動悸、疲れやすい…女性がかかりやすい「バセドウ病」の症状と治療法

バセドウ病
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岡村 長門

監修

岡村クリニック

院長: 岡村 長門 先生

【職務経歴】
戸田中央総合病院
埼玉医科大学
公立昭和病院
岡村医院
岡村クリニック

子供がなりやすい病気、男性がなりやすい病気があるように、女性がなりやすい病気もいくつかあります。そして、近年若い女性芸能人が告白した “バセドウ病”は、若年女性に多く発症する病気の1つです。今回はバセドウ病について解説していきます。

バセドウ病について

バセドウ病とは

バセドウ病は、『後天性自己免疫疾患』 で、甲状腺の機能が高まりすぎて起こる病気です。『グレーヴス病』ともいいます。

甲状腺は、喉ぼとけと鎖骨の中間あたりに存在し、体の代謝を上げるための“甲状腺ホルモン”を作る働きをしています。

甲状腺の説明画像

通常は、体内で一定の甲状腺ホルモンが分泌されていますが、バセドウ病は血中の異常なタンパク質(抗体)が甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンを過剰に分泌させてしまいます。

20代~30代女性がかかりやすい

バセドウ病は誰でも発症するものですが、もともと甲状腺の病気は女性がかかりやすい病気で、バセドウ病は男性:女性=1:4の割合で圧倒的に女性が多いです。また、年代も20〜30代で発症する人が多くいます。

他にも、40~50代の更年期や、一過性ではありますが、出産後の女性の数%で甲状腺機能異常が発症することもあります。15歳以下の発症は数%ほどで、小児の場合は難病疾患としても指定されています。

バセドウ病発症に関係すると疑われる要因2つ

バセドウ病は自己抗体が原因で、異常に甲状腺が刺激されることによって起こりますが、なぜ自己抗体が作られるかについては明らかにはなっていません。

環境要因

タバコ、ホルモン、感染、妊娠、ストレス、免疫状態の変化などがバセドウ病に影響を与えているといわれていますが、明らかではありません。バセドウ病になった際にタバコを吸う人は、バセドウ病の特徴的な症状である眼球突出が現れる傾向があるようです。受動喫煙も影響については否定できません。

遺伝要因

バセドウ病のような甲状腺に関わる病気は、家族内で多発し遺伝的要因があるといわれています。とくに母娘、姉妹でその傾向があります。また、父親がバセドウ病ならば、男性の家族にも発症の可能性があります。しかし遺伝だけでなく、様々な要因が絡んで発症すると考えられています。

親族に甲状腺に関する病気の方がいる場合は、念のため毎年1回は定期検診を受けると安心です。

バセドウ病の症状

1.代表的な症状3つ

眼球突出(発症した人の3人に1人)

眼球の後ろ側にある脂肪や眼球を動かす筋肉などが炎症などによって肥大化するため、眼球が飛び出したように見えま眼球全体が飛び出して見える、上まぶたのみ腫れたように見える、中には眼球の変化が全くないこともあります。

眼球突出

ごく稀に悪性の眼球突出もあり、『角膜潰瘍』、『壊死』、『穿孔』、『視野欠損』などを伴うこともあります。軽症の場合は、日常生活への支障はあまりありませんが、中等症になると視機能障害が起こり、生活の質が低下していきます。

さらに重症になると『失明』のリスクが高まります。ただ、高齢者はあまり眼球突出の症状がでることは少ないです。

首の腫れ

バセドウ病になると、多くの人に甲状腺の炎症が起こり、甲状腺自体が腫れてきます。喉全体にも腫れが顕著となります。通常であれば、喉元を触っても甲状腺はわかりませんが、少しでも腫れると甲状腺の輪郭が目立ち、触ることができ、押すと痛みが生じることがあります。

動悸や息切れなど全身の症状

体の代謝機能が亢進されているので、心拍数や脈、血圧などが上昇します。疲れやすい、手の震え、食欲があって食事をしても体重が減る、大汗をかく、排尿・排便の回数が増える、神経が過敏(イライラする、怒りっぽい)になるなど起こってきます。

