医師が教える!アルコール中毒の症状と、正しい対処・治療の仕方

アルコール依存症
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監修:簡野晃次医師

恐いアルコール中毒

春は歓送迎会などでお酒を飲む機会が多いシーズン。楽しく飲んでいるうちはいいのですが、一度に大量に飲みすぎて急性アルコール中毒になってしまったら生死に関わることもあります。そうなってはせっかくの楽しいパーティーも台無しです。

お酒を楽しく、そして健康的に飲むために、急性アルコール中毒の基礎知識や万が一の時の対処法などを知っておきましょう。

危険な急性アルコール中毒

大量に飲酒したことによって起こるエチルアルコールの中毒を「アルコール中毒」といい、急性と慢性とがあります。急性アルコール中毒は、短時間のうちに肝臓で代謝できないほど多量のアルコールを飲んでしまうことによって起こる急性の中毒症状です。

アルコールには中枢神経の働きを抑制する作用があり、通常、ゆっくりしたペースで少しずつアルコールを飲むと、顔が赤くなったり、気分が高揚したり、饒舌になったり、注意力が低下したりします。

いわゆるほろ酔い状態です。この状態からさらにアルコールを摂取すると、血中のアルコール濃度が高くなって、酩酊状態や泥酔状態になります。

ところが、一気飲みや、がぶ飲みなどで短時間のうちに大量のアルコールを摂取してしまうと、急激に血中濃度が高くなり、一気に泥酔状態になってしまいます。吐気や嘔吐、1人で立ち上がれなくなったり、足元がひどくふらついたりする、意識が混濁する、などの症状があらわれます。

飲酒量や体質によっては、昏睡状態になり、体温や血圧の低下、呼吸困難など生死に関わるような危険な状態に陥ってしまいます。

慢性的なアルコール中毒、アルコール依存症

急性アルコール中毒に対して、慢性的なアルコール中毒のことを「アルコール依存症」といいます。長期間に渡って習慣的に飲酒を続けた結果、精神的・身体的にアルコールに依存してしまい、飲酒をコントロールできなくなり、飲酒をやめようとすると発汗、イライラ、不安、手足や全身の震え、幻視や幻聴、不眠などの離脱症状(禁断症状)が出る病気です。

アルコール依存症になると、脂肪肝やアルコール性肝炎など肝臓に障害が出てきます。しかしそれだけではなく、すい臓や胃腸、脳、神経、心臓、筋肉、骨などに悪影響が出てきます。

また、ホルモンや生殖機能にも異常が起きて、インポテンツなどを引き起こすこともあります。また、他人に対して攻撃的になったり、その反面、自分を責めたり、不安にかられたりすることもあります。また、幻覚や妄想などの症状が出ることもあります。

このように、アルコール依存症は、精神的にも肉体的にもさまざまな悪影響を与え、家族にも迷惑や負担をかけてしまう病気です。そのため、依存症から離脱するための根気強い治療が必要です。

急性アルコール中毒の対処法

酔いつぶれた人を放っておいてはダメ

友人や会社、サークルの仲間など一緒にお酒を飲んでいた人が酔いつぶれてしまった場合、放置しておくと命に関わることもあります。そのため、泥酔している人がいたら1人で放っておかずに必ず様子を見るようにしましょう。

また、意識がない時は、吐いた時に吐しゃ物が逆流してのどに詰まって窒息する恐れがあるため、横向きに寝かせます。ベルトやネクタイなど体を締めつけるものはゆるめ、体が冷えないようにタオルや毛布などをかけてあげましょう。

昏睡状態で呼びかけても返事をしない、軽くつねったり、肩を叩いたりしても反応がない、呼吸が異常にゆっくりしている、または異常に早い、脈が弱い、といった状態の場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

急性アルコール中毒を防ぐには?

急性アルコール中毒にならないようにするには、ゆっくりしたペースで飲酒することが大切です。空腹だと酔いが回りやすいので、食べながら飲むようにするとよいでしょう。

また、適量を守り、飲みすぎないようにすることが大切です。個人差がありますが、一般的に代謝できるアルコールの限度量は、男性は45~55ccとされています。ビールなら2本、日本酒なら2合、ウィスキーならダブルで2杯に相当します。

一方、女性の限度量は30~40ccで、ビールなら1.5本、日本酒なら1.5合、ウィスキーならダブルで1.5杯程度です。代謝できる限度量を超えて飲みすぎてしまうと、二日酔いになったり、急性アルコール中毒になったりする恐れがあるので注意しましょう。

アルコール限度量

そして、自分が飲みすぎを避けると同時に、他人にも無理に飲酒を勧めないことが大切です。アルコールを受けつけない体質の人などもいますので、絶対に一気飲みを強要しないようにしましょう。

アルコール依存症の治療

アルコール依存症は、肝臓など身体面の治療も必要ですが、最も重要なのはアルコールを断ち切ること、すなわち断酒です。アルコールも適量なら心身をリラックスさせるなどの効果がありますが、アルコール依存症の人は、自分で飲酒量をコントロールすることができないからです。

また、せっかく断酒できても再び飲酒を始めると、短期間で精神的・身体的な依存が再燃し、禁断症状なども再発してしまうため、一生断酒する覚悟が必要です。

精神科に通院あるいは入院して治療するとともに、断酒会やAA(アルコールホリクス・アノニマス 匿名断酒会)といった自助グループへ参加すると、患者同士および家族同士で励ましあい、支えあうことができます。

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