医師監修!アトピー性皮膚炎、薬の使い方など正しい治療法とは?

アトピー性皮膚炎
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監修:田島秀郎医師

アトピー性皮膚炎とは

アトピーという名称は、ギリシャ語の『奇妙な病気』という意味の『アトピア』からきています。この皮膚炎が出始めた頃は、原因も治療法もわからなかったことから、アトピー性皮膚炎と名付けられました。

原因

アレルギー体質の人が、アレルギーを起こすハウスダストやダニなどの物質(アレルゲン)を摂取したり、皮膚に付着させたりすることが原因で、皮膚に炎症性の反応が発生します。

症状

主症状は皮膚の痒みと炎症です。

痒みをどうにかしたくて皮膚を掻きむしると皮膚の炎症が悪化し、細菌感染を起こしたり、皮膚を掻き壊したりします。

結果的に、皮膚のバリア機能は低下し、皮膚表面はジュクジュクとした湿疹状になったり、また逆に、カサカサと白く乾燥して、分厚くなったりします。しこり状の盛り上がりができることもあり、これができると、治療は難しくなります。

また、患者さん本人の体調や精神状態が、症状の現れ方や強さに影響を受けることが少なくありません。

診断

問診と視診(医者が目で見て診察すること)、血液検査で総合的に判断します。

・問診:痒みの強さ、発生してからの期間、家族歴と既往歴
・視診:発生部位、皮膚状態
・血液検査:血中IgE(アレルギー抗体)の測定

(IgEとはアレルギー疾患の中心となる抗体です。血液中のIgEを測ることで、「何がアレルギーの原因になっているのか」がおおよそわかります。)

アトピーに似た皮膚疾患(乾燥肌など)との鑑別が必要なため、早めに皮膚科に相談しましょう。

乾燥肌とアトピー性皮膚炎の違い

乾燥肌とは、皮膚の水分が通常より減っている状態です。それにより痒みが発生することがあり、掻きむしると湿疹が発生することもあります。代表的なのが、老人性皮膚掻痒症です。空気の乾燥も症状を左右する要因になりますので、乾燥肌には冬に症状が重くなるといった季節差があります。

一方のアトピー性皮膚炎の原因はアレルギーを起こす物質なので、季節差はありません。 皮膚の乾燥と痒みと湿疹、という症状は同じでも、原因が全く違うのです。

アトピー性皮膚炎の治療法は?

薬物療法

◆ 患部に副腎皮質ホルモン(ステロイド)を塗るステロイドには、炎症やアレルギー反応を抑える効果があるので、これにより速やかに皮膚の痒みと炎症を抑え、皮膚のバリア機能の回復を図あります。

◆ 抗アレルギー薬を内服する 症状の発生原因がアレルギーなので、その反応を抑える薬を服用することにより、皮膚症状を抑えます。

◆ 保湿剤や痒み止めを塗る乾燥を緩和し、痒みを軽減することにより、皮膚を保護し、皮膚のバリア機能の回復を図ります。

※ステロイド剤(薬)は副作用の話が一人歩きをしているせいで、むやみに怖がる人がいますが、使わないと 症状が抑えられません。
ステロイド剤を使わないために、皮膚の回復が遅れてしまえば、その分、皮膚のダメージも深くなりますし、 治療期間が長くなります。
薬を使うか使わないか、使うとしたらどの程度の強さの薬を使うかは、医師が判断しますので、自己判断で 回数を増減したり、使用を中止したりするのはやめましょう。

生活習慣の改善

◆ アレルギーを起こす物質(アレルゲン)を遠ざけるなど、生活環境を整える。

◆ 皮膚を清潔に保つ。

◆ 風呂では擦り過ぎないように注意し、入浴後に保湿剤を塗る。

◆ 体調を整え、免疫力や体力をつける。

気を付けること

◆ 合併症があらわれたら、すぐに治療を受ける。

合併症の代表例

・掻きむしった皮膚が細菌やウィルスに感染することによる伝染性膿痂疹(とびひ)や伝染性軟属腫(水いぼ)
・目の周りが痒くて叩くことによる、網膜剥離や白内障
・痒みによる不眠症
・バリア機能が低下した皮膚にアレルゲンが触れることによる、接触性皮膚炎

◆ 使っている石けんやシャンプー・リンスが合わないと症状が酷くなるので、薄めて使ったり、刺激の低いもの に変えたりする。

◆ ストレスの除去を心がけ、睡眠をしっかりととる。(ストレスや睡眠不足が加わると症状が悪化することがある)

◆ アトピーは慢性疾患なので、良い状態で付き合っていくこと(=完全に治らない)をしっかりと認識する。

その他、有効と言われている生活習慣など

・アルコールやタバコ、刺激物の摂取をやめる
・油脂に含まれるトランス脂肪酸を摂取しない
・温泉に入る

他、デトックスを心がけたり、鍼や灸、リフレクソロジーを受けることも個人によっては効果があることもあります。

Column 『アトピーは遺伝する?』

アトピーは、遺伝性の疾患ではありませんが、遺伝的な体質や環境要因に大きく左右される疾患です。つまり、親がアトピーである場合、子もアトピーの素因は持っている、ということです。

またアレルギー素因は、母体の中にいる間に作られやすいので、妊娠前や妊娠中の母親の生活習慣が大きく影響すると言われています。

また、皮膚の保湿因子が遺伝的に少ない人は、どうしても皮膚のバリア機能が弱いため、アトピーの症状が出やすくなってしまいます。

平たく言うと、お母さんやお父さんがアトピーだった場合、お子さんもお母さんと同じアレルゲンでアトピーの症状が酷くなる可能性も考えられます。そのため、親のアレルゲンを参考に日頃の生活に気をつけ、肌の抵抗力をつけるようにすれば、アトピーを悪化させる可能性を下げることもできます。

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