
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
進学・進級によって新生活が始まったお子さんは、生活のリズムが狂いやすかったり、ストレスを抱えやすかったりするときです。
こうした新環境でのストレスだけでなく、「排便をする時間が定まらない」「学校でトイレに行くのが恥ずかしいから我慢してしまう」といった背景も、子どもが「便秘」になりやすい理由として挙げられます。
また、意外なところで、おねしょや口臭の原因が実は便秘だった…ということもあるようです。
そこで、医療法人小田原博信会 久野銀座クリニックの院長でもある岡村信良先生に、子どもの便秘についてお話を伺いました。
新生活はリズムが狂って便秘になりやすい?
子どもの便秘はどのようなことが原因で起こるのでしょうか?
岡村先生によると、「新生活により身体と心にストレスがかかっていると、腸の動きを調整する自律神経のバランスが悪くなり、便秘の原因となる場合があります」とのことです。
どうやら、子どもの便秘はストレスとの関係が大きいようです。
子どもの便秘のサインを見逃さない!
便秘になると、「何日も便が出ない」「便が出ても硬くて少量」「お腹が張って苦しい」「下腹部が痛い」ということはよくあります。
ところが、便秘とは関係なく思えるような5つの症状も起こるようです。
5つの意外な便秘のサイン
子どもの意外な便秘のサインには、次の5つの症状があります。
口臭が発生する
便秘で発生した有害物質が腸から体内に入り込むのが原因
おねしょをしてしまう
腸内の便が膀胱を後ろから押さえ、尿が近くなるのが原因
吐き気や嘔吐
腸の働きが停滞し、消化液が消化管にたまることが原因
下痢を繰り返す
腸内で固まった便の脇から下痢便が漏れ出てしまうことが原因
肛門からの出血
硬くなった便によって排便時に肛門を切る、腸を傷つけることが原因
なかでも、子どもの肛門から出血が見られたら、親としては何か重篤な病気ではないかと心配になってしまいます。
このようなことは子どもの便秘ではよくあることらしいのですが…その理由について岡村先生はこう答えてくれました。
「子どもは自分が便秘だという意識が低いため、いつの間にか症状を悪化させてしまいます。そのことが原因で、出血が起こることがよくあるようです」
子どものこんな様子は便秘かも!
岡村先生は、下記の4つの様子が見られる場合には、子どもの便秘を疑った方が良いと述べています。
・トイレに行っている気配がない
・腹痛を起こしている
・排便時に痛がっている
・便に血が付いているとき
親御さんはお子さんの日頃の排便の様子を、できる限り気にかけてあげたほうが良さそうです。
腸に便が溜まりすぎるリスク
便秘が悪化し便塞栓(べんそくせん)になると、つらい症状が出るようです。ここでは、便塞栓について岡村先生が解説してくれます。
「便塞栓とは、腸に便が溜まりすぎ、便が肛門を塞いだ状態のことです。便が数日出ない、排便がしにくかったり苦痛を伴ったりします」
また、検査や治療についても教えていただきました。
「問診で状態を確認し、超音波やレントゲンを行う場合もあります。治療は、浣腸や内服薬、腸内洗浄などを行います。子どもの便秘は小児科を受診し、診察、アドバイスを受けましょう」
便秘を悪化させないためにはも、医療機関を受診してきちんと診断を受けることが大切です。
子どもを便秘にさせないためには?
子どもを便秘にさせないためには、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか?
「食物線維の多い食事を摂らせ、水分を意識的に多く飲ませましょう。また一緒にいるお母さんが神経質だと子どもが便秘になりやすいともいわれています。
日々のストレスを軽減させ、トイレタイムをゆっくり取れるようにしましょう」
※ストレスによる便秘の場合は、根菜類や豆類に多い不溶性食物繊維より果物や海藻などに多い水溶性食物繊維を多く摂りましょう。
また、子どもに便秘の症状が見られても、便秘くらいでと受診をためらってしまう親御さんも多いと思われます。便秘で病院を受診することへのアドバイスを、岡村先生にお願いしました。
「毎日、排便確認を行い、何日かお通じがない場合にはためらわずに小児科を受診しましょう。慢性的な便秘を避けることが何よりも大切です」
まとめ
新生活により身体と心にストレスがかかっていると、腸の動きを調整する自律神経のバランスが悪くなり、便秘の原因となる場合があります。
子どもの便秘は「口臭」「おねしょ」「吐き気や嘔吐」「繰り返す下痢」「肛門からの出血」といった意外なサインが見られます。
また便秘が悪化すると便塞栓になることもあるので注意が必要です。
何日かお通じがない場合には、ためらわずに小児科を受診しましょう。
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