薬剤性難聴の症状や原因を解説!聴覚障害のリスクのある薬とは

薬剤性難聴
  • LINEで送る
売野 智之 先生

監修

寿町クリニック

院長: 売野 智之 先生 

⽇本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
身障者福祉法指定医
1993年 私立開成中学・高校卒業
1999年 昭和大学医学部卒業、東京女子医科大学病院 脳神経外科入局
2005年 東京女子医科大学大学院脳神経外科学修了 脳神経外科 助教
北海道、関東にて各救急総合病院 脳神経外科医長等歴任
2011年 平成立石病院 脳神経外科勤務
2016年 寿町クリニック 院長

現代社会において生活習慣、その他の慢性的な疾患により、日常的にお薬を服用している方も多いのではないでしょうか。

そんな方の中には、医師の処方で支持された用法や容量をまもらずに服用しているなんて方もいらっしゃるのでは?実は、これはとても危険な行為なんです!

なぜなら、薬の種類によっては、用法・容量によって突然耳が聞こえなくなったりする場合があるからです。これを薬剤性難聴とよび、この記事では原因となるお薬の種類や、対処法について解説していきます。

薬剤性難聴の原因となる薬と、服用開始時の注意点

薬の用法用量

1.難聴を引き起こす薬一覧

薬剤性難聴を引き起こす代表的な薬は、おもに結核の治療薬や、抗がん剤、発熱や痛みを抑えるための「解熱消炎鎮痛薬」、ループ利尿剤などがあります。

具体的な薬剤名は下記の表でまとめています。

アミノグリコシド系抗菌薬(結核治療薬)
ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、ハベカシン
抗がん剤
シスプラチン(プラチナ製剤)
解熱消炎鎮痛薬
アスピリン(サリチル酸剤)
ループ利尿剤
フロセミド、トラセミド、ブメタニド、アゾセミド

2.聴力検査で観察しながら服用を続ける

耳の検査

難聴を引き起こす薬の服用を開始する場合は、はじめに聴力検査をおこないます。また、服用中にも難聴の自覚症状の有無にかかわらず定期的に聴力検査をおこないながら経過観察をします。

もしも、難聴のきざしが確認された場合は、薬を止めたり、違う薬に変えたりする必要があります。

3.とくに危険性が高い薬は「結核治療薬」と「抗がん剤」

上記の表のなかのどの薬でも、耳の中の感覚細胞に障害を引き起こす可能性はありますが、中でも結核治療薬の「アミノグリコシド系抗菌薬」や、抗がん剤である「シスプラチン」によって引き起こされた難聴は、治療することが難しく、そのあとの生活の質が低下する恐れがあります。

4.使用を中止すれば難聴が回復する薬剤も

解熱消炎鎮痛薬の「アスピリン(サリチル酸剤)」や、ループ利尿剤が原因の難聴は、通常のばあい、服用を中止すれば症状が回復します。

5.腎臓が悪い方や高齢者は難聴になりやすいので注意

腎臓の機能が悪い方や、高齢者は薬剤性難聴になりやすいので注意が必要です。

また、血縁関係者に結核治療薬「アミノグリコシド系抗菌薬」が原因で難聴を発症している方がいらっしゃる場合にも難聴になりやすいです。

病院によっては、処方前に遺伝子検査をおこなうところもあります。

薬剤性難聴での自覚症状について

耳鳴りがする

薬剤性難聴の主な症状としてあげられるのは下記です。

ピー、キーンなどの高周波の耳鳴り

難聴

吐き気

頭痛

ふらつき

1.初期症状は耳鳴り!まれにいきなり難聴になるケースも

音を感じるセンサーである蝸牛(かぎゅう)に障害が起こった場合、初期症状として表れるのが耳鳴りです。

そのあと、難聴が発症することが多いのですが、人によっては、まれに耳鳴りが起こらず難聴から症状に気づくこともあります。

2.「高い音」⇒「低い音」 の順に聞こえにくくなる

また、耳の聞こえにくさは高い音から低い音に広がっていき、進行すると両耳とも全く聞こえなくなる可能性もあります。

3.吐き気や頭痛、めまいを起こすことも

前庭半規管(ぜんていはんきかん)に障害が起こると、吐き気、頭痛、めまいやふらつきなどが発症します。ひどくなると歩行が困難になり転倒してしまうこともあるので注意が必要です。

「最近疲れているから」と自己判断で放置せず、速やかに医師の診断を仰ぎましょう。

4.第三者からみてわかる難聴の症状「他覚症状」

他人からみて、難聴を起こしている方の主な症状は下記です。

会話中に聞き返しが多くなる

話の聞き逃しが増える

声掛けした際の反応が鈍くなる

薬剤性難聴をおこす薬を服用しているときに、これらの症状が見られたときは、注意が必要です。その方に自覚症状がないだけかも知れないので、「あれ?おかしいな」と思ったら、主治医への相談をすすめてあげてください。

難聴がでた場合の対処法について

1.投薬を中止する

投薬の副作用によるものとみられる難聴が確認された場合には、ただちに聴力検査をし、投薬を中止する必要があります。

しかし、決して自己判断をしないよう注意しましょう。

量を減らしたり、薬を替えたりするのはもちろん、薬の服用をやめるのも必ず主治医や専門医の指示に従いましょう。

2.結核の治療薬の難聴は治らない!

結核の治療薬「アミノグリコシド系抗菌薬」で変性してしまった内耳の感覚細胞は、再生できません。

そのため、副腎皮質ステロイド薬、ビタミン薬などによる治療を行っても聴力を回復させることができない場合がほとんどです。

また薬剤の投与を中止しても治らないだけでなく、さらに難聴が悪化してしまうこともあります。

アミノグリコシド系抗菌薬の薬剤を使用するときには、難聴が起こらないよう慎重に医師と相談をすすめながら服用することがとても重要です。

まとめ

これまでの説明から『薬剤性難聴は怖い!』という印象を持たれた方も多いと思います。しかし必要以上に恐れる必要はありません。薬剤性難聴が起こる可能性はそれほど高くないからです。

薬剤性難聴を引き起こす可能性のある薬剤を服用中に難聴が発症しても、突然耳が聞こえなくなる「突発性難聴」、加齢に伴う「老人性難聴」、騒音環境下で長期間生活することで生ずる「騒音性難聴」などの可能性もあり、診断してみないと分かりません。

しかし、いずれの場合もリスクを最小限に食い止めるためには、早期発見と早期対応が必須です。ご自身の服用している薬の効果、効能、副作用などを事前に把握し、難聴の兆しや異変に気づいたら、すぐにお近くの専門医に相談しましょう。

不正確な情報を報告

不正確な情報を報告

メールアドレス:任意
コメント(オプション):

関連記事

  • LINEで送る

お近くの耳鼻いんこう科を検索!

ネット受付・予約もできる

病院検索サイト

ご自宅や職場の近くで耳鼻いんこう科を探したいときは、検索サイト『EPARKクリニック・病院』を使ってみてください。口コミやクリニックの特徴を確認することができます。

EPARK
  • 科目をしぼって簡単検索♪
  • 充実の医院情報満載!
  • 待ち時間を削減!Web受付にも対応!

耳鼻いんこう科一覧へ!