
1993年 私立駒場東邦高等学校卒業
1999年 慶応義塾大学医学部卒業
1999年 慶応義塾大学医学部皮膚科入局 静岡市立清水病院、慶應義塾大学病院助手 三井タワークリニック さくら皮膚科スキンケアクリニック(調布市仙川)院長
2010年 成城スキンケアクリニック開院
2015年 独立行政法人成育医療センターにて、乳幼児のレーザー治療(全身麻酔)を担当
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
質の高い医療を目指し、患者さん一人ひとりに合った治療法を提供。
夜間や日曜日の診療、日帰り手術を行うことで、患者さんに寄り添った診療を心がけている。
髪の毛が突然抜け落ちると、驚きますよね。
『円形脱毛症』は、年齢や性別に関係なく、誰にでも起こりうる病気です。その原因として『ストレス』が有名ですが、他にもさまざまな原因があります。
こちらの記事では、円形脱毛症になる原因や、治療法、病院に行くべき症状について解説しています。
円形脱毛症にかかるメカニズムと症状
1.どんな病気?
『円形脱毛症』は、髪の毛が突然抜け落ちる病気です。
髪の毛には生え変わりのサイクルがあるので、1日に100本前後抜けるのは自然なことです。しかし、それ以上抜ける場合は円形脱毛症の可能性があります。
痛みを感じないため、自分では気づかず、人に指摘されて病気に気がつくケースもあります。
2.円形脱毛症が起こるメカニズム
円形脱毛症は免疫機能によって引き起こされる
円形脱毛症は、免疫が起こす病気である、『自己免疫性疾患』のひとつです。
『免疫』は、身体に侵入した異物や細菌、ウイルスなどを排除するしくみです。私たちがもともと持っている大切な機能ですが、これが間違って自分の身体に攻撃をしかけてしまうことがあります。
免疫が毛根を異物と間違えて攻撃し、髪が抜ける
円形脱毛症の場合では、毛根を異物と間違えて攻撃します。それによって、髪の毛の成長を妨げ、髪が抜け落ちてしまいます。
3.症状
円形脱毛症には、いろいろな症状があります。
単発性円形脱毛症
円形脱毛症の中で最も多い症状です。脱毛による小さな円形が1つできます。
多発性円形脱毛症
脱毛による円形の数がどんどん増えていく症状です。髪の毛に限らず、眉毛やまつ毛、ひげ、その他の体毛なども抜けることがあります。
汎発性(はんぱつせい)円形脱毛症
難治性で、脱毛の範囲が全身にわたります。眉毛やまつ毛、陰毛など、あらゆる毛が抜けます。
全頭(ぜんとう)脱毛症
脱毛の範囲が円形から頭全体に広がります。髪の毛のみが全部抜けてしまう症状です。
蛇行性(だこうせい)脱毛症
脱毛の範囲が、後頭部や側頭部に広がります。生え際に沿って髪の毛が抜ける症状です。
円形脱毛症の5つの原因
1.アレルギー
『アレルギー性疾患』(アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、アトピー性気管支炎など)をもっていると、円形脱毛症を引き起こすことがあります。
また、本人にアレルギー性疾患がなくても、家族がアレルギー性疾患をもっていれば、同様の症状が起こる可能性があります。
2.ホルモン異常
他の自己免疫性疾患である、『甲状腺疾患』(橋本病など)や『関節リウマチ』などが円形脱毛症を引き起こすことがあります。
3.ストレス
ストレスも円形脱毛症の原因になります。
精神的なストレスを受けると、身体の中では交感神経が活発に働き、ストレスと闘う準備をします。
しかし、長期間もしくは強いストレスを受けると、この働きが異常をきたします。頭部の血流が悪くなり、毛根へのうまく栄養補給できなくなることで、円形脱毛症を発症します。
4.髪の毛のあつかい・たばこなど
髪の毛を洗うときに、強く洗いすぎたり、シャンプーがすすぎきれてなかったりすると、これも抜け毛の原因になります。また、パーマ・カラーによる刺激やドライヤーの熱風、たばこも、脱毛へとつながります。
5.出産後のホルモンの影響
女性は出産後、髪の毛が多く抜けることがあります。
これはホルモンの影響で起こり、一時的なものであることがほとんどです。
円形脱毛症になったときの対処法・何科へ行くべき?
1.脱毛の範囲がせまければ、様子をみるのも手
単発性の円形脱毛症で、脱毛の範囲がせまい場合は、自然に治ることも多いです。生活習慣やストレスなどに気を配りながら、様子をみてもよいでしょう。
また、多発性の円形脱毛症であっても、1つずつの脱毛の範囲がせまく、脱毛がみられる場所も少ない場合は、比較的治りがよいといわれています。ストレスなど、原因が解消されることで、自然に治ることもあります。
2.気になる症状があれば皮膚科を受診!
『なかなか治らない』、『脱毛の範囲が広がっている』などの症状があれば、早めに皮膚科を受診しましょう。脱毛症には治りやすいものとそうでないものがあります。
単発性円形脱毛症の多くは短期間(半年以内)に治りますが、範囲が広くなると、2年以上時間がかかる場合もあります。
早めに治療をスタートするためにも、気になる症状があれば医師の診察を受けましょう。
円形脱毛症の治療
1.主に薬剤の外用療法を行う
治療は、薬剤の外用療法が主になります。
炎症や免疫機能を抑える効果がある『ステロイド剤』や、血管を拡張する効果のある薬を頭皮にすりこみます。また、アレルギーを抑える効果のある『抗ヒスタミン剤』や、『グリチルチリン製剤』などの内服薬を、加えて処方されることもあります。
2.ステロイドの内服薬の使用は、医師と相談
ステロイドには内服薬もあります。
ステロイドの内服薬は、外用薬で効果があまりみられない場合や、症状が急激に広がる場合に用いられます。効果は強力ですが、その分副作用も多いです。副作用としては、感染症や高血糖になりやすくなる、脂肪を蓄積しやすい、骨がもろくなることなどがあらわれる可能性があります。使用前に専門の医師とよく相談しましょう。
3.治療を受けるさいに注意すること
先に解説したもの以外にも、治療の選択肢は複数あります。
症状や年齢、進行具合によっても、選択する治療法は変わってきます。担当の医師と話し合いましょう。そのときにステロイドの副作用を考慮して、妊娠の有無や将来の妊娠希望などの要望を伝えることも大切です。
おわりに
円形脱毛症の予防や改善には、生活習慣の見直しが不可欠です。
たばこや急なダイエットは避け、バランスの良い食事を!
たばこは血流を悪くするため、禁煙するとよいですね。
また、急激なダイエットは、栄養不足を引き起こし、髪の毛に栄養分がいかなくなるため避けましょう。普段からバランスの良い食事を心がけてください。中でも、皮膚や粘膜を正常に保つ『ビタミンA』や『ビタミンB群』を多く含む食品がおすすめです。ビタミンAを多く含む食品はレバーや緑黄色野菜、みかんなどです。ビタミンBを多く含む食品は、肉などの動物性食品や納豆、アボカドが挙げられます。
生活習慣を見直し、ストレスにも強い身体をつくる
バランスの良い食事や、早寝早起きなどの規則正しい生活習慣は、ストレスに強い身体をつくることもできます。普段の生活習慣を、いま一度見直しましょう。
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