
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」院長に就任
小児科専門医・指導医
日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)
臨床研修指導医(日本小児科学会)
抗菌化学療法認定医
全人的な医療を心がける。病気・障害と付き合い「地域に住む方が、健康面で安心して生活を続けるお手伝いをする、支える医療」を目指す。
子供は日常的に腹痛を繰り返し起こしますが、その原因は便秘であることが多いです。生活に支障がなければ、病院を受診する必要はありません。
しかし、子供は自分で痛みの原因を考えたり、様子を見たりすることができません。便秘以外の「疾患が原因で腹痛を起こしている可能性」もあるので、訴えてきた症状を聞いて、様子をみる必要があります。
疾患が原因の腹痛を見逃すことがないよう、どのような症状の場合は病院を受診すべきなのかを把握しておくと安心です。
今回は、子供の腹痛についてご紹介しますので参考にしてみてください。
子供に腹痛が起きたら確認すべきこと
子供が腹痛を訴えることはよくあることです。早急に病院での治療が必要な場合もありますが、経過を観察しておけば症状が治まる場合もあります。
とはいえ、子供は症状を正確に訴えられないことも多いので、様子をしっかりと観察してあげる必要があります。
以下のチェック項目をもとに、しっかり診るようにしましょう。
痛みの度合いをチェック
まずは痛みの度合いをチェックしましょう。観察するポイントは下記になります。
□強い痛みで耐えられない
□継続的な痛み
□痛みに波がある
□痛みが一定で悪化している様子がない
□痛みを繰り返していても普段は元気そうにしている
□症状がどんどん悪化している
また、痛みの強さだけでなく、痛みの場所も重要です。おへその周辺が痛むのか、わき腹や下腹部が痛むのか、排便することで痛みが治まっていないか、なども確認しましょう。
腹痛以外の症状があるかチェック
腹痛以外に吐き気や嘔吐などの症状がないかもチェックしましょう。
また、嘔吐した場合は嘔吐物がどのような状態であるかも確認しておきましょう。血液が混ざっていないか、どのような色をしているかが重要です。赤色や白っぽい色、真っ黒などの場合は、何かの異常サインかもしれません。
また、発熱していないか、下痢、便がでているか確認しましょう。
お腹の張り具合をチェック
お腹の張り具合を調べておくことも大切です。また、押したときに痛みが強くなっていないかなども併せて確認しましょう。
右下腹部が痛い場合は腹膜炎や大腸憩室炎、上腹部であれば胃炎、下腹部であれば急性腸炎、お腹全体が痛い場合は腸閉塞などが疑われます。
顔色をチェック
お腹の痛みだけでなく、顔色もチェックしましょう。顔面蒼白になっていないか、赤くほてっていないかなどを見てあげましょう。
お腹をぶつけたりしていない?
子供の場合、転んだときなどに強くお腹をぶつけてしまっていることがあります。転んだ直後は特に痛みを訴えていなくても、時間が経過してから痛みを訴えてくることもあります。
ぶつけたり転んだりしていないかを確認しましょう。外傷がなくても臓器が傷ついている場合もあります。
子供の腹痛・症状別の対処法
ウィルス性胃腸炎
腹痛以外にも嘔吐や下痢の症状がみられる場合は、ウィルス性胃腸炎の可能性があります。発熱していないか体温も確認し、少量の水分・塩分をしっかりと補給させながら安静にして様子を見ましょう。
体内に入ったウィルスなどを出すために、嘔吐や下痢の回数が多くなることがあります。出し切ることで症状が改善されるため、止めないようにしましょう。
ただ、長期間にわたって嘔吐や下痢の症状が続いて水分補給が行えないと、活気低下や顔色不良などの症状が出ることがあります。その場合は脱水の危険性があるため、病院を受診するようにしましょう。
食中毒や食あたり
食中毒や食あたりで腹痛、下痢、嘔吐を繰り返すこともあります。直前に食べたものの中に、原因となるものがあれば、水分の補給を行いながら様子を見ましょう。食中毒の場合も、体内に入ったウィルスを出し切ることで症状は改善されます。
便秘
痛みが一定で、排便をすることで痛みが治まる場合は、便秘が原因であるため病院を受診する必要はありません。子供の腹痛の原因としては便秘であることが多くあります。
普段の食生活を改善し、乳酸菌を含むものや発酵食品、食物繊維を多く含む野菜などを意識して食べさせるようにしましょう。
ガスが溜まる
単なる便秘でも、1週間ほど便が出ない状態で腹痛が続くような場合は、一度病院で相談するようにしましょう。便秘以外でも、お腹にガスが溜まることで痛みを感じることがあります。
定期的に同じような痛みを訴え、時間が経過すると痛みが治まるような場合は「胃腸の動きが活発になって、ガスが溜まりやすくなっている可能性」があります。
胃腸の動きは自律神経によってコントロールされています。心因的なストレスによって自律神経のバランスが乱れ、ガスが溜まりやすくなることもあります。生活の様子を見て、睡眠などが十分に取れているかなどを確認しましょう。
精神的なこと
登校前など決まった時間に腹痛を訴えてくる場合は、精神的なことが原因となっている可能性が高いです。学校などでトラブルが起きている可能性もあるので、しっかりと話を聞いてあげましょう。
こんな症状の場合はすぐ病院へ
早急に病院を受診しなければいけない症状のポイントは、次のような点です。
□顔色が青白くなっている
□ぐったりとした様子が見られる
□お腹が張っている
□痛みが急激に悪化してくる
お腹を押さえると痛みが増し、痛みが徐々に強くなっているときも危険です。このような症状の場合、虫垂炎、腸閉塞などが疑われます。
まとめ
子供の腹痛の原因にはさまざまなものがあります。病院へ行く必要のないものや、早急に病院で処置しなければいけないものがあるので、どのような症状に注意が必要なのかを知っておくと安心です。
また、腹痛は精神的なことが原因で起こることもあります。悩みなどを直接言えない子供もいるので、腹痛をきっかけに話をよく聞いてあげることも大切です。
執筆者:なごみクリニック 武井智昭 先生
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