人には言いづらい痔の症状!医師が解説する、原因と正しい予防・治療法

痔
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監修:簡野晃次医師

痔は女性にも多い

痔は「男性の病気」というイメージがありますが、実は女性にも多いのです。以前は、恥ずかしさから診察を受けるのをためらう女性が少なくなかったのですが、最近では病院を訪れる女性が増え、患者数は男性とほぼ同じぐらいだといわれています。

また、痔は肛門周辺の血行の悪さと関係があるため、寒い時期に発病したり悪化したりする場合が多いのですが、冷房の効いた現代では夏に痔の悩みを抱える女性も増えています。そこで、痔の原因やセルフケアの方法などについてご紹介しましょう。

痔ってどんな病気?

痔とは、肛門周辺の病気の総称で、主なものは、「痔核」「れっ肛」「痔ろう」の3つです。「痔核」とはいわゆる「いぼ痔」で、日本人に最も多いのはこのタイプです。2番目に多いのはれっ肛、いわゆる「切れ痔」で、女性にも多く見られます。

最も患者数が少ない痔ろう(あな痔)は男性に多く、感染症の一種です。

患者の半数以上を占める痔核

痔核

肛門周辺の皮膚の下や肛門内の粘膜の下には、細い静脈が密集した静脈叢(じょうみゃくそう)があります。便秘で排便の時にいきんだり、長時間座りっぱなしだったり、腰を冷やしたりすると、静脈叢の血行が滞り、腫れてイボのようにふくらんでしまいます。この状態が痔核です。

妊娠中に胎児の重みで肛門が圧迫されたり、出産の時にいきんだりすることも痔核の原因になります。また、加齢やストレスなども関係するといわれています。

痔核には2種類あり、肛門の穴から約1.5cm内側にある肛門と直腸との境界部分、歯状線より内側にできるものを内痔核、外側にできるものを外痔核といい、痔核の大半は内痔核です。

内痔核はほとんど痛みがありませんが、症状が悪化すると粘膜が痔核に圧迫されて破れて出血したり、肛門から痔核が飛び出したりします(脱肛といいます)。また、外痔核は激しい痛みがありますが、出血は比較的少量の場合が多いです。

痛みと出血を伴うれっ肛

れっ肛

肛門の粘膜が切れたり、裂けたりして、排便時に激しく痛んだり、出血したりするのがれっ肛です。れっ肛の原因は、便秘による硬い便を無理に排泄しようとして、肛門の粘膜を傷つけてしまうことです。下痢をして肛門の粘膜が炎症を起こし、裂けてしまう場合もあります。

れっ肛は、痛みがつらいので排便を我慢してしまい、便秘がますますひどくなって、せっかく肛門の傷が治りかけても再び傷つけてしまうという悪循環が起こりがちです。何度も同じところが傷ついて傷口がだんだん深くなると、潰瘍ができたり、肛門が狭くなって排便しにくくなったりして手術が必要になることもあります。

膿の通り道ができる痔ろう

痔ろう

下痢をしたり、疲労やストレスなどによって免疫力が低下したりしている時などに、歯状線の奥にある肛門腺が大腸菌などに感染して炎症を起こすと、激しい痛みや高熱が出たり、肛門周辺に膿が溜まることを肛門周囲膿瘍といいます。

皮膚が破れて溜まった膿瘍が出ると痛みがやわらぎますが、慢性化すると肛門腺から皮膚の出口までトンネルができてしまいます。この状態が痔ろうです。痔ろうは痔核やれっ肛と違って薬だけでは治らず、手術が必要です。痔ろうを放置すると、ガンになることもあります。

痔を改善するには…

日常生活で気をつけること

痔を治すには食事や生活習慣の改善が重要で、これは予防にもつながります。痔核やれっ肛の場合、症状がそれほどひどくなければ、セルフケアと薬物療法でかなりよくなるでしょう。

便秘を解消

まず大切なのは、便秘を改善すること。ダイエットしてほとんど食べなかったり、食物繊維が不足したりすると便秘しやすくなります。食物繊維や水分をしっかりとり、排便の習慣をつけましょう。朝食抜きの人が多いようですが、朝食を食べると腸のぜん動運動が活発になるので、朝食を抜くのもやめた方がよいでしょう。

また、長時間排便の姿勢をとっていると、肛門が圧迫されてうっ血しやすくなるので、排便時間は3分程度に留めましょう。そういう意味でも便秘解消は大切です。

お尻はいつも清潔に

排便後にお尻をトイレットペーパーで拭いただけでは汚れが取りきれず、細菌感染しやすくなります。洗浄機能付きのトイレやシャワーなどを利用して、排便後は肛門をよく洗いましょう。

また、入浴すると肛門周辺の血液循環がよくなり、清潔を保つこともできるので、お風呂は毎日入るようにしましょう。

下痢を防ぐ

下痢をすると、肛門腺の細菌がついて痔ろうの原因になります。心身のストレスを解消し、アルコールや刺激の強い食べ物を摂りすぎないようにして、下痢をしないように気をつけましょう。

肛門周辺の血流をよくする

車の運転やデスクワークなどで長時間座りっぱなし、または立ちっぱなしだと、肛門周辺の血行が悪くなって痔を招きやすくなります。時々休憩して体を動かしたり、歩いたりしましょう。肛門周辺の血液循環が悪くなるという点では、腰やお尻を冷やすのもよくありません。

下着やひざかけなどを工夫して、冷やさないように注意しましょう。

外科・肛門科で行う治療

痔核やれっ肛の場合、症状に応じて、座薬や軟こう、鎮痛剤、抗炎症剤などの薬物療法を行います。また、食事の改善だけでは便秘改善できないときは整腸剤や緩下剤を服用します。

症状が重い場合や、再発を繰り返すような場合は、手術することもあります。特に、痔ろうの場合は症状が悪化しないうちに早めに手術します。痔ろうを放っておくと、痔ろうのトンネルが枝分かれして迷路のようになったり、ガンが発生したりする恐れがあるからです。

手術といっても、だいたい15分~1時間ぐらいと手軽にでき、ほぼ数日の入院でOKで、日帰り手術も可能です。

どのような治療を行うかは、自分の症状や生活環境などに応じて主治医とよく相談して決めましょう。妊娠中や授乳中の場合は、その旨医師に伝えれば、体に安全な薬を処方してくれるでしょう。

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