
1999年 日本医科大学産婦人科教室入局
日本医科大学付属病院
産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院
(現 横須賀市立うわまち病院)
産婦人科
2002年 東京都保健医療公社
東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院
女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院
女性診療科・産科 助手
現在は石野医院の副院長
専門は漢方(東洋医学)、産婦人科
患者さん一人ひとりに合った薬を作るため、自由にさじ加減ができる煎じ薬を第一と考える。
診療では一人ひとり丁寧に症状の診断を行い、情報の発信を行う。
部活などでスポーツに打ち込む女の子のお母さんは、お子さんのスポーツへの熱中ぶりに注意を払う必要があるかもしれません。
激しいスポーツやそれに伴う過度な減量が、無月経の原因となり、女性アスリートの身体に負担をかけているようです。特に成長期の10代の女子選手にとって、その問題は深刻です。
2018年12月22日に日本産婦人科学会や日本スポーツ協会などが主催するシンポジウム「思春期の運動性無月経を考える~正しい知識で未来を創る~」が都内で開催されました。
今回は思春期の女子選手の無月経について「医療法人社団 石野医院」の石野博嗣先生に、その理由や受診のタイミング、婦人科での診察についてお話を伺いました。
激しいスポーツや減量で無月経になる理由
激しいスポーツや過度な減量が無月経につながる理由について、石野先生はこう説明しています。
「激しいスポーツや過度な減量により体重や体脂肪の減少やエネルギー不足が続くと、脳からの女性ホルモンの分泌が低下し、排卵がなくなり無月経になります」
では、思春期の女子選手がどのくらいの期間、無月経の状態が続くと危険なのでしょうか? その場合の受診のタイミングもお聞きしました。
「無月経は3ヶ月以上放置しないことが大切です。妊娠以外で定期的に来ていた生理が遅れている場合は、早めに受診しましょう」
受診の際には、婦人科や産婦人科を受診すると良いそうです。
思春期に無月経が続くことのリスク
思春期に無月経が続くことで、骨密度の低下や摂食障害、疲労骨折を起こしやすくなるそうですが、その他にはどのようなリスクがあるのでしょうか?
「無月経期間があったことで、将来不妊に悩まされることがあります。思春期の激しいスポーツや、体重が軽いことが有利になるスポーツのための無理なダイエットは、行き過ぎると女性にとって、長期間にわたる大きなダメージになることがあるので注意が必要です」(石野先生)
初潮前からスポーツをやっていて生理が来ない場合
では、初潮前からスポーツをやっていて生理が来ない場合、何歳くらいを目安に受診をすると良いのでしょうか?
「日本では、初潮の平均年齢は12歳です。14歳で98%の人で月経が始まります。原発性の無月経※やその他の疾病などの可能性もあるので、15歳までに初潮が来ない場合は受診をおすすめします」(石野先生)
※18歳を過ぎても初潮が来ないこと
女の子が10歳前後になったあたりから、親御さんは初潮を迎える準備が必要ですね。もしなかなか初潮が来ない場合には、15歳を目安に受診をした方が良さそうです。
思春期の婦人科受診について
思春期の子どもを婦人科へ連れて行くのは、親として心配な面もあります。診察はどのように行われるのでしょうか? また、内診が必要なのかについて石野先生はこう答えてくれました。
「問診、内診、超音波検査などが必要となります。しかし、思春期で内診が難しい場合は、腹部の超音波検査だけで診察をすることがあります。
どうしても必要な場合は、よくご説明した上で外陰部の内診をすることがあります。女性の将来へ影響することですので、医師とよく話し合って診察を受けましょう」
本来なら、スポーツは心身にとって良い影響をおよぼすものです。
ところが、激しいスポーツやそれに伴う過度な減量は女子選手の身体に負担が大きく、生理が止まってしまいます。
特に思春期の女子選手が無月経になってしまうことは、将来不妊症になるリスクもあるので、親御さんはお子さんの生理の状況に注意しましょう。
選手自身はもちろんのこと、彼女たちをサポートする指導者や親御さんも、ストイックになり過ぎないことが大切なのではないでしょうか?
取材協力:医療法人社団 石野医院 石野博嗣先生
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