日本人の三大死因の1つ『心臓病』。症状、治療法を医師が解説

心臓病
  • LINEで送る

監修:簡野晃次医師

1.心臓病は日本人の三大死因の1つ

心臓のしくみと働き

心臓のしくみ

心臓は、血液を全身に送るためにポンプのように収縮と拡張を繰り返していて、心筋と呼ばれる筋肉でできています。心臓には右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋があり、全身を循環した血液は静脈から右心房に流れ込みます。

右心房から右心室、さらに肺へと送られた血液は、呼吸によって酸素を受け取り、左心房、左心室を経由して動脈から再び全身に血液が送られるのです。

主な心臓病

心臓がこのような働きをするために、心臓を冠のように取り巻き、心臓に酸素や栄養を送る働きをしている血管を冠状動脈(冠動脈)といいます。この冠動脈が、動脈硬化などによって狭くなり、心臓に血液が流れにくくなる病気を狭心症といいます。

狭心症

狭心症には労作性狭心症と安静狭心症とがあります。労作性狭心症は、体を動かしている時などにしめつけられるような胸の痛みや、息が詰まるように感じるなどの発作が起き、しばらく安静にしていると治まります。

労作時に心臓は多くの酸素を必要としますが、冠動脈の狭窄のために心臓への血流量が増えないことが発作の原因です。安静狭心症は、睡眠中や安静時などに胸痛が起こり、労作性狭心症よりも痛みが強く、長引きます。

発作の原因は、冠動脈の狭窄が進行しているか、冠動脈がれん縮(けいれん)して一時的に血流が止まることではないかといわれています。

また、狭心症よりさらに進んで冠動脈が詰まってしまい、心臓に血液が流れなくなって心臓の一部が壊死してしまう病気を心筋梗塞といいます。

心筋梗塞

心筋梗塞になると、突然の激しい胸の痛みや嘔吐などの発作が30分以上続き、生死に関わります。脳出血と並んで突然死が多い病気だといえます。不整脈や心不全の合併症も起きやすいため、心筋梗塞の発作が起きたらすぐに病院へ運び、治療することが大事です。

狭心症と心筋梗塞は、動脈硬化が大きな原因となるため、生活習慣病の一種です。これらの病気は心臓へ流れる血液が不足する、つまり虚血になるので、虚血性心疾患と呼ばれています。

不整脈

冠動脈の異常による虚血性心疾患に対して、心臓の機能異常によって起こるのが不整脈です。心臓は1分間に60~100回拍動していますが、不整脈とは通常より拍動が異常に早くなったり、遅くなったり、リズムが不規則になったりする病気をいい、さまざまな種類があります。

検診などでたまたま不整脈が見つかっても、治療の必要がない場合が多いのですが、心筋梗塞などの心臓病が元になっている場合など、なかには危険な不整脈もあり、そういったものは治療が必要です。

そのほか、右心房や右心室など心臓の4つの部屋を隔てている弁の機能に障害が起きる心臓弁膜症、何らかの原因で心筋の状態が悪くなり、心臓の機能が低下する心筋症、心臓のポンプ機能が低下して、全身に血液が十分に行き渡らななくなる心不全などがあります。

心不全

心不全は、心筋梗塞や心臓弁膜症、高血圧、不整脈、拡張型心筋症などが原因で起こります。

2.心臓病の予防と治療

心臓病の検査

心臓が悪いのではないかと疑われる場合、心電図、胸部レントゲン検査、心臓カテーテル検査などを行います。心電図はベッドに寝た状態で測る安静時心電図検査のほか、運動前と運動中の心臓の働きを見る運動負荷心電図、不整脈が疑われる場合などに心臓の24時間の状態を調べるホルター心電図検査を行います。

また、心臓カテーテル検査では、足や腕、首の血管からカテーテルという細い管を通し、心臓内の血圧や血流を測ったり、先端から造影剤を注入して造影写真を撮ったりします。冠動脈の狭窄の状況や場所などを調べることができます。

虚血性疾患の治療法

狭心症の場合

検査や診察の結果、狭心症と診断されたら、狭くなった血管を広げ、血流を改善することを目的に、ニトログリセリンなどの硝酸薬やカルシウム拮抗薬を服用したり、皮膚から薬を吸収する貼付剤を使ったりします。

発作時は安静にし、発作が治まらない場合は、即効性のあるニトログリセリンなどの舌下錠を服用しましょう。発作が起きそうな時に舌下錠を服用すると、発作を予防することもできます。

労作性狭心症の場合、階段を上がる時、何段目でいつも発作が起きる、など発作が起きる状況を本人が自覚している場合が多いので、発作の誘引を意識的に避けることが大切です。

重症の場合は、先端にバルーン(風船)をつけたカテーテルを冠動脈に挿入し、風船をふくらませて血管の狭窄した部分を広げる経皮的冠動脈形成術(PTCA)や、同様にカテーテルを使ってステントという網状の器具を冠動脈に挿入し、狭くなった部分を広げるステント療法、詰まった冠動脈の迂回路をつくり心臓への血流を回復させる冠動脈バイパス手術を実施することもあります。

心筋梗塞の場合

急性の心筋梗塞は発病の早期に死亡することも多いため、すぐにCCU(冠動脈疾患集中治療設備)のある病院へ入院しましょう。治療としては、酸素吸入、胸の痛みを抑えるための鎮痛剤、硝酸薬、抗血栓薬などの投与や、血栓を取り除くための血栓溶解療法(PTCR)やPTCA、冠動脈バイパス手術、心不全などの合併症の予防などが行われます。

急性期から少しずつ回復してきたら、血圧や心電図などの状態を見ながら少しずつ行動範囲を広げ、運動量を増やしていきます。薬も点滴や注射から内服薬に徐々に切り替えていきます。順調に行けば1カ月前後で退院できます。

心臓病の予防

たばこ

狭心症や心筋梗塞の危険因子は動脈硬化で、虚血性疾患は生活習慣病の一種といえます。そのため、過食や飲みすぎ、肥満、運動不足、ストレスや過度の興奮、運動のし過ぎを避け、十分に休養や睡眠をとり、血圧のコントロールと禁煙を実行しましょう。

【コラム】月曜日は心筋梗塞が多発する!?

急性心筋梗塞の発病率は月曜日が高く、勤労者、特に男性が多い、という統計結果があります。これは、土日にゆっくり休養し、月曜から「また仕事が始まる」というストレスや、生体リズムの変化が原因ではないかといわれています。

月曜日の心筋梗塞の発生を防ぐには、休み明けの月曜日にフルに仕事をしようとしないで、回せる仕事は火曜日以降に分散させたり、土日に目いっぱい遊んで体力を使いすぎたりしないことが大切でしょう。

関連記事

  • LINEで送る