
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
直腸ポリープは、発見が遅れがちな病気です。
初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、痔に似ているため、なかなか気づくことができません。
また、大腸がんになるリスクが高いと言われている病気でもあります。ポリープの段階で発見できれば、早期に治療を開始し、がん化するリスクを減らすことができます。気になる症状がある方は一度医療機関を受診してください。
こちらの記事では、直腸ポリープの治療や検査法について解説します。
直腸ポリープとは
1.直腸ポリープって、どんな病気?
直腸ポリープとは、直腸の粘膜上皮に、こぶ状の盛り上がりが生じる病気です。
『有茎性(ゆうけいせい)』と『無茎性(むけいせい)』があります。きのこに似た“くき”がある場合は有茎性、なければ無茎性です。
2.直腸ポリープの症状
直腸ポリープは初期症状がほぼ無いといわれています。ポリープがある程度大きくなると、便とポリープが接触することで出血し血便が出ます。
また、下腹部の膨満感、腹痛、下痢などの症状が現れることもあります。
3.間違えやすい…痔と直腸ポリープ
直腸ポリープは、痔と間違えやすいともいわれています。
痔には、炎症や腫れ、出血などの症状があり、その中でも有名なのが排便時の出血です。
直腸ポリープでも、血の混じった便がでることがあります。「便自体に血が混ざっている」という点で、痔とは異なります。しかしそれを見て「痔だ!」と思ってしまう方も少なくありません。
実際のところ、痔と直腸ポリープを自分で見分けることは困難です。便に血が混じっていたら、自己判断で痔だと決めつけてしまわずに、医療機関を受診することをおすすめします。
直腸ポリープの検査
直腸ポリープの検査は、直腸指診、便潜血検査、内視鏡検査が中心です。
1. 直腸指診
直腸指診は、比較的簡単にできるため、医療機関でよく行われる検査方法です。医師が肛門から指をいれて、直腸の状態や付着している便の状態を確認します。
この検査で、直腸内に出血や血液の付着等が確認できたら、痔の可能性が高いと判定されます。
逆にこの検査で原因が判定できない場合は、大腸内視鏡検査で大腸内の異常を調べることになります。
2. 大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡と呼ばれるカメラを入れて、大腸を観察する検査方法です。直腸ポリープ以外に、大腸がんや大腸炎などの診断の際にも使われます。
また、必要であれば、大腸の粘膜を一部採取して顕微鏡で観察する、生検という検査を行い、良性か悪性かを判断します。
直腸ポリープの治療方法・手術後に注意すること
1. 内視鏡ポリペクトミー
肛門から大腸内視鏡(カメラ)を挿入して、スネアという金属製の輪をかけ高周波電流でポリープを焼き切る治療法です。
直腸ポリープの大きさが2cm未満の方、有茎性ポリープの方に適用されることが多いです。手術時間や入院期間は比較的短く済みます。
2.大腸内視鏡的粘膜切除術(EMR)
大腸内視鏡を肛門から挿入し、ポリープ下の粘膜を支えている組織に液体を注入して盛り上げます。そして、スネアという金属製の輪をかけて電流を流し焼き切ります。
直腸ポリープの大きさが2cm未満の方、無茎性ポリープの方に適用されることが多い治療法です。こちらも内視鏡を使用するので、手術時間や入院期間が短いことが特徴です。
3.経肛門手術(経肛門的局所切除術)
下半身麻酔後、器具を使用し肛門を拡張させて、直接ポリープを引き出し切除します。
直腸ポリープの大きさが2cm以上で大腸内視鏡では切除しきれない方やポリープが肛門から5cm以内の場所にあり、内視鏡では手術しづらい場合に有効とされる治療方法です。
入院期間の目安は3〜8日とされていますが、ポリープの大きさによっては、日帰りや1〜2日で退院できることもあります。
4.内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)
肛門から大腸内視鏡を挿入し、ポリープ下の粘膜を支える組織に液体を注入し浮かせてからメスを使用し少しずつ粘膜を剥離して切り取る治療方法です。
直腸ポリープの大きさが25cmで、粘膜内に留まっている方や、大腸内視鏡的粘膜切除術では切除しきれない大きさのポリープや大腸がんにも対応できます。
入院期間の目安は7日程度とされています。
5.術後の注意点
食事やアルコールはひかえめに!
ポリープの切除手術後は、合併症を防ぐため、術後4日間くらいは食事量を減らし、アルコールや辛いものなどの刺激物は避けるとよいでしょう。
37.5℃以上の発熱があれば病院へ!
切除手術後、腹痛や血便、37.5℃以上の発熱等の異常が現れた場合は、速やかに、手術を受けた病院を受診するようにしましょう。
まとめ
直腸ポリープは、大腸がんになるリスクが高いといわれる病気です。
しかし、自覚症状がほぼないため発見が遅れるケースも多々あります。予防に努め、早期に発見し治療することが大切です。痔と勘違いして直腸ポリープを見逃さないためにも、定期的に健診に行き、自分の体の状態を知るよう心がけてください。
また、日々の生活習慣も病気に大きな影響を与えます。食事は脂分の摂り過ぎに注意し、食物繊維を摂取するようにしてください。適度な運動も生活の中に取り入れるといいですね。
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