
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
両頰がりんごのように赤くなることが特徴の感染症『りんご病(伝染性紅斑)』が宮城を中心に関東でも流行しています。
りんご病は子どもに多く見られるのですが、保護者に感染することもあります。流行時期は年明けから7月くらいまでとされていて、今シーズンは2015年以来の大流行が懸念されているようです。
今回は子どもがりんご病にかかったときの受診のタイミングや妊娠中のママの注意点などについて、医療法人 小田原博信会の理事長であり、久野銀座クリニックの院長・岡村信良先生にお話をうかがいました。
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りんご病に治療法はない!受診の必要性は?
りんご病は「ヒトパルボウィルスB19」が原因のウィルス感染症で、潜伏期間は2~3週間です。咳や微熱が出る風邪のような症状に加え、両頬や腕、足に赤い発疹が出るのが特徴です。
もしかかってしまっても治療法はなく、自然治癒を待つしかありません。また、この病の特徴でもある赤い発疹が出てきたときには感染力はなく、予防法もありません。
岡村先生は、子どもがりんご病に感染した場合、「 小児科や内科を受診するようにしましょう」と受診の必要性を話してくれました。
さらに、受診のタイミングについては、「りんご病は、はじめは風邪のような症状です。このときは診断がつきにくいので、頰や手足に赤みが出て『もしかして、りんご病?』と思ったときに病院を受診して診断を受けましょう。
りんご病は一度かかれば、もうかかりません。今後のためにも記録として、母子手帳に記しておくことをおすすめします。かゆみが強い時期には、抗ヒスタミン系の内服薬や軟膏が処方されます」と、りんご病の根本的な治療はなく、かゆみの症状に対しての薬を処方してもらうかたちになります。
感染を防ぐために!家族が注意すること
りんご病は2~12歳くらいまでの子どもに多い感染症ですが、大人にも感染する可能性はあります。
大人がかかると子どもより症状が重く、「頭痛・発熱・痒み・倦怠感・関節炎・筋肉痛」などの症状を伴い、頰よりも手足に発疹が出ることが多いようです。
子どもがりんご病に感染した場合、保護者にうつる可能性もあります。子どもがりんご病かもしれないと思ったとき、一緒に住んでいる家族はどんなことに注意するべきでしょうか。
「感染者の唾液、鼻水などからの飛沫感染や接触感染で人から人に感染します。食器や洗面所のタオル、寝具などを共有するのは避けましょう。
また、感染の原因となりますので子どもへの頬ずりやキスも避けてください。マスクを着用し、うがいや手洗いをこまめにするようにしましょう」(岡村先生)
妊婦ママには高リスク
特に妊婦さんがりんご病にかかると、胎児水腫を合併して流産や死産に至るなど、胎児への影響が大きいようです。
子どもがりんご病にかかってしまったときに、ママが2人目や3人目を妊娠しているケースもあると思われます。その場合の注意点や対処法について岡村先生にアドバイスをお願いしました。
「以前にりんご病にかかったことのない妊婦さんは、感染を避けるために注意が必要です。家でも感染した家族との接触は最小限にとどめるようにしましょう。
また、家庭だけではなく、流行しているときは保菌者が近くにいることも考えられます。子どもたちの送り迎えの後は、うがい・手洗いをこまめに行ってください」
りんご病は健康な子どもであれば、あまり重症化することのない感染症です。しかし、本当に怖いのは、妊婦さんが感染すると胎児へのリスクが大きい点です。
ママが妊婦さんでりんご病にかかったことがない場合、流行中は細心の注意が必要です。
子どもの看病は可能な限り家族の手を借り、幼稚園の送り迎えもママ友に協力してもらうなどして乗り切るのも一つの手段です。
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