すぐに治療が必要!「急性動脈閉塞症」とは?原因や後遺症について

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岡村長門先生

監修者

岡村クリニック

院長:岡村長門 先生

【職務経歴】
戸田中央総合病院
埼玉医科大学
公立昭和病院
岡村医院
岡村クリニック

『急性動脈閉塞症』は、命に危険が及ぶこともある病気です。

私たちの体には『動脈』と『静脈』という2つの血管があります。動脈は、酸素や栄養分が入った血液を心臓から体の各臓器に運ぶ、重要な役割を担っています。

そのため、動脈に障害があると臓器へ血液をスムーズに送ることができず、さまざまな障害を起こしてしまいます。

こちらの記事では、そんな病気のひとつ、急性動脈閉塞症の症状や治療法について解説します。

急性動脈閉塞症について

1.急性動脈閉塞症ってどんな病気?

急性動脈閉塞症

『急性動脈閉塞症』は、名前の通り、何らかの原因によって動脈が突然詰まる病気です。動脈には血液を送る働きがあります。動脈が詰まると、その先の組織に血液を送ることができなくなります。

急性動脈閉塞症は、動脈が閉塞するしくみによって、『塞栓(そくせん)症』と『血栓症』の2つに分類されます。

動脈塞栓症

心臓内の血栓や、動脈瘤内の凝固した小さな血液の塊などが流出して、下肢や上肢の動脈を閉塞します。

突然発症するのが特徴です。

動脈血栓症

『動脈硬化』や『動脈炎』、外からの圧迫などによって血液の流れが低下し、その場で血液の凝固が進みます。凝固した血液が血栓となり動脈を閉鎖します。

動脈血栓症も突然発症しますが、動脈塞栓症に比べて、動脈が細くなるまでにやや時間があります。

2.動脈塞栓症の原因

塞栓症の原因の9割は、もともと体内にあった血栓(血液のかたまり)が動脈に詰まることです。

上肢急性閉塞症の原因

上肢閉塞症は、いわゆる不整脈の1つである『心房細動』や、心臓にいく血液が少なくなる『虚血性心疾患』、心臓の弁の働きが悪くなる『僧帽(そうぼう)弁膜症』など、心疾患の影響で起こることが多いです。中でも特に多いのが、心房細動です。

下肢急性閉塞症の原因

下肢閉塞症の原因となるのも、同じく心疾患の血栓です。

他には下肢の動脈硬化や外からの圧迫による動脈の閉塞も、下肢急性動脈閉塞症の原因になります。

3.動脈血栓症の原因

血栓症は、手足に動脈硬化が起こる『閉塞性動脈硬化症』や難病指定されている『バージャー病』などが原因で起こります。

急性動脈閉塞症の症状

1.動脈が閉塞されている部位に起こる症状

急性動脈閉塞症

感覚障害や運動障害のある場合はすぐに病院へ!

急性動脈閉塞症は、全身どこの動脈でも起こる可能性があります。詰まった動脈の場所によって、症状が異なります。主に次の症状が、動脈の閉塞している部位にあらわれます。

・突然の急激な痛み
・脈の消失
・蒼白
・知覚麻痺
・運動麻痺
・脱力感

特に、感覚障害や運動障害が出ている場合はいち早く治療する必要があります

8割が下肢に発生!酸素不足、栄養不足になるとどうなる?

約8割以上が下肢(腹部大動脈分岐以下)に発生し、上肢は約1~2割です。

下肢が酸素不足・栄養不足になると、『痛み』や『しびれ』を感じることが多いです。麻痺したり、歩きにくくなったりと、感覚や運動機能に障害が出ます。

血液には体温を保つ働き、血色を整える働きもあるので、血液が届かないことで閉塞した先の部分が冷たくなり、肌の色も青白っぽく見えます

血流が徐々に低下する場合の症状

ごく初期の症状として、血流が半分くらいに低下するときは、歩く、坂を上るなど足に負担がかかった時に症状が出ます。

さらに血流の低下が進行すると、少し歩いただけや、ひいては安静にしていても痛みや異変が生じます。

2.二度と元の状態に戻らない…壊死することも

急性動脈閉塞症

急性動脈閉塞によって、動脈の閉塞が続くと、栄養分が届かず、その先の細胞が死んでしまいます。その状態が『壊死』です。それをさらに放置すると、細胞が腐り、『壊疽(えそ)』という状態になります。

