原因不明の強い不安がつきまとう…「不安障害」の症状と治療について

不安障害
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監修

銀座エルクリニック

院長: 簡野晃次先生 先生

昭和63年3月  日本医科大学卒業
昭和63年6月  日本医科大学付属病院形成外科入局
平成7年6月   西新井皮膚科形成外科院長就任
平成18年10月  医療法人社団友輝会エルクリニック理事長
平成23年5月  新宿、銀座エルクリニック兼務

不安障害とは

1.不安障害はポピュラーな病気

不安 障害

暗い夜道を1人で歩いた時や、外出先で「カギをかけ忘れて家を出てしまったのでは?」と思った時、大事な試験の前日などに、不安な気持ちになって心臓がドキドキしたり、冷や汗をかいたりした経験がある人は多いでしょう。こうした対象や原因がはっきりした不安は、それが取り除かれると解消します。

ところが、このような誰もが経験する不安と違い、対象や原因がはっきりせず、動悸、息切れ、めまい、発汗などの症状を伴う日常生活に支障をきたすほどの強い不安が長期間続く場合は、『不安障害』と診断されます。

不安障害は、うつ病と並んで一般によく知られるようになってきたパニック障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、社会不安障害などの総称で、米国の調査によれば発病率が成人の約15%にも上るというポピュラーな病気です。以前は「神経症」または「不安神経症」と呼ばれていましたが、最近は不安障害という病名が広く使われるようになってきました。

2.不安障害の種類

不安障害に分類される病気は数多くあり、主なものは以下のとおりです。

パニック障害

不安 障害

突然、激しい不安とともに動悸、呼吸困難、めまい、発汗、手足の震えなどのパニック発作が繰り返し起きる病気で、女性の発病率は男性の2~3倍と極めて高くなっています。検査しても身体的な異常は見つからず、生物学的な要因や遺伝的要因、ストレスなどが原因と考えられています。

「また発作が起きるのではないか?」という不安から電車やエレベーターなどに乗れなくなったり、人の多い場所を避けたりする「広場恐怖」の状態になると、日常生活に支障をきたすこともあり、慢性化するとうつ状態になってしまうことも少なくありません。治療法としては、薬物療法と精神療法があります。

社会不安障害

人前で話や楽器を演奏をする、地位の高い人と会食する、といった場合、誰しも多少あがったり、声が震えたりします。しかし、単なるあがり症ではなく、そうした社会的状況に対して激しい不安や恐怖を感じ、日常生活に支障をきたすほどになる病気を社会不安障害といいます。

以前は対人恐怖症と呼ばれていました。社会不安障害が持続すると、不安を避けようとしてアルコール依存や引きこもりになってしまうこともあります。治療法としては、薬物療法と精神療法があります。

全般性不安障害

特定できないさまざまな事柄や活動に対して、過剰に不安になる状態が半年以上続きます。不安障害の中では比較的軽い部類に入り、薬物療法で治療します。

強迫性障害

「ドアノブにふれたから病気がうつる」「ガス栓を閉めないとガス漏れになる」などの特定の考え(強迫観念)が頭を離れず、それに対する不安にさいなまれて、手を洗う、ガス栓を確認するといった行為を1時間も2時間も繰り返してしまう(これを強迫行為といいます)病気です。

自分自身、繰り返す行為が無意味だとわかっていても、やめられなくなるのです。治療法としては、薬物療法と精神療法があります。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

災害や戦争、事故、暴力など、生命の危機にさらされるような出来事を体験、または目撃したことによって、その時の情景がフラッシュバックしたり、悪夢にうなされたり、不眠、感情の麻痺などさまざまな症状が現れます。その出来事から何年も経ってから発病する場合もあります。治療は、薬物療法と精神療法を行います。

急性ストレス障害

心的外傷後ストレス障害と似ていますが、トラウマとなった出来事から4週間以内に始まり、2日~4週間でおさまります。体験または目撃した状況から離れて適切なサポートを受け、自分が遭遇した出来事やそれに対する自分の気持ちを周囲の人に話すことで、多くの場合、回復へ向かいます。

病気以外に不安を誘発する物質

心の病気が原因ではなくて、ある種の精神安定剤や鎮痛剤、カフェイン、アルコール、ニコチンなどを摂取した結果、不安やそれに伴う症状が引き起こされることもあります。一般的に、摂取量が多いほど症状が出やすく、強くなるといわれています。その物質が体内から完全に排出されると不安症状は消えますが、長い間薬やアルコールを常用していた場合、急にやめると体内のバランスが崩れて、不眠、イライラ、不安などの退薬症状が現れることがあります。

2.不安障害の治療

1.治療の種類

不安 障害 治療

不安障害は、体の病気と同様に、早期発見・早期治療をすれば比較的短期間で改善できます。治療にあたっては、まず不安障害かどうか、不安障害ならその種類や病気の進行度・重症度を正確に診断することが大切です。不安障害ではなくほかの病気である場合や、不安障害とほかの精神疾患が合併している場合があるからです。

治療としては、薬物療法精神療法を単独または併用します。薬物療法では、抗不安薬や抗うつ薬の一種のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、動悸や手の震えなどを抑えるβ(ベータ)遮断薬などを使用します。

精神療法では、支持的精神療法(傾聴、病態や症状の説明などを柱としたカウンセリング方法)、認知行動療法(行動や認知、思考パターンに焦点を当て、認知のゆがみを修正して不安を軽減しようとする治療法)などが行われます。

2.思い当たる症状があったら病院へ

不安 障害

不安が強く、発汗、動悸、息切れ、めまい、頭痛、不眠などの症状が長い間続いたりパニック発作が起きたりして、日常生活に差し支えるような場合は、一度病院で診てもらいましょう。

内科や婦人科で診てもらっても特に身体的な異常が見つからず、症状もあまり改善しない場合は、心療内科精神科を受診することをおすすめします。

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