で押さえ込むという部分に大きな違いがあります」(長谷川先生)

長谷川先生によると、デュピルマブは炎症を起こす前段階で、アトピー性皮膚炎の根本原因に直接働きかける効果があるようです。

4カ月の継続治療で約8割が改善したという結果が…

では、実際にデュピルマブを使った患者さんの効果や、その後の経過について症例はあるのでしょうか。

「ステロイド外用薬で効果が得られない中等症以上のアトピー性皮膚炎症例を対症とした臨床試験では、4カ月の継続治療で、アトピー性皮膚炎は約80.1%改善しました。痒みについては約56.6%軽減したという結果が得られています」(長谷川先生)

ステロイド外用薬での治療で効果が見られなかった患者さんには、試してみる価値はあるのかもしれません。

【参考URL】https://www.dupixent.jp/property/01/

費用や対応している皮膚科について

デュピルマブの使用を望む場合、対応している皮膚科や費用についても気になるところです。

「(デュピルマブは)保険適用ですが、薬剤は高額(1本の薬価は約8万円)です。 医療費助成制度を利用されると良いでしょう。

また、アトピー性皮膚炎の診断および治療に精通している医師のもとで投与を行うことが望ましいでしょう。取り扱いがあるかを事前に確認してください」(長谷川先生)

【参考資料】薬剤添付文書
https://e-mr.sanofi.co.jp/-/media/EMS/Conditions/eMR/di/tenpu/dupixent_syringe.pdf

デュピルマブは全ての患者さんが試しやすいとは言えない値段のようです。

しかし、保険適用なので医療費助成制度対象の人であれば、試しやすいのかもしれません。「ひとり親家庭医療費助成制度」を受けているシングルマザーがそれに当たります。

また、医療費控除を上手く活用して試してみるのも良いかもしれません。

医療費助成制度
医療費負担の軽減のために、国などが行っている福祉制度のことです。高額療養費制度・ひとり親家庭医療費助成制度・乳幼児医療費助成制度・家族療養付加金制度・重度心身障害者医療費助成制度などがそれに当たります。

医療費控除
医療費の合計が10万円を超えると、納めた税金の一部が確定申告をすることで戻ってくる制度です。

デュピルマブを使用する際の注意点

最後に、デュピルマブを使用する際の注意点について伺いました。

「デュピルマブの投与により、他のアレルギー症状に変化が現れる可能性があります。合併症や副作用に対応するためにも、喘息やほかにアレルギーを持っている方は、投与する前に主治医に伝えてください。

また、妊婦さんや授乳中の方への安全性も確立していませんので、授乳中の方はいったん授乳を中止する必要もあります。投与の際には主治医に伝えるようにしてください」(長谷川先生)

子どもへの使用については、「成人対象の薬なので、子どもには対応していません」とのことで、その理由は、小児に対する使用経験がなく、有効性や安全性が確立していないためのようです。

 

QOLを著しく低下させるアトピー性皮膚炎に苦しむ人は45万6千人にも及ぶことが平成26年度の厚生労働省の調べによって分かっています。

デュピルマブは子どもへの対応や費用面、安全面などを考えると、今のところ全ての患者さんが手軽に使えるわけではなさそうです。

今後、これらの点が改善されることで、より多くの患者さんが選択できる治療法の一つになることを期待します。

 

取材協力:小田原銀座クリニック・長谷川佳子先生

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