医師が教える!百日咳の症状と、大人から子供への感染を防ぐ方法とは?

百日咳
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監修:久保明医師

ヒューヒューという呼吸音を伴う激しい咳が、数週間続く百日咳。2008年春は過去10年間ではもっとも早いペースで患者数が増加し、一部地域では警報レベルの報告件数に達しました。百日咳は子どもがかかる病気と考えられがちですが、ここ数年は大人の患者の増加が目立っています。

症状は3段階で進行

百日咳は、百日咳菌によって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。麻疹(ましん=はしかのこと)並みの強い感染力を持ち、患者との接触のほか、咳などとともに空気中に放出された百日咳菌が喉や鼻から入ることでも感染します(=飛沫感染)。感染してから症状が出るまでの潜伏期間は7日~10日。

症状は、風邪のような軽い症状から始まり、激しい咳が数週間続いた後、回復に向かうという3段階で進行します。

【 カタル期 (初期:約2週間) 】

鼻水、軽い咳などの風邪に似た症状から始まり、だんだん咳が激しくなっていきます。

【 痙咳期 (重症期:約2~3週間) 】

コンコンという短い咳が5~10回続いた後、ヒューという音を立てながら息を吸い込む咳発作を繰り返すようになります。咳発作の後には粘り気のある痰が出ます。発熱はあっても微熱程度で高熱を出すことはまれです。

【 回復期 】

激しい咳発作は2~3週間でおさまりますが、その後も時々発作性の咳が出ることがあります。

発症から回復までの全過程には約2~3か月という長い時間がかかります。これが百日咳と呼ばれる理由でもあります。

6か月未満の乳幼児では脳症を併発することも

百日咳は2歳未満の子ども、とくに6か月未満の乳幼児では重症化する危険性が高く、注意が必要です。6か月未満の乳幼児は息を吸う力が弱いこともあり、百日咳特有の咳がなく、一時的な呼吸停止(無呼吸発作)、チアノーゼ(呼吸ができないために血液中の酸素量が低下し、顔や唇が青紫色になること)、嘔吐、けいれんなどを突然起こすことがあります。

また脳症を併発すると、てんかん、手足のまひ、目や耳の障害などの後遺症が残ることや、最悪の場合は死に至ることもあります(6カ月未満の乳幼児の死亡率は0.6%)。

増加する大人の患者 全患者の3割に

乳幼児の患者数は、ワクチンが普及したこともあって近年は大きく増加することもなく落ち着いています。これに代わって急増しているのが、大人の感染です。大人の患者が目立ち始めたのは2002年頃から。2007年には大人の患者数が全患者の31%を占めるまで伸び、感染者が200人を超えるような集団感染も発生しました。

国の百日咳に関する調査事業はあくまで小児を対象にしたものですから、実際はもっと多くの大人の患者がいるものと思われます。

百日咳ワクチンの効果が持続するのは5~10年程度で、大人が感染するのは子どもの時に受けたワクチンの効果が薄れたためと考えられています。やっかいなのは大人はさほど重症化することもなく、長く咳が続く程度で回復してしまう点です。

2週間以上咳が続いている人の約2割が実は百日咳患者だったというデータもあります。このため自分では気付かずに周囲に百日咳菌をまき散らす「感染源」になっていることも少なくないのです。家族などに百日咳ワクチンを打ったことがない6か月未満の乳幼児がいたとしたら、ひとたまりもありません。

長引く咳は百日咳を疑って

子どもの場合は百日咳ワクチンの接種で感染を予防することができます。日本では、百日咳・破傷風・ジフテリアが一緒になった三種混合ワクチン(DPT)の定期予防接種(市区町村が接種費用の全額または一部を負担)が実施されています。生後3か月から接種可能ですので、早めの接種をお勧めします。

大人の場合、何よりも重要なのが、重症化の危険性が高い乳幼児にうつさないことです。ですから咳が2週間以上続くような場合は、速やかに医療機関を受診して下さい。血液検査も診断に役立ちます。

百日咳にかかった場合は、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどの抗菌薬を投与しますが、これらは初期(カタル期)の段階から飲み始めた方が効果が高いといわれていますので、早めの受診は早期回復にもつながりますよ。

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