小児ネフローゼ症候群にかかったら…食事制限はある?原因や再発について

小児ネフローゼ症候群
林高太郎

監修者

医療法人社団さくらライフ

林高太郎 先生

埼玉医科大学 卒業
医師国家試験予備校講師、麻酔科フリーランスなどを経て、
現在は総合診療をおこなっている。

『小児ネフローゼ症候群』は、10万人に5人ほどの子どもにかかる病気です。乳幼児検診で、尿にたんぱく質が混ざっていることから、病気に気づくことも多いです。

この記事では、小児ネフローゼ症候群の原因や治療法、再発について解説します。

小児ネフローゼ症候群について

1. 小児ネフローゼ症候群とは

おもちゃ

血液中のたんぱく質が減り、むくみが生じる

『ネフローゼ症候群』とは、たんぱく質が尿によって排出されて、血液中のたんぱく質が減り、むくみなどを引き起こす病気です。中でも子どもがかかるものを『小児ネフローゼ症候群』といいます。

日本では、年間約1300人が小児ネフローゼ症候群にかかります。

小児ネフローゼ症候群のほとんどが「微小変化型」

ネフローゼ症候群にはいくつかの種類があります。小児ネフローゼ症候群のほとんどが『微小変化型』という種類です。微小変化型の場合、腎臓の組織にはほとんど変化がみられません

2.小児ネフローゼ症候群の原因について

血液をろ過する「糸球体」に障害が起こる

小児ネフローゼ症候群は、腎臓の『糸球体』という器官の障害が原因で起こります。

糸球体は、血液をろ過して尿のもとを作る器官です。このとき、通常であればたんぱく質は血液中にとどまります。しかし、小児ネフローゼ症候群にかかっていると、たんぱく質が尿の中に大量にもれてしまい、血液中のたんぱく質が減少します

免疫異常が原因だと考えられている

糸球体に障害が起こる原因についてははっきりわかっていません。しかし、何らかの免疫異常が原因だと考えられています。

3.小児ネフローゼ症候群の症状について

男の子肥満

初期の症状は、体重増加やむくみ、尿量の減少

初期の小児ネフローゼ症候群の症状は、『急激な体重増加』と『むくみ』、『尿量の減少』です。むくみははじめ、まぶたや手足に生じ、徐々に顔全体へと広がっていきます。

そのほか、『高血圧』や『顔色が悪くなる』、『食欲低下』、『体がだるい』といった症状もあらわれます。また、小腸や大腸がむくんで、『下痢』や『腹痛』を感じることもあります。男の子の場合は、陰嚢に水がたまることもあります。

進行すると、お腹の張りや息苦しさを感じる

小児ネフローゼ症候群進行すると、胸やお腹に水がたまります。それにより『息苦しく』なったり、『お腹が張ったり』します。また、『顔面蒼白になる』、『血圧が低下する』など、急性の症状があらわれることもあります。

小児ネフローゼ症候群の治療について

1.小児ネフローゼ症候群の検査

おもに尿検査と血液検査をおこなう

小児ネフローゼ症候群の検査では、基本的に『尿検査』と『採血』の2つをおこないます。

尿検査では、尿中のたんぱく質量を調べます。

血液検査では、血中の『アルブミン』というたんぱく質の量を調べます。尿中のたんぱく質の値が高く、血中のアルブミンの値が低ければ、小児ネフローゼ症候群の疑いが強いです。

「腎生検」はおこなわないことも多い

ネフローゼ症候群の確定診断には、腎臓の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる『腎生検』が必要です。

しかし、小児ネフローゼ症候群の多くを占める「微小変化型」はステロイドによる治療が有効であるため、腎生検はおこなわず、ステロイド治療を始めることがほとんどです。

血尿がひどい、1歳未満の乳児の場合は腎生検を実施

ただし、目で見てわかるほどの血尿が続く、1歳未満の乳児などの場合は、微小変化型でない可能性があるため、腎生検をおこないます。

小児ネフローゼ症候群の治療法

小児ネフローゼ症候群の治療は、『薬物療法』と『食事療法』をあわせておこないます。

1.「ステロイド」を用いた薬物療法について

男の子薬

薬物療法では『ステロイド』を使用します。先に解説した『微小変化型』の小児ネフローゼ症候群は、ステロイドによる治療が有効です。約2ヶ月間、ステロイドの投与を続け、治療を始めて約1ヶ月後には、尿中にたんぱく質が出なくなります。ステロイドを使用する場合は、易感染(感染症にかかりやすい)・むくみ・食欲増進、など副作用にも注意しましょう。

小児ネフローゼ症候群を初めて発症した場合は、入院して治療することがほとんどです。

2.食事療法について

子ども食事

食事制限はあまり厳しくない!

