魚の美味しい冬の時期は“寄生虫”に注意!?「アニサキス症」の 正しい対処法を医師に聞いた

アニサキス 予防
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冬の寒い時期は魚に脂がのって身が引き締まるため、とても美味しくなります。寒タラや寒サバなど、「寒」の名前が付けられる魚はたくさんありますが、特に富山県氷見産の寒ブリが有名で、刺身などが美味しいといわれています。

日本人の多くが魚を好んで食べていますが、生の魚には「アニサキス」という寄生虫が入り込む恐れがあるのをご存知でしょうか?

もしも、アニサキスが寄生した魚のお刺身やお寿司などを食べてしまうと、激しい腹痛を起こしてしまいます。

この「アニサキス症」の症状や予防法・対処法について、久野銀座クリニックの岡村信良先生にお聞きしました。

目次

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アニサキス症とは?

アニサキスとは寄生虫の一種で、イカやサンマなどの魚介類に寄生する虫です。体長は2~3cmくらいで、幅は0.5mm~1mmほどの大きさです。

海に存在する寄生虫が、実際にどうやって人間に感染し、どのような症状が表れるのでしょうか。

アニサキスが発症する過程

まずは、アニサキス症を発症してしまうまでの過程を岡村先生に説明してもらいました。

「アニサキスは、主にクジラやイルカの胃や腸に寄生します。そして、そこで産卵された卵をオキアミなどのプランクトンが食べ、オキアミを餌とする魚介類にアニサキスが寄生し、それを食べた人間に発症します」

人間に発症する主な原因は、刺身や寿司などの生の状態で魚介類を食べることにあります。通常アニサキスは内臓に住んでいますが、魚が死ぬと筋肉(人間が食す身の部分)に移動します。

最初はクジラやイルカにいた寄生虫が、さまざまな過程を経て人間の胃にまでたどり着きます。

アニサキス症はどんな症状?

アニサキス症には、「急性胃アニサキス症」と「急性腸アニサキス症」があります。そして、症状の割合としては、急性胃アニサキス症が圧倒的に多いようです。

岡村先生は、どちらの症状だとしても「アニサキスが胃などに食いつくと激しい腹痛・嘔吐症状が表れます」と説明します。

夏と冬だとどちらが発症しやすい?

アニサキス症は食中毒の一種です。

食中毒と聞くと梅雨から夏場にかけて発症するイメージを持つ方が多いと思いますが、岡村先生は「アニサキスは季節に関係なく注意が必要です」と話します。

ただ、魚の美味しくなる冬の時季は、お店や家庭で魚を食べる機会が多くなるかと思いますので注意が必要です。

アニサキス症が増加している理由

ここ数年で、アニサキス症にかかる方が増えてきているようです。では、なぜ発症者が増加してきたのでしょうか?

岡村先生は次のように説明しています。

「医療の発達により、開腹なしで症状の有無を確認できるようになりました。発症者をカウントできるようになったことが増加した原因です」

つまり、増加した理由としては、診断が比較的しやすくなったことで、アニサキス症の発症者数を明確にできるようになったことが一因として挙げられます。

【参考】一般財団法人 東京顕微鏡院  アニサキスによる食中毒の増加

また、アニサキス症を診断する方法についても話してくれました。

「アニサキス症が疑われる場合は、症状に照らし合わせ、生の魚を食べた既往歴などから必要に応じて胃カメラの画像をチェックし判断します

アニサキスが寄生しやすい魚は?

通常アニサキスは魚の内臓に住んでいますが、それが筋肉(人間が食べる身の部分)に寄生してしまう可能性があります。

では、アニサキスはどんな種類の魚に寄生しているのでしょうか?

岡村先生は「サバ、イカ、さんまをはじめ、アジやカツオなどの魚介類です。すべてではありませんが数多くの魚から検出されています」と説明してくれました。

魚を生の状態で食べると…

アニサキス症には気をつけなければいけませんが、魚を生で食べることで得られる健康効果についても忘れてはいけません。

青魚に含まれる「不飽和脂肪酸」と呼ばれるDHAやEPAには、コレステロールや中性脂肪を減らす効果が期待できます。

しかし、岡村先生によると「DHAやEPA(ともに脂肪酸の一種)といった栄養素は熱によって失いやすい」そうで、お魚は生で食べることで、効果をより発揮できるそうです。

「生の状態であれば、DHAやEPA以外にもさまざまな栄養素を失うことなく摂取することができます。また、カロリーを抑えて食べられるというメリットもあります」

正しい予防法について

アニサキスは70℃以上で1分以上加熱するか、-20℃以上で24時間以上冷凍すると死滅し、人体への影響はなくなります。

では、お魚を生で食べる場合、アニサキス症を正しく予防するにはどんな方法があるのでしょうか。

ここでは、アニサキス症の予防法について岡村先生に解説してもらいました。

食べる前にできる予防法

まずは、消費者側である私たちがアニサキス症を予防するためにできることについて、次のように話します。

「新鮮な魚を選ぶ、内臓は早めに取り除く、内臓を食べない、細かく切る、刺身は目視で確認して口に入れるなどの予防をすることができます」

アニサキス以外の寄生虫

また、アニサキス以外にも、筋肉(人間が食する身の部分)に寄生虫がいるのかどうかについても岡村先生にお聞きしました。

「特にヒラメに多いのが『クドア・セプテンプンクタータ』という胞子の寄生虫です。症状は軽症の場合が多いですが、嘔吐や下痢を引き起こします」

他も含めて寄生虫は複数の種類がいますが、全体的には人体に害を与えるものは少ないようです。

アニサキス症の治療法

もしもアニサキス症になってしまった際の治療法についても、岡村先生が説明してくれました。

「胃の場合、胃内視鏡で確認後、鉗子(手術用のはさみ)で取り除かれます。腸の場合、対症療法・外科処置を行います。通常は、人の体内では生きられないので、数日で症状はおさまります」

腸の場合は手術が行われることもあるようですが、アニサキスは人の体内では生きられないため、重度な症状にはならないようです。

まとめ

アニサキス症は近年発症数が増えています。それは、医療の発達によって発症数のカウントが増えたばかりでなく、正しい予防法を行っていないことにも原因があるようです。

アニサキス症について正しい知識と予防策を身につけることが大切です。体調に異変を感じたら早めに受診するようにしましょう。

 

取材協力:久野銀座クリニック 岡村信良 先生

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