高齢者では、顕著な症状が少なく、無気力、食欲低下、体重減少、疲れ(元気がない)などが見られることがあります。元々心臓に持病がある方などは、心房細動を発症する可能性があります。

合併症

1.心疾患

バセドウ病の最も代表的な合併症は『心疾患(心臓におこる病気)』です。心拍数が上がったり、血圧が高くなったり、常に運動しているような状態となり、心臓が酷使され『心房細動(脈のリズムが不規則になる)』などの障害が起こってきます。

高齢者の場合は特に『心房細動』が原因となり、『狭心症』や『心不全』が起こりやすくなります。

2.甲状腺クリーゼ

薬を飲んでいない、自己判断で薬の服用をやめた、薬の量がうまく調整されていないなどバセドウ病の治療がきちんと行われていない場合や、激しい運動・心的要因によるストレスなど過大なストレスがかかった場合に『甲状腺クリーゼ』が起こることがあります。

きちんと治療がおこなわれていないと、甲状腺の機能が高まりすぎて心臓に負担がかかり、高熱や黄疸(おうだん:皮膚や目が黄色くなる症状)、昏睡(こんすい:意識を失い、眠り込む状態)など、命にかかわる危険な状態になります。

3.周期性四肢麻痺

まれな合併症でありますが、女性よりも男性に多いのが『周期性四肢麻痺』です。激しい運動、過食などの後で、しばらくしてから手足に力が入りにくくなる等を繰り返すことが特徴です。

発作的ではありますが、寝起きで足が動かない、時には手も動かないということが数時間続くことがあります。

どうやって治すの?治療法と副作用

治療法と副作用

1.内服薬治療

甲状腺の働きを抑える薬(ホルモンの合成を抑える薬)、抗甲状腺薬を飲みます。バセドウ病は、状態によってホルモンの量が変化するため、定期的にホルモンを測りながら服薬量を変えていきます

服薬してから甲状腺機能はおおよそ1~3ヶ月前後で正常に戻っていきますが、治療は継続していく必要があります。

妊婦の場合は、薬の成分が胎盤を通過するものもあるので、より厳重な注意が必要となります。

副作用として薬を飲んでから1ヶ月以内くらいでかゆみや発疹、2週~3か月くらいで肝機能に異常がでることがあります。同様の期間で発熱や白血球異常、関節痛が起こることもあります。

非常に危険な副作用の可能性もありますので、異変に気づいたらすぐに主治医に相談しましょう。

2.放射性ヨウ素治療(アイソトープ)

放射性ヨウ素(アイソトープ)を飲み、甲状腺の一部の細胞を減らすという治療もあります。内服薬よりも早い、2~6か月程度で甲状腺ホルモン分泌を低下させる治療効果が期待できます。

放射性ヨウ素治療をした場合は、微量ではあるものの放射線の影響があります。2〜4日は、放射線の影響を受けやすい乳児や幼児のそばに近づかないようにしましょう。

また、放射性ヨウ素は胎盤や乳汁にも入ってしまうため、妊娠中や授乳中はできない治療で、治療後半年は妊娠を避けるようにします。

3.手術

甲状腺ホルモンが過剰すぎると、ホルモンを分泌している甲状腺を切除する手術治療(全部摘出する全摘手術、もしくは、ほぼ全部摘出する亜全摘手術)を行うことがあります。

手術療法は治療効果が得やすい方法ですが、喉に傷口が目立ってしまいます。また、摘出によりほぼ全例で甲状腺機能低下となるため、甲状腺ホルモン薬を内服する必要があります。内服は、ホルモンコントロールによって変わるので『内服する』『しない』『継続する』『しない』は、主治医の判断により決まります。

治療法にはそれぞれ長所、短所があります。主治医とよく相談して治療法を決定してください。

まとめ

バセドウ病は治らない病気ではありません。早期発見、早期治療が今後の病状に関する見通しを良好にします。ちょっとした異変があったらすぐに医療機関にいって症状を伝えましょう。

また、バセドウ病を治療して克服した後も、定期的に通院して経過を診てもらうと安心です。

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