成人のアトピー性皮膚炎の治療法!かゆみを改善するために

アトピー性皮膚炎_成人
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増田友美さん_写真

監修者

増田友美 さん

エポカル保健室
ヘルスサポートアドバイザー

看護師として病棟勤務、養護教諭として高校保健室での勤務経験がある。
子供のための紫外線対策協会会員でもある。

知られているようで実は意外とその「本当の姿」をとらえることのできないのが「アトピー性皮膚炎」です。

特に、思春期以降に突然あらわれる「大人になってからのアトピー性皮膚炎」は治療過程が長く、そして深くなることもあり、心が折れてしまいそうな“アトピーの闇”を歩き続けている人もいることでしょう。

思春期以降のアトピー性皮膚炎は、本人だけでなく家族など各々の人生の質まで左右するほどのものもあり、社会的疾患ともいえるものだと思います。

人生はアトピー性皮膚炎が主役ではないですよね?

アトピー性皮膚炎になるケース

アトピー性皮膚炎は、なんとなくかゆくて気になり、家にある軟膏を塗っていた…。それがだんだんと広がっていき、どうにも手を出せなくなって受診する。そんな始まりが多いといいます。

子どもに多いとされてきたアトピー性皮膚炎ですが、最近では「成人」になってからの症状の悪化や、成人の発症が注目されています。成人期での発症については、大きく分けて2つです。

・思春期以降で発症するケース

・アトピー素因(もともとアレルギー症状を起こしやすい体質)の子どもが、幼い頃に肌ケアの適切な対応(保湿、清潔、軟膏治療など)がなされず、大きくなってからも症状を引きずる(もしくは再燃する、だんだんひどくなる)ケース

成人期で悪化し発症するケースについて

もともとアレルギー体質であったにしても、発症する何かきっかけのあることがあります。それは、受験・入社・転職・結婚・離婚などといった人生の転機といえるきっかけと重なることが多いようです。

成人のアトピー性皮膚炎の診断

アトピー性皮膚炎は、長年「アレルギー疾患」と考えられてきました。そのため、かゆみを伴う肌荒れ=アトピー性皮膚炎と自己判断している方も多いと思います。最近では、アトピー性皮膚炎の患者さんの特徴として、「皮膚の水分バリアが生まれつき弱い(※1)」「IgE抗体(※2)を作りやすい体質」が多いことがわかってきました。

アトピー性皮膚炎はアレルギーの病気ではなく、皮膚のバリア機能(チリやホコリといった外からの刺激から皮膚を守る機能)が弱いことによっておこる病気ということになります。自分の症状がアトピー性皮膚炎なのかどうかを調べるには、専門の皮膚科医の受診で問診、視診、血液検査を受けることが大切です。

※1 皮膚のバリア機能(ほこり、塵、花粉、紫外線など外からの刺激から体を守る皮膚の機能)を保つのに大切なフィラグリンというたんぱく質を作る遺伝子に何らかの異常がある。

※2 アレルギー反応を引き起こすもの

アトピー性皮膚炎のかゆみと処方薬

アトピー性皮膚炎の苦しみといえるのは、“かゆみ”です。「ものすごいかゆみ」から、いつもなんとなく「かゆい」…。いつまでも襲ってくるかゆみを、みなさんはどれだけ我慢できますか?

私は、ひふのクリニック人形町で隔月に行われている『アトピーカフェ』という会にたびたび参加しています。クリニックの院長である上出良一先生と、アトピー性皮膚炎の方たちが各々の話をもとに情報交換をしたり、疑問点を先生に質問したりする会ですが、こちらの会でも必ず話題に出るのが「かゆみ」です。

上出先生は、アトピー性皮膚炎によるかゆみを「こすらざるを得ないかゆみ」というように表現しています。「かゆみ」というものは、実はときに気持ちをも蝕むほどのものであり、アトピー性皮膚炎の方を理解するためには、何より「かゆみ」の理解が大切だということがわかります。

アトピー性皮膚炎のかゆみに抗ヒスタミン薬は適さない

“かゆみ”というとよく出されるお薬は、抗ヒスタミン薬です。じんましんによるかゆみがあるときに処方されます。

アトピー性皮膚炎でも、皮膚のバリア機能が低下し、皮膚から何らかのアレルギーの原因となるものが入り込んだ場合のかゆみ(アレルギー反応によるかゆみ)には効果があるでしょう。

しかし、アトピー性皮膚炎特有のかゆみは、かゆみの原因となるものが抗ヒスタミンの作用する部分ではないのです。

症状の客観的評価

治療の道のりを進んでいく過程では、皮膚の状態の客観的評価が必要です。

[目で見える症状]
皮膚の状態(乾いた皮膚か、ジュクジュクした皮膚か、かゆみの程度など)

[検査データで知る状態]
血液検査(IgE抗体検査、パッチテスト、 TARC-タルク)]

[心の状況]
生活環境の変化やストレス

たとえば調子の悪いときは、薬の効きが悪いのではないか、 薬が効かなくなってきてしまったのではないかと、思いがちです。

そんな時に、考えてみてください。

塗っている量は本当に適切ですか? 環境の変化はありませんか? 季節はどうですか? 衣類の調整はどうですか?…

ご自身のとらわれから一歩下がって眺めてみると、いろいろなことが見えてくるはずです。とはいえ、自分のことはなかなか見えないものです。信頼している先生に相談することも大切です。

心身医学の枠組みで考える治療法

アウトサイドアピール ※技術的治療

① スキンケア →☆正しいスキンケアとは
・・正しいスキンケアで、皮膚の状態を良好に保つ
② 外用薬-スキンケア
・・外用薬で炎症を抑え、肌の状態が整ったらスキンケアで維持
③ 外用薬、内服薬、スキンケア-外用薬、スキンケア
・・外用薬と内服薬で炎症を抑え、急性症状が治まったあとも外用薬とスキンケア
で状態を維持
③アレルゲンなど、皮膚の状態を悪化させるような原因への対応
(アレルゲンはダニやほこり、衣類の繊維や化粧品などさまざまです)
④ 入院治療

インサイドアピール ※心的アプローチ

① 生活環境を知る(受験、就職、転職、失恋、結婚、離婚、死別など)
② こころの状況に目を向ける(カウンセリングや患者の会など、広い視野で状況を見る機会になるような会に参加してみる)
③ 入院治療

前述の上出先生いわく、「皮膚は目や耳と同じ感覚器。感覚が脳に直結するので、症状にはストレスが関係してきます。アトピー性皮膚炎は、心身医学の枠組みでとらえることが大切」と語っていました。

正しいスキンケアと注意点

スキンケアの基本は、清潔さと保湿です。かといって、洗いすぎは禁物です。たくさんの泡でこすらないように、泡で汚れを落とすイメージが適正です。

刺激の少ないものであれば、市販品を使用して問題ありません。冬は乳液系のもの、夏はさっぱりしたもの、というように使い分けるとよいでしょう。

1日2回の保湿を続けることです。保湿のしすぎに気をつけましょう。保湿剤をつけすぎますと、毛細血管が開き「酒(しゅ)さ(赤ら顔)」の原因になってしまいます。大切なのは、「良い加減」を続けることです。

 

シーンに応じた適切な紫外線対策をしましょう。日焼けは皮膚の炎症につながります。

 

監修協力:ひふのクリニック 人形町 上出良一 先生

【参考】
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf
ひふのクリニック 人形町
https://atopy.com/
特定非営利活動法人 日本アトピー協会
http://www.nihonatopy.join-us.jp/padyna/index.html
公益社団法人 日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/index.html

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