いちど壊死や壊疽の状態になった細胞は、二度と元の状態に戻りません。また、重症になればなるほど、生存率も30%前後と低くなってしまいます。

3.その他の障害が残るリスク

動脈が閉塞している時間が長いと、その分障害の残るリスクが高まります。

滞っていた血流が急に回復すると、壊死組織から発生する毒素成分が全身にダメージを起こします。『腎不全』や『呼吸不全』、『循環不全』などの障害を起こし、場合によっては死に至る危険性もあります。

急性動脈閉塞症の治療と予防法

1.血流が閉塞してから治療までのタイムリミット

急性動脈閉塞症

全身の状態や、閉塞している箇所の状態の程度によって、治療の優先順位が変わってきます。

足に血液が行きわたらなくなってから、一般的に、神経は4~6時間、筋肉は6~8時間、皮膚は8~12時間が経つと、元の状態に戻らなくなってしまいます。

また、24時間以上が経つと、約20%は切断を余儀なくされます。

2.薬物療法(血栓溶解療法 )

急性動脈閉塞症

薬物療法は、急性動脈閉塞症の再発を防止するために行います。

血栓をできにくくする薬『ワーファリン』

通常は『ワーファリン』という、血栓をできにくくする薬を内服します。

ワーファリンは、血液が固まるときに必要な『ビタミンK』 の働きを妨げ、血液を固まりにくくする薬です。

そのため、ワーファリンの服用中は、ビタミンKの摂取を極力避けましょう。『クロレラ』や『クロロフィル』などのサプリメントや、納豆、ほうれん草などの食品は、ビタミンKが多く含まれるため口にしないようにしてください。

血栓を溶かす薬『ウロキナーゼ』や『ヘパリン』

同時に、即効性のある『ウロキナーゼ』や『ヘパリン』などの血栓を溶かす薬を静脈に点滴することもあります。

点滴治療は軽症であれば有効ですが、緊急の場合にはあまり行われません。

3.外科療法(血管内治療)

急性動脈閉塞症

塞栓症と血栓症それぞれについて解説します。

動脈塞栓症

動脈塞栓症の治療では、早急に血液を流す必要があります。

そのためバルーンカテーテルを用いて、血栓塞栓除去を行います。これは、中枢側や末梢側の動脈に細い管を入れて、詰まったものがなくなるまで繰り返し除去を行う治療法です。

動脈血栓症

動脈血栓症の場合は、同時に動脈硬化もみられるため、血栓の除去だけでは不十分です。『内膜摘除』や、バイパスによる『血行再建術』などの手術を考慮する必要があります。

血行再建術には、おもに2つの方法があります。1つ目は、厚くなった『血栓内膜』を切除する方法です。2つ目は、首や頭蓋骨の中で、狭くなったり閉塞したりした動脈へバイパスを作成する手術です。

血行再建術を実施しても、末梢の動脈の拍動や、皮膚の温度、色調が改善されないときは、手や足を切断することもあります。

4.生活習慣の見直しが大切!急性動脈閉塞症の予防

急性動脈閉塞症は血栓によって発生することが多いです。

そのため、普段から血栓ができないようにすることが、急性動脈閉塞症の予防につながります。次のような習慣は、血栓ができやすくなるので避けましょう。

暴飲暴食

太りすぎ

締め付けの強い洋服の着用

運動不足

適正体重を保ち、食物繊維の多い食事や、こまめに水分をとるなど、食生活にも気を配りましょう。また、運動する習慣をつけたり、身体をしめつけないようにしたりといった点にも注意する必要があります。

まとめ

早期発見・早期治療が不可欠!

急性動脈閉塞症は、血の止まっている部位を元の状態に戻す確率を高めるために、『早期発見・早期治療』が不可欠です。

一度壊死してしまうと、細胞が元に戻ることはありません。急に手足が冷たくなった、痛みが生じた、などの異変があれば、早めに医療機関へ行ってください。

医師から薬を処方されているかたは、定期的に受診し、きちんと指示にしたがいましょう。

また、不整脈が持病としてある、心疾患の不安がある、過去に急性動脈閉塞症を発症した経験があるかたは、定期的に医療機関で検査を受けることも再発防止につながります。

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