息苦しさを感じる…慢性呼吸不全とは?症状や原因となる病気について

慢性呼吸不全
  • LINEで送る

【職務経歴】
平塚共済病院
小田原銀座クリニック
久野銀座クリニック

私たち人間は、呼吸をして酸素を取り入れ、細胞に栄養分を送ることで生きています。

『慢性呼吸不全』は、普段当たり前におこなっている「呼吸」が機能しなくなる病気です。この記事では、慢性呼吸不全の症状や原因について解説します。

慢性呼吸不全とは

1.慢性呼吸不全ってどんな病気?

そもそも、『呼吸不全』とは、私たちが本来持っている、空気中の酸素を吸って、肺で『代謝』し、二酸化炭素を排出する機能を失った状態です。

代謝とは、吸った酸素を肺の『肺胞』から血液中へととりこみ、二酸化炭素を排出する機能のことです。

『慢性呼吸不全』は、呼吸不全の状態が1か月以上つづく状態です。

慢性呼吸不全

2.呼吸不全の分類について

詳しく解説すると、呼吸不全は『動脈血酸素分圧』が60Torr(トル)以下の場合です。動脈酸素分圧からは、肺における血液を酸素化する能力が分かります。

さらに、呼吸不全は、『二酸化炭素分圧』によって、2つに分けられます。二酸化炭素分圧が45Torr以下の場合が『Ⅰ型呼吸不全』、45Torrよりも多い場合は『Ⅱ型呼吸不全』です。

3.慢性呼吸不全の症状

慢性呼吸不全

息切れや、ちょっと動いただけで呼吸困難を生じる

慢性呼吸不全にかかると、『息切れ』や、階段の上り下りなどちょっと体を動かしただけで『呼吸困難』などの症状があらわれます。これは、酸素が体に少なくなる『低酸素状態』が原因です。

頭痛や血圧上昇、意識低下などが起こることも

また、二酸化炭素分圧が上昇することで、『頭痛』や『血圧の上昇』、手や足を伸ばしたときの『不規則な震え』、『意識低下』などの症状が起こることもあります。

慢性呼吸不全の原因となる病気

慢性呼吸不全

1.COPD(慢性閉塞性肺疾患)

慢性呼吸不全の原因の多くを占める

慢性呼吸不全になる原因の多くが、この『COPD(慢性閉塞性肺疾患)』です。生活習慣病のひとつでもあり、喫煙によって発症することがほとんどです。

長年有害物質にさらされることで、肺が機能を失う

COPDは、肺が長年有害物質にさらされることで、肺が機能を失っていく病気です。

気管支がせまくなる、気道にたんがつまることで呼吸がしづらい

気管支が狭くなる、肺胞が破壊されて肺が肥大する、気道にたんがつまることなどが原因で、空気をうまく吐き出せず、呼吸がしづらくなります。

2.間質性肺炎

肺胞の壁「肺間質」に傷や炎症が起こる

『間質性肺炎』は、肺にある肺胞の壁の『肺間質』が傷ついたり、炎症が起こったりする病気です。

炎症によって周辺組織が硬くなり、酸素が取り込みづらくなる

肺間質が炎症を起こすと周辺組織が硬くなり、肺がスムーズに機能しなくなります。それにより酸素の取り込みが難しくなり、慢性呼吸不全を起こします。

3.肺水腫

肺胞に毛細血管の中の液体がたまっていく

『肺水腫』は、肺胞にある毛細血管中の血液の成分が、肺胞へと入りこんでたまっていく病気です。

本来空気が入るところに液体があって、酸素がとりこめなくなる

本来ならば空気の入る、肺胞の中に液体が入っているため、酸素を取り込むことができず呼吸不全を起こします。

慢性呼吸不全の治療

慢性呼吸不全

1.在宅酸素療法

『在宅酸素療法』は、入院を必要としない患者が、酸素を体内に取り込むために用いる治療法です。

『酸素濃縮装置』を用いて高濃度の酸素を家庭で吸入し、体内の酸素濃度を保持します。

2.換気補助療法

『換気補助療法』は、主に入院患者に用いる治療法です。呼吸不全の悪化がみられる場合や、体内の二酸化炭素濃度が低い場合におこなわれます。

小型の人工呼吸器を使い、鼻と口をマスクで覆って呼吸させます。

3.リハビリテーション

慢性呼吸不全のリハビリテーションとして、次の治療もあわせておこないます。

・栄養療法…食事、栄養などの管理

・運動療法…運動、体力づくり

・理学療法…呼吸法の習得

慢性呼吸不全の予防法

先に解説したCOPDのように、生活習慣病が原因で、慢性呼吸不全になることもあります。慢性呼吸不全を予防するためには、普段の生活のなかで次のことに気をつけましょう。

たばこをやめる

肥満の解消

『アスベスト』や『たばこの副流煙』など、有害物質を吸い込まないようにする

まとめ

慢性呼吸不全は、さまざまな要因がからみあうことで、徐々にダメージを与えていきます。

そのため、症状がすぐにあらわれるわけではありません。症状がひどくなったときには、取り返しがつかないこともあります。

肺は一度崩壊してしまうと、再生しない臓器です。ちょっとした息切れが続く、など気になる症状があれば、早めに内科や消化器内科などを受診しましょう。

この記事は役に立った!

不正確な情報を報告

不正確な情報を報告

メールアドレス:任意
※メールアドレスをご入力いただいた方には、改善結果をご報告致します。
コメント(オプション):