指定難病になっている免疫不全症候群とは?起こりうる症状と治療法を解説!

免疫不全症候群
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岡村 信良

監修

医療法人 小田原博信会 久野銀座クリニック

理事長: 岡村 信良 先生

医療法人 小田原博信会 久野銀座クリニック
医療法人 小田原博信会 小田原銀座クリニック
【職務経歴】
平塚共済病院
小田原銀座クリニック
久野銀座クリニック

免疫力』って聞いたことありますよね。私たちはもともと体に備わっている免疫力があるからこそ、風邪をひかなかったり、風邪をひいても数日で治ったり、感染症に対しての自然治癒力があります。

しかし、その治癒力が正常に働かないのが免疫不全症候群です。患者数としては多い病気ではありませんが、治療が難しい免疫不全症候群について解説します。

免疫不全症候群とは

私たちの体は生きていくために重要な役割をそれぞれの臓器、細胞が持っています。その役割の1つにウイルスや細菌などが入り込むと体から除去しようと、異物とくっついて破壊するための抗体を作る『免疫機能』があります。

免疫機能に関係しているのは、『B細胞(液性免疫の主役)』、『T細胞(細胞性免疫の主役)』、『白血球の中の好中球・マクロファージ』、『補体』の4つがメインとなっています。

しかし、この4つの機能が正常に働かなくなり、色々な異物が体を攻撃して感染症が起こってしまうのが、免疫不全症候群です。免疫不全症候群には、原発性(生まれつき)後天性の2種類があります。

1.原発性免疫不全症候群

免疫不全症候群

原発性免疫不全症候群は、長期間の治療が必要で、症例数が少なく治療法も確立されていない※“指定難病”に登録されている病気です。
遺伝的に生まれつき免疫機能に欠陥があり、感染症にかかりやすくなってしまう病気です。

※『指定難病』とは
原因がわからず、治療法が確立されていないため、長期療養が必要な難病を指します。患者さんに負担が大きいことから医療費助成を受けることができます。難病の中でも、国が指定した病気で、患者数が国の人口の0.1%以下という診断基準があります。

2.後天性免疫不全症候群

後天性免疫不全症候群

後天性免疫不全症候群(Acquired immune deficiency syndrome=AIDS)は、生まれたときは正常だった免疫機能が、様々な原因で低下してしまった病気です。

HIVウイルス感染のAIDS(エイズ)が有名ですが、低栄養、亜鉛欠乏症、たんぱく漏出症などの慢性代謝性疾患を発症することがあります。また、骨髄移植や免疫抑制剤の使用など、医療行為が原因で感染することがあります。ほかにも、がんなどの悪性腫瘍も原因となる可能性があります。

免疫不全症候群の症状

感染症になりやすい「易感染性」の状態となっているので、風邪などはもちろんのこと、中耳炎や気管支炎、肺炎、副鼻腔炎、尿路感染症、真菌症などの感染症にしょっちゅうかかる「反復感染」や、薬を使って十分治療をしているのにもかかわらず感染症が長引いてしまう「持続的感染」、細菌性髄膜炎や敗血症、化膿性関節、骨髄炎などの重い病気にかかる「重症感染」などが起こりやすくなります。

細胞性免疫が十分機能しない場合は間質性肺炎、麻疹、水痘などが重傷化しやすいです。さらには、「日和見感染」といって健康な人であれば何も起こらないウイルスや細菌にも感染し重症化したりしてしまいます。

細胞性免疫、液性免疫の療法に問題が起きると重症複合型免疫不全症となり、より症状が重くなります。特に、先天性免疫不全症候群の場合は小さいころから致命的な感染症にかかりやすくなります。

免疫不全症候群の検査と治療

免疫不全症候群

1.検査法

原発性免疫不全症は、※免疫血清学的検査で診断し、そのほかにも遺伝子検査や免疫検査もおこなって、原発性免疫不全症かどうかを調べていきます。

※『免疫血清学的検査』とは
細菌やウイルスが入り込んだ際に、抗体の有無や、またどのくらい作られたのかの量を調べる検査です

2.症状によって変わる治療法

症状によって、治療は大きく変わります。

軽症の場合

軽症では抗菌薬を飲んで感染症にかからないための予防をしたり、皮下組織か静脈に注射して※ヒト免疫グロブリンを増やす補充療法などで感染を予防したりして、通常の日常生活が送れるようにします。

※『免疫グロブリン』とは
血液や組織液の中に存在する免疫機能をつくる抗体の一つです。IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があります。

重症の場合

重症では※臍帯血骨髄にある血液のように高い造血能力を持つ※造血幹細胞の移植をおこなうこともありますが、うまく機能が働かないことも多くみられます。

※『臍帯血(さいたいけつ)』とは
お母さんと赤ちゃんを繋ぐへその緒や胎盤に含まれている血液で、体のあらゆる細胞のもとになる「幹細胞」を多く含んでいます。白血病や免疫機能の修復に役立つ可能性があるといわれています。

※『造血幹細胞』とは
血液の中にある白血球や赤血球、血小板などのもとになる細胞です。主に骨髄に存在します。

どの症状でも重要な治療

軽症であっても重症であっても、感染症が致命的になる場合があるので、その感染症や原因になっている微生物などの特定と診断、適切な抗菌剤などの処方は大切なポイントとなります。

さいごに

免疫不全症候群

症状を悪化させないために心がけること

免疫不全症候群は、易感染ということを忘れず、人混みや病院など細菌やウイルスが多い場所は避けるか、やむを得ずその場所に行くときはマスク手洗い・うがいなどで感染症の予防を心がけるようにしましょう。

カビ、菌などが少ないところで生活するなども重要です。食生活では、卵、魚、肉などの生ものは食中毒になるリスクが高まるので避けるようにします。

また、患者さんとその家族の協力もとても重要になってきます。稀な病気でもあるので、専門の医療機関で診てもらい主治医の指示のもと、治療をしていきましょう。

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