
管理栄養士(栄養学)
1999年 東京家政学院短期大学 生活科学科 食物栄養学科 卒業 準学士
1999年 調剤薬局にて栄養カウンセリング
2001年 管理栄養士 取得
2005年 健康食品・化粧品の会社にて学術担当
2012年 株式会社 Luce 代表取締役
山野美容芸術短期大学や服部栄養専門学校にて栄養学の講師を勤める。また、小田原銀座クリニックの栄養顧問など、栄養学・美容学の分野で活動。
その他、テレビや雑誌などを通して日常生活に密着した健康知識・栄養情報を発信中。
カレーのスパイシーな香りをかぐと、ついつい食べたくなる方も多いのではないでしょうか? カレーはたくさんの香辛料をはじめ、野菜やたんぱく源となる肉、ごはんを一皿でバランスよく食べられるメニューの1つです。
そのカレーに含まれるさまざまな食材には、身体の調子を整える栄養素が詰まっています。寒気を感じたり、軽いのどの痛み、鼻水など風邪っぽさを感じたりするときにカレーはおすすめです。カレーの何が風邪に良いのか、免疫力を整える働きをご紹介していきます。
風邪にカレーが効くといわれる理由は?
カレーは風邪に良いのか
カレーは、玉ねぎ・にんじん・じゃがいもなどの野菜と牛肉や豚肉などのたんぱく質、ごはんなどの主食が含まれており、一皿でバランスよく栄養補給ができます。
その上に、カレールウに含まれるさまざまなスパイスによる健康効果もあり、風邪をひいたときや免疫力が低下しているときにとりたい成分がたくさん含まれています。
風邪をひくと、喉の痛みや鼻水、頭痛、熱、咳などの症状が表れますが、特に風邪の引き始めには体内へ侵入した風邪のウイルスをやっつけるための免疫機能が働きます。
免疫機能は、発熱して身体の体温を上げることで、風邪のウイルスを殺し、鼻水を出して死滅したウイルスを体外に排出しようとする働きがあります。
このような機能の働きをより高める効果が、カレーのスパイスにあるため、カレーは風邪に良いといわれています。
風邪に良いカレーの成分の解説
カレーにはさまざまなスパイスが使われています。一般的に使われているスパイスの効果効能と風邪の症状を和らげる理由をご紹介します。
ターメリック
殺菌作用、免疫力を高める
体内に侵入した風邪ウイルスを殺菌し、体外に排出しようとする働きがあります。
黒コショウに含まれる辛み成分の“ピペリン”がターメリックに含まれるクルクミンの吸収を高めるので一緒に摂ると効果的です。
クミン
抗酸化作用、免疫力を高める、鎮痛効果、食欲増進
活性酸素が増えすぎると身体が酸化し、細胞にダメージを与えます。こうした状態のときに体内に風邪ウイルスが侵入すると、身体がだるくなり食欲が低下する場合があります。
食欲増進効果のあるクミンは、免疫力を高める効果が期待できます。
また、クミンは抗酸化作用により、身体の酸化を防ぎ、風邪気味の際に感じるのどの痛みを和らげる働きもあります。
カルダモン
吐き気の軽減、抗菌作用、デトックス効果
カルダモンの爽快な香りが吐き気を抑えます。血液循環や排尿を促進させ、膀胱や腎臓にたまった老廃物を排出する効果があり、風邪のウイルスの排出を促します。
ローリエ
抗酸化作用、消化促進
ビタミンCを多く含み身体の酸化を防ぎます。また身体の代謝を高めるビタミンB群も豊富で、食べたものを効率よく代謝してくれる働きがあります。消化を助けることで風邪でウイルスと戦う身体の負荷を軽減します。
ブラックペッパー
冷え症予防、代謝促進、血液循環をよくする
ブラックペッパーには、体を温かくする効果があります。体内に侵入したウイルスは、体温が上がることで殺菌されやすくなります。そのため、身体が冷えているより温かいほうがウイルスをやっつける機能が高まります。
にんにく
血流増加、体温上昇、免疫力を高める
にんにくは、血流をよくする効果があります。血流がよくなると、身体のすみずみに摂取した栄養と酸素を運ぶことができるので、体内の細胞にウイルスが侵入するのを防ぐ働きが高まります。
生姜
殺菌作用、血流をよくする、冷え性予防
生姜に含まれるジンゲロールに殺菌効果があり、ウイルスを殺菌します。また、ジンゲロンが血流をよくするため体のすみずみに栄養素と酸素を運びます。ショウガオールは冷えを予防し、身体を温める効果があります。
カレーには、その他にもコリアンダー、フェンネル、クローブ、シナモン、ナツメグ、ガラムマサラなど、さまざまなスパイスが使われています。
もちろんカレーだけでなく、これらのスパイスを他の料理に活用しても、風邪症状の緩和に働きかけます。
風邪の症状とカレーの相性
カレーは、加工されたカレールウよりもスパイスから作るほうが風味も生きていて、自分に合った調合ができます。
スパイスはホールとパウダーの状態で販売されています。香りを楽しみたいときには、ホールのまま弱火でじっくり油と一緒に加熱することで、香りが引き立ちます。
しかし、風邪のときには胃腸も弱っていることが多いので、できるだけ油を使用しないものを口にしたいと思います。油の摂取は胃腸に負担をかけ消化吸収に時間がかかることもあります。
そのため、風邪のときにはパウダー状のスパイスを用いるのがおすすめです。
風邪のときの代表的な症状にあわせてカレーとの相性を見ていきましょう。
腹痛
風邪ウイルスによる感染で腹痛や下痢を引き起こすことがあります。特に、クミンやフェンネルに含まれる成分に鎮痛効果があり、腹痛を和らげる効果が期待できます。
吐き気や嘔吐
風邪ウイルスが胃に影響を与え、吐き気や嘔吐することがあります。カルダモンには、こうした症状を和らげる効果が期待できます。
下痢
下痢のときは腸を刺激しないようにすることが効果的です。また整腸作用のあるコリアンダーで腸を整える効果が期待できます。
一緒に発酵食品なども摂取すると効果的です。カレーにヨーグルトを混ぜるのも良いです。
喉の痛み
辛すぎず、熱すぎないカレーであれば、鎮痛効果のある、クミン、クローブ、フェンネルの作用によって喉の痛みを緩和する効果が期待できます。
風邪をカレーで予防する?
風邪などの感染症が流行する季節には、毎日の食事で免疫力を高め病気を予防したいところです。カレーに含まれるたくさんのスパイスは免疫力を高め風邪から身体を守ってくれます。
またカレーに入れる具材を玉ねぎ、にんじん、じゃがいもの定番野菜に加え、免疫力を高めるきのこや旬の野菜を入れることで更なる健康効果が得られます。
まとめ
カレーはごはん、野菜、豚肉や牛肉と、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」の3大栄養素を効率よくとれるだけでなく、スパイスの組み合わせで風邪のひきはじめのつらい症状を和らげ風邪を吹き飛ばす力を発揮します。
風邪のひきはじめや、食欲のないとき、風邪予防など、さまざまなときに活躍するカレー。
ただ、あくまでもカレーは食品なので、風邪を治すためには医療機関に行って医師から適切な指示を受けることをおすすめします。
執筆者:管理栄養士 望月理恵子先生
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