小児ネフローゼ症候群の食事制限はあまり厳しくありません。

腎臓の病気の場合、通常塩分や水分、たんぱく質の制限をおこないます。しかし、小児ネフローゼの場合は『腎不全』へ移行することはほとんどないため、そこまでの厳しい制限は実施しません。

むくみが強い間は、塩分を控える

むくみが強い間は、塩分を制限します。しかし治療が進み、むくみが軽くなったら、塩分の制限は必要ありません。

水分やたんぱく質の制限は必要ないことが多い

むくみというと水分制限のイメージが強いかもしれませんが、尿が出ていれば必要ありません。また、たんぱく質は医師の指示がなければ制限はせず、年齢に応じて適量を摂取してください

ステロイドにより空腹感が増すことも…肥満に注意!

治療にステロイドを使用することで、空腹感が増すことがあります。しかし、食べ過ぎは肥満へとつながります。標準のエネルギー量を超えないように、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。

生活上の注意点と再発について

 1.自宅療養の注意点

手洗いうがい、マスクなどで感染症を予防!

長期間、ステロイドによる治療をおこなうことで、感染症にかかりやすくなります。手洗い・うがいを徹底する、マスクを着用する、人混みを避けるなどして、感染を予防しましょう。

骨折しやすい!激しい運動は避ける

また、骨折もしやすくなります。そのため激しい運動は避けてください

とはいえ、運動を制限しすぎると、子どもにとってはストレスになってしまいます。制限の度合いは、医師と相談して決めましょう。

骨粗鬆症や肥満のリスクも…制限の範囲内で、適度な運動を

親子ヨガ

また、かえって運動不足になってしまうと、『骨粗鬆症』や肥満のリスクを高めることになります。運動制限の範囲内で、適度な運動をするよう心がけましょう。

2.小児ネフローゼ症候群は再発しやすい!

70%~80%が再発する!

小児ネフローゼ症候群は、ステロイド治療によって症状が改善しても、70%~80%の子どもが再発します。

また、40%近くが再発をくり返す『頻回再発性ネフローゼ症候群』や『ステロイド依存性ネフローゼ症候群』になります。

頻回再発性ネフローゼ症候群とは?

頻回再発性ネフローゼ症候群は、初めて発症したときから半年の間に2回以上、もしくは1年に4回以上再発をくり返します。

ステロイド依存性ネフローゼ症候群とは?

ステロイド依存性ネフローゼ症候群は、ステロイドの量を減らしているとき、または中止してから2週間以内に連続して再発します。

ステロイド依存性ネフローゼ症候群の場合、再発したときもステロイドで治療をおこなうため、副作用が懸念されます。そのため、再発をくり返すようであれば、『免疫抑制剤』を投与し、再発を予防します。

成人までに70%~80%は完治する

子ども回復

再発することが多い小児ネフローゼ症候群ですが、70%~80%は成人までに完治します。

治療せずに3年再発しなければ80%が完治する

また、治療せずに3年再発しなければ80%、5年再発しなければ90%が完治すると考えられています。

まとめ

小児ネフローゼ症候群にかかったら、かぜなどの感染症に気をつけましょう。感染症が原因で再発することもあります。治療を終えても、油断せず、手洗いやうがいなど、感染症対策をすることが大切です。

たんぱく尿が出ている間は激しい運動はできません。その分治まっているときには、心身の発達につながるように、積極的にいろいろな活動をしていきましょう。

不正確な情報を報告

不正確な情報を報告

メールアドレス:任意
※メールアドレスをご入力いただいた方には、改善結果をご報告致します。
コメント(オプション):

関連記事

お近くの小児科を検索!

ネット受付・予約もできる

病院検索サイト

ご自宅や職場の近くで小児科を探したいときは、検索サイト『EPARKクリニック・病院』を使ってみてください。口コミやクリニックの特徴を確認することができます。

EPARK
  • 科目をしぼって簡単検索♪
  • 充実の医院情報満載!
  • 待ち時間を削減!Web受付にも対応!

小児科一覧